先日、日本映画専門チャンネルにおいて、時代劇「斬る」が放送された。この作品は、1968年制作の岡本喜八監督による迫力ある白黒の映画であったが、なぜか黒沢明監督作品の「椿三十郎」のストーリーに共通する部分が多かった。そして、妙だなと最後まで不思議な気分で観た・・・どこか、似ているような気がして
それはともかく、同題名の映画で、三隅研次監督作品の「斬る」もあるらしい。こちらは、名優・市川雷蔵さん主演で、柴田錬三郎さんの原作をもとに制作されたとか・・・1962年制作。
岡本監督作品の原作は、山本周五郎「砦山の十七日」がもとになっているとのこと。取りあえず、原作など及びもつかないうちに夕方からじっくり・・・観賞。
最初のカット、砂塵舞う上州の空っ風が吹き抜ける宿場町、それも廃墟と化しているから・・・一体何が始まるのかと見入ってしまう。すると、無精ひげのいかにも強そうな浪人ものがやって来た。その名は、田畑半次郎(高橋悦史)という浪人、5日間何も食べていないと言いながら・・登場。実はこの男、百姓上がりで侍を夢見ている・・半次とのこと。
そこに無宿人の源太(仲代達矢)もやって来る・・・やはり、5日も物を食べていないと。そして、この男は兵頭弥源太といって、かつては歴(れっき)とした侍であったとか。
その廃墟かと思われる宿場町に若い侍たちがやって来る・・・7人も。そのうちの1人が、笈川哲太郎(中村敦夫)という侍で、7人のリーダー格らしい。半次郎と源太が見ているところに、悪の権現と思われている城代家老溝口佐仲一行が現れると若い7人の侍たちが襲いかかり・・・城代家老や家来を斬ってしまった。
7人の侍はこれで、藩政改革もできて百姓一揆など起こらないと喜び胸を張っていた。ところが、この機会を待っていた次席家老・鮎沢多宮(神山繁)は、城代家老の席を狙い、さらに藩政を意のままにしたいと・・・次の手を打っていた。
そこに、一見人のよさそうな家老・森内兵庫(東野英次郎)が登場するも、鮎沢多宮の手に落ちて囚われの身となった。これら、一連の動静から7人の若い侍たちは、次席家老・鮎沢多宮に踊らされた上、今度は逆に打ち取られようと・・・している。
そのことを察した兵頭弥源太が、若い侍の味方となって働き、侍に成りたくて敵対することとなった田畑半次郎も最後は手を貸すことに・・・。そして、一件落着すると家老・森内兵庫が藩政を立て直すよう動く。
これは、まさに「椿三十郎」の世界である。一見人のよさそうな昼行燈のような森内兵庫は、馬面の城代家老・睦田弥兵衛(伊藤雄之助)であり、次席家老・鮎沢多宮は、次席家老・黒藤(志村喬)らである。
そして、笈川哲太郎らの若い7人の侍は、藩政改革を誓っていた井坂伊織(加山雄三)らの9人の若い侍たちである。こちらも、次席家老らに踊らされていた。
そして、椿三十郎(三船敏郎)は、無宿人の源太(仲代達矢)といったところ・・・。実に良く似ており、共通する部分が多いものだから不思議に思いつつも見終わった
後日、このブログを作成するためにいろいろと調べていたら、この映画「斬る」の原作となった小説は山本周五郎氏であった。そういえば、「椿三十郎」のもとになったのは、同氏の小説であったことを思い出した・・・。
椿三十郎のもとになったのは、山本周五郎原作の『日日平安』という小説。東宝映画会社の意向で、主人公を強い侍に置き替えて黒沢明監督らが制作とのこと・・・「用心棒」の大ヒットがあったからとか。
なるほど、原作者が同じ小説家であるから、発想が共通するのもやむを得ないものと・・・理解できた。これで、当方が不思議に思っていたことも解決。さしたることでもないが、納得がいったものでホットしながらブログを整理している。
昔の映画であるが、岡本喜八監督作品もなかなかにいいものであった。(夫)
[追 記]~解説より~
天保4年、上州の地。二人の男がこの地に現れた。一人は、かつて武士を捨てたヤクザの源太、もう一人は百姓を捨て武士になろうと血気盛んな半次郎。当地の家老殺害事件をきっかけとした権力者対若手武士の対決で敵味方に別れながらも、ついには二人して改革運動を担っていく……。山本周五郎作『砦山の十七日』を岡本喜八監督が映画化。岡本は本作までの東宝系娯楽路線にあきたらず、同年、続いてATGで「肉弾」を発表した。
