たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

雨がなくても山崩れ? <大分山崩れ 大雨ないのになぜ 大量土砂、救助阻む>

2018-04-11 | 災害と事前・事後

180411 雨がなくても山崩れ? <大分山崩れ 大雨ないのになぜ 大量土砂、救助阻む>

 

ちょっと気になる記事があったので、ユマニチュードを書こうと思いつつ、ついこのテーマに気持ちが移ってしまいました。

 

毎日記事<大分山崩れ大雨ないのになぜ 大量土砂、救助阻む>と、耶馬溪での山崩れによる家屋崩壊と行方不明者を報じていました。

 

<「大雨が降ったわけでもないのになぜ」>です。

<静かな山間部の集落を突然、大量の土砂がのみ込んだ。大分県中津市耶馬渓(やばけい)町金吉(かなよし)で11日未明に起きた土砂崩れは幅約200メートルに及び、男女6人が不明となった。近く結婚を控えていた21歳の女性も巻き込まれたとみられる。>

 

なお、NHKでは<大分 中津 耶馬溪町で山崩れ 6人の安否不明>の中で、<大分地方気象台によりますと、土砂崩れがあった中津市耶馬溪町のアメダスの観測点では、10日夜から11日朝6時までの24時間で0.5ミリ以上の雨は観測していないということです。>と降雨量ゼロといってよい気象条件であったことが示されています。

 

この点について、専門家の解説を西日本新聞記事<降雨ないのになぜ 地下水、地盤風化も影響か 大分・耶馬渓の土砂崩れ>では

 

<本社ヘリで上空から現場を見た福岡大の村上哲教授(防災地盤工学)は、崩れた山の斜面に水が湧き出ていたり、水が流れたりしていることに注目。「山がため込んだ地下水のため、土砂崩れが起きたのではないか」と話す。>

 

また、<地元の建設会社幹部(41)によると、現場周辺は水がたまりやすく地盤が緩いことが、地元の建設関係者の間で知られていた。村上教授はさらに、現場付近は山頂が平らで、水がたまりやすい崩積土(ほうせきど)の斜面だと分析。急斜面のため崩れやすく、岩盤との境に沿って滑り落ちたとみられるという。>

 

そのほか<九州大大学院の三谷泰浩教授(地盤工学)は現場が溶岩台地で、川に沿って風化した山の斜面が浸食される「耶馬渓特有の現象」と分析。垂直方向に地盤の割れ目があり、その割れ目に沿うように、まず地盤が滑り落ちたと考えられるという。崩落地点のさらに上部には亀裂も確認されている。三谷教授は「雨が降ったり、崩れた土砂を除去したりすれば、さらに崩れる恐れもある。>と3つの視点が掲載されています。

 

毎日の別の記事<大分山崩れ岩盤が風化の可能性>では、

 

<九州大学大学院の三谷泰浩教授(岩盤工学)は「調査してみないとわからないが、むき出した岩盤が風化した可能性がある」と分析した。

 三谷教授によると、現場付近は過去の火山活動によって地盤の下部に安山岩、上部に溶結凝灰(ようけつぎょうかい)岩が形成された地域。溶結凝灰岩は亀裂が入りやすい傾向があるといい「雨や地震、長年の風化など、何らかの原因で亀裂が拡大し、安山岩と接する部分を滑り面にして崩れた可能性がある」と指摘する。>

 

さて、いずれも十分な調査を踏まえた上での見解と言うより、一般的な当該地域の地質や崩壊状況からの説明かと思われます。とはいえ、専門家の判断としていくつか傾聴に値すると思っています。

 

ご承知の通り耶馬溪は(ウィキペディアを引用)<新生代第四紀の火山活動による凝灰岩や凝灰角礫岩、熔岩からなる台地の侵食によってできた奇岩の連なる絶景である。凝灰岩や凝灰角礫岩の山には風食作用や河川の洗掘作用によってできた洞窟も多い。>場所で、<日本三大奇勝として知られ、日本新三景に選定され、名勝に指定されている。>わけですね。

 

Google Earthで現地を見ますと、まさに溶岩台地ですね。そこに金吉川が台地の裾を侵食するように蛇行して流れています。

 

溶岩台地であるうえ、三谷教授が指摘されているように、<現場付近は過去の火山活動によって地盤の下部に安山岩、上部に溶結凝灰(ようけつぎょうかい)岩が形成された地域>という地質構造であるなら、風化、亀裂が拡大していてもおかしくはないでしょうね。

 

毎日の記事にある山崩れの写真を見ると、途中で山塊崩落があったかのように垂直の壁ができているところがあります。それが凝灰岩などが風化して垂直の亀裂線が入りまではわかるのですが、安山岩との接する部分を滑り面にしてすべった、崩れたというのがあのじょうたいなのか、素人的にはわかりにくように思うのです。

 

