倫敦 とっかあた

ロンドン在住チェンバロ、ピアノ弾き のブログ。同居人は、不良猫と宇宙人かもしれないチェリストの旦那。

政治と音楽

2020年05月10日 | 日記
日本人はとかく
政治は政治家に任せろとか
音楽家が政治に口出すなとか
芸能人は政治的な事言うなとか
まるで政治が特別な分野であるが如き感覚の人が多い。
イギリスに住むようになり、
この感覚が特殊だと気付いた。
なぜなら
政治が自分達の生活や人生に直結していて
政治はみんなのものという感覚が
ごく自然にあるから。
少なくとも
私の周囲の音楽家達はそう。
勿論リハーサル中に突然政治の事話すとかは、無い。
でもお茶飲みながら、とか
パブで、とか
普通にある。

もう一つ、忘れられない恩師の言葉。
地元の進学校の国語の先生。
君達がこの高校に来てこうして勉強に集中していられるのは
無数の人間が社会を支えて
学ぶ環境を整えているから。
人間として成長して
社会に学んだ事を還元しなさい。

その時私の頭の中に
中学のクラスメートで
いつも宿題をやってこなかった事が浮かんだ。
お母さんがいなくて
小さい妹の世話や家事をしていて
宿題やる時間が無いと言っていた。
お父さんはゴミ収集の仕事で
早朝からいないからと。

家事の手伝いはしなくて良いから
勉強やピアノ練習しなさいと
常に言われてきた私には
衝撃的な瞬間だった。
勉強の出来ない彼を
怠け者だと思っていた自分を
恥ずかしく思った。

彼の様な境遇に育っても
学ぶ環境を保障し
学問という分野でなくても
幸せな人生を送れるオプションを提供するのが
政治だと気付いたのは
在英後。

音楽家達は
けして裕福でなくても
ある程度恵まれた家庭や環境で
生きてきた人が多い。
格差の拡大する今
そうした人間が
声を上げて
弱者に目を向け
格差を改善する為に
政治を普通に身近な事として
語るのは
大切だと思う。




コメント
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