杉田 透明水彩
3月になりました。卒業シーズン到来。
今回は、土曜午前クラスの杉田さんが描かれた作品をご紹介します。
杉田さんは一貫して透明水彩で描き続けています。以前は風景中心でしたが近年になりむしろ人を中心に描くことが多くなりました。
描いたのはベネチア・ムラーノ島。吹きガラス職人が集まる町とのこと。小原先生が旅をしたときに撮影された写真です。
簡素な工房で、吹いたガラスを独特の道具で成形しているその様に言い知れぬ情緒を感じます。
使い込まれた道具たち、木造りのベンチ、そうしたデティールに目を向けるとどれも丁寧に描き込まれています。
そうした茶色を基調とした全体のトーンの中に今にもとろけそうなオレンジ色をしたガラスが何とも印象的ですね。
まだ柔らかいガラスを扱う職人の姿が、コツコツとしかし確実に一歩づつ完成に向かって描き進めていく杉田さんとどこかリンクするようです。
対象を素直な気持ちで捉え、一枚の作品へと昇華させていく。
急いで沢山の作品を量産せずともその一枚を大切に描くことで、描き手の思いが素晴らしい一つの結晶となっていきます。