海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

沖縄県知事選挙で日本人に問われていること

2010-11-28 15:45:34 | 米軍・自衛隊・基地問題
 写真は金武町のキャンプ・ハンセン基地。日曜日には巨大な星条旗と日の丸が掲げられる。

 沖縄県知事選挙の投票が行われている。伊波氏、仲井真氏いずれが当選するにしても、すでに次のことは明らかになっている。辺野古に新基地を建設しようとする日米両政府の意図は、沖縄県民によって明確に否定されているということだ。
 仲井真氏は選挙前になって「県外移設」を主張し、選挙運動を展開した。そうやって普天間基地問題で争点ぼかしを行ったのは、従来主張してきた辺野古V字型滑走路計画の「微修正」要求=「県内移設」容認では、完敗は必至、という政治判断があったからだ。
 また、民主党が独自候補を擁立できなかったのも、政府の方針に沿った候補者では、惨敗するのが目に見えていたからだ。唯一、辺野古「移設」を主張した幸福実現党の金城氏が、政府の方針に最も近い候補者だが、泡沫候補の域を出ない。
 普天間基地問題について、日米両政府の方針に反対する、という沖縄県民の意思はすでに示されている。そのことを日本政府だけではない、日本人全体が真摯に受け止めるか否かが問われている。
 「沖縄問題」に関して熱心に論じる日本人=ヤマトゥンチューは多い。しかし、それらの人たちは沖縄を「問題」化させている「日本=ヤマトゥ問題」に関して、どれだけ論じているか。沖縄に米軍基地を集中させてきたのは、日本人の多数意思によるものだ。自分が生活している地域でそのことを問い、論じ、変える努力をしないで、沖縄県知事選挙について訳知り顔に論じるのは、恥ずかしいことではないのか。
 自分たちが住んでいる地域で米軍基地を引き受けたくない、というのであれば日米安保条約を否定すべきだ。日米安保条約を肯定するというのであれば、それに伴う米軍基地の負担を自らの住んでいる地域で担うべきだ。沖縄に米軍基地を集中させることで、日米安保条約について自らの問題として考えることなく過ごし、憲法9条を守ろう、と言いながら日米安保条約の問題には向き合わない。岩国や厚木、三沢など沖縄と共通の課題を抱える地域を除けば、大多数の日本人は日米安保条約の問題を他人事のようにしてすませている。
 沖縄で高まっている不満や怒りは、鳩山政権や菅政権の裏切り、政治姿勢に対してだけではない。日米安保条約の問題に向き合おうとせず、沖縄に基地を押しつけて当たり前のように過ごしてきた日本人全体に対する不満であり怒りである。誰が勝つかに注目する前に、日本人はそのことに目を向けるべきだ。 



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