(出典:ぴあ映画生活 公式HP 抜粋)
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それはともかく、同題名の映画で、三隅研次監督作品の「斬る」もあるらしい。こちらは、名優・市川雷蔵さん主演で、柴田錬三郎さんの原作をもとに制作されたとか・・・1962年制作。
岡本監督作品の原作は、山本周五郎「砦山の十七日」がもとになっているとのこと。取りあえず、原作など及びもつかないうちに夕方からじっくり・・・観賞。
最初のカット、砂塵舞う上州の空っ風が吹き抜ける宿場町、それも廃墟と化しているから・・・一体何が始まるのかと見入ってしまう。すると、無精ひげのいかにも強そうな浪人ものがやって来た。その名は、田畑半次郎(高橋悦史)という浪人、5日間何も食べていないと言いながら・・登場。実はこの男、百姓上がりで侍を夢見ている・・半次とのこと。
そこに無宿人の源太(仲代達矢)もやって来る・・・やはり、5日も物を食べていないと。そして、この男は兵頭弥源太といって、かつては歴(れっき)とした侍であったとか。
その廃墟かと思われる宿場町に若い侍たちがやって来る・・・7人も。そのうちの1人が、笈川哲太郎(中村敦夫)という侍で、7人のリーダー格らしい。半次郎と源太が見ているところに、悪の権現と思われている城代家老溝口佐仲一行が現れると若い7人の侍たちが襲いかかり・・・城代家老や家来を斬ってしまった。
7人の侍はこれで、藩政改革もできて百姓一揆など起こらないと喜び胸を張っていた。ところが、この機会を待っていた次席家老・鮎沢多宮(神山繁)は、城代家老の席を狙い、さらに藩政を意のままにしたいと・・・次の手を打っていた。
そこに、一見人のよさそうな家老・森内兵庫(東野英次郎)が登場するも、鮎沢多宮の手に落ちて囚われの身となった。これら、一連の動静から7人の若い侍たちは、次席家老・鮎沢多宮に踊らされた上、今度は逆に打ち取られようと・・・している。
そのことを察した兵頭弥源太が、若い侍の味方となって働き、侍に成りたくて敵対することとなった田畑半次郎も最後は手を貸すことに・・・。そして、一件落着すると家老・森内兵庫が藩政を立て直すよう動く。
これは、まさに「椿三十郎」の世界である。一見人のよさそうな昼行燈のような森内兵庫は、馬面の城代家老・睦田弥兵衛(伊藤雄之助)であり、次席家老・鮎沢多宮は、次席家老・黒藤(志村喬)らである。
そして、笈川哲太郎らの若い7人の侍は、藩政改革を誓っていた井坂伊織(加山雄三)らの9人の若い侍たちである。こちらも、次席家老らに踊らされていた。
そして、椿三十郎(三船敏郎)は、無宿人の源太(仲代達矢)といったところ・・・。実に良く似ており、共通する部分が多いものだから不思議に思いつつも見終わった
後日、このブログを作成するためにいろいろと調べていたら、この映画「斬る」の原作となった小説は山本周五郎氏であった。そういえば、「椿三十郎」のもとになったのは、同氏の小説であったことを思い出した・・・。
椿三十郎のもとになったのは、山本周五郎原作の『日日平安』という小説。東宝映画会社の意向で、主人公を強い侍に置き替えて黒沢明監督らが制作とのこと・・・「用心棒」の大ヒットがあったからとか。
なるほど、原作者が同じ小説家であるから、発想が共通するのもやむを得ないものと・・・理解できた。これで、当方が不思議に思っていたことも解決。さしたることでもないが、納得がいったものでホットしながらブログを整理している。
昔の映画であるが、岡本喜八監督作品もなかなかにいいものであった。(夫)
[追 記]~解説より~
天保4年、上州の地。二人の男がこの地に現れた。一人は、かつて武士を捨てたヤクザの源太、もう一人は百姓を捨て武士になろうと血気盛んな半次郎。当地の家老殺害事件をきっかけとした権力者対若手武士の対決で敵味方に別れながらも、ついには二人して改革運動を担っていく……。山本周五郎作『砦山の十七日』を岡本喜八監督が映画化。岡本は本作までの東宝系娯楽路線にあきたらず、同年、続いてATGで「肉弾」を発表した。
(出典:ぴあ映画生活 公式HP 抜粋)
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