ここの地形や樹林相をみて気づいた点があります。まず、金吉川の流れがここの場所(梶ヶ原)のところで90度に鋭角に曲がっています。この河川では一番の曲がり具合です。とても鋭角な印象です。それが背後の山体の地形・地質に影響するのかはわかりませんが、気になる点です。

 

もう一つ、風化の岩盤が浸食された可能性を指摘されていますが、崩壊前のGoogle Earthの写真では、住宅の背後は広葉樹が大きく盛り上がり、その上部や両側には針葉樹が林立しています。いずれにしても岩盤が雨風にさらされている状況であったとは思えないのです。

 

この写真で、林相が割合、鮮明に分かれていて、その広葉樹付近を中心に崩れ、その結果、上部の針葉樹が引っ張られて、地盤とともに崩れたという印象を受けます。

 

ではなぜ広葉樹やその地盤が崩れたのか、それは今後の調査に待たないといけませんが、なぜ広葉樹だったのかとも関係するかもしれません。写真からは相当大きな広葉樹の巨木が林立しているように見えますが、これもはっきりしません。

 

で、ストリートビューで、崩落前の住宅群を見て気づいたのは、その裏手に防護柵のような設備があります。しかもまだ新しい印象です。仮に土砂崩壊防止のための防護柵だったとしたら、その必要性をどのような調査で判断し、その防護柵程度で良いとしたかが検討されて良いかと思います。

 

上記のNHK記事では<国土交通省によりますと、土砂崩れがあった現場付近は、去年3月に大分県が土砂災害防止法に基づいて「土砂災害警戒区域」に指定していたということです。土砂災害警戒区域に指定されると、市町村は、避難場所や避難経路をあらかじめ検討し、地域防災計画に記載することが義務付けられます。

 

さらに、山の斜面の部分と一部の住宅の敷地は、斜面が崩壊した際に建物に被害が出て住民に大きな危険が及ぶおそれがあるとして、「土砂災害特別警戒区域」に指定されていました。>となっています。

 

「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」の指定に当たっては、一定の地質調査を行っており、その調査報告も参考になるでしょう。ただ、大分県の<大分県土砂災害危険箇所情報インターネット提供システム>では、私のPCの機嫌が悪いのか、うまく作動してくれず、その箇所特定が出てきませんでした。

 

ところで、前記西日本新聞記事では、<地元住民によると、数日前から山に異変があったという。土砂崩れに巻き込まれた男性が数日前から「裏山から石が落ちてくる」と話していたという。山が2、3日前から「ゴー」と地鳴りがしていたとの証言もある。>ということで、前兆があった可能性もうかがえます。

 

こういった「土砂災害警戒区域」の指定では、住民からの前兆の情報を収集するよう事前説明をしっかり行い、センサーなどで定期的に観測する体制を整える必要があることも検討して良いのではと思うのです。

 

私の所感は、なぜ金吉川が直角に曲がっているのか、林相が異質な箇所で崩落が起こっている、「土砂災害警戒区域」等の指定や防護柵が設置されていたとすると、大雨以外にも崩落の危険性を告知できていたかなど、気になっています。

 

というのは、溶岩台地などでは、雨水が山体から湧き水などになって出ていないと、思わぬところにたまってしまい、崩落の原因になると考えるからです。防護柵とともに、水抜き装置が必要だった可能性も検討されて良いかと思うのです。

 

たしか昨年は朝倉町の予期せぬ異常な豪雨に伴う斜面崩壊などでしたが、今度は雨のない斜面崩壊ですね。林地管理のあり方としても勉強したいと思います。

 


モリ・カケに一言 <加計文書 愛媛県職員と官邸やりとり全文>などを読んで

2018-04-11 | 行政(国・地方)

180411 モリ・カケに一言 <加計文書 愛媛県職員と官邸やりとり全文>などを読んで

 

さまざまな用件が少しだけ一段落したので、ちょっと気になっていたことを書いてみようかと思います。ま、私が書くまでも内はなしですが・・・

 

その前に、今朝も田中陽希のグレート・トラバースを1時間、じっくり見ながら、初めて1時間室内ジョギングができました。最初は10分でしたが、次第に増えて、陽希さんの歩き走り登り下りを見ていて、次第に元気をもらい、15分、20分、30分と少しずつ増やしていって、ついに1時間です。ま、陽希さんの強靱な持続力には到底及ばないというか、論外の話ですが。

 

それでも南アルプス、中央アルプス、そして北アルプスへと次々と踏破する彼の姿は、美しいし、子供のような純真さと、感情豊かさを感じさせてくれます。そういえば奥穂高の登攀が最後に放映されましたが、私も45年以上前に登ったことを思い出しました。山岳部出身の友人のしごきのような(これは当時当たり前だったのですが)指導で、5月初旬、涸沢でキャンプし、穂高連峰を踏破したのです。私にとっては涸沢までの登りがきつく、参りました。たしか20kg強を担ぐのですが、そんな重いものを担いで歩いた経験がなく、これは泣きたくなりましたね。でも山岳部出身の彼は30kg強をかついでどんどん登り、涸沢につくと、すぐに雪で氷のブロックを作るとっても頼りがいがありました。

 

登攀は軽装でしたので、私にとっては高山病も経験せず、軽快でした。まったく寝袋で寝られないほどの寒さで、睡眠ゼロの状態で登攀しても平気だったのですね。若かったあの頃ですか。

 

そして1週間くらい滞在して下山後、そばがおいしかったですね。モリだったか、カケだったか忘れましたが、どっちも好きですから、あまり大きな違いがなく、忘れがたい味でした。外国で食べるモリ・カケは二度と食べる気持ちが起こらないもので、やはり日本に帰ってきて食べるモリ・カケの誠実で新鮮な味わいはなんともいえません。

 

さてそのモリ・カケは政治の世界ではいつまで続くのか、困った問題ですね。そこには誠実さや新鮮な味わいがなく、ドロドロしたものばかりが目について、ほんとは取り上げたくない話題ですが、一言。

 

佐川氏の国会答弁の日に、「トラック何千台も走った気がするという言い方をしてはどうか」と理財局職員が学園側に持ちかけたというのですから、なんともお粗末というか、ひどい話ですね。

 

これを佐川氏の答弁に合わすためといった話がありますが、どうでしょう。佐川氏の答弁は彼が自分で当日、アドリブでしたものでしょうか。そんなはずがありえないと思います。事前に答弁内容は、首相答弁とのすりあわせもあり、内閣府などとも資料を踏まえて調整して回答しているとみるのが自然でしょう。

 

だいたい、積算根拠の廃棄物量でトラック4000台ちかい搬出入があれば、さまざまな資料と手続きが必要です。通常、搬出入のルート、その道路構造が耐えられるものか(補強が必要か)、沿道の住宅への影響の可能性が問題になるので、近隣説明会の開催や協議が不可欠です。近隣のトラックが通ったかと行った話ではなく、そういった本来の手続きがとられていれば、資料が残っているはずです。その資料を確認すればすむのです。逆に言えば、いまさら口裏合わせをするといった職員のお粗末さを感じますね。無理に誰かから突然、言われて思慮分別を失ってやむなくやったとしか思えません。

 

それをやらしたのは、むろん佐川氏とは考えにくいですね。

 

加計学園問題は、今朝の毎日記事は大量の情報を提供しています。

まず、<加計文書愛媛県職員と官邸やりとり全文>では、

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11時30分》とのタイトルで、

<・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。>

<・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。>

これらいずれも、愛媛県の職員が勝手に書いた内容といえないことは明らかです。

 

<要請の内容は総理官邸から聞いており>は重い言葉ですね。

 

次の指導というか指示というか、これまた政府側でないとここまで具体的にいえないですし、愛媛県職員が仮装してねつ造することも無理でしょう。

< ・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

 ・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。>

 

そして今度は 《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15時00分》です。

 

<・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。>と問題の<首相案件>が上がっていますし、それだけでなく、上記との連携があることまで記載されていることに真実性を否定することは容易でないと思います。

 

次の言葉は、勝手に書けるような内容ではないですね。

<・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。>

 

非常にリアルですし、<安倍総理と同学園理事長の会食>時、下村文科大臣の注文、それへの対応への助言(これは安倍総理がした趣旨かしら?)とあまりに機微な内容ですね。

 

むろん加計学園側からの入り知恵が介入した可能性もないではないですが、そこまで愛媛県職員が備忘録に加工する必要があるとは考えにくいですね。

 

加計文書柳瀬唯夫元秘書官の否定コメント全文>では、柳瀬氏は全面否定していますが、少なくとも当日11時30分のスケジュールを明らかにすべきでしょう。むろんマル秘事項もあるでしょうが、それ相応の説明責任が必要でしょう。藤原氏はどうなんでしょうね。

 

柳瀬氏の木で鼻をくくるような、というか、それ以上に内容を明らかにしない対応は責任ある立場の内容とはいえないですね。

 

その点、中村愛媛県知事は、部下を信頼し、妥当な対応かと思います。

加計文書愛媛知事の会見要旨

 

結局、<加計文書首相答弁崩壊も 官邸疑惑深まる>と指摘されても仕方がないですね。はやく決着をつけてもらいたいものです。


認知症高齢者との触れ合い(1) <『「ユマニチュード」という革命』>を学ぶその1

2018-04-10 | 医療・介護・後見

180410 認知症高齢者との触れ合い(1) <『「ユマニチュード」という革命』>を学ぶその1

 

以前、ユマニチュードを実践されているイヴ・ジネストさんを取り上げたNHK報道を紹介したことがありました。その中で、イブさんがされることは驚きの連続でした。

 

認知症高齢者で寝たきりの人、奇声を大声で上げてばかりいる人、何にも関心を示さない人、それが普通の人になるのです。寝たきりの人が立ち上がり、話し出すのです。奇声を上げていた人に笑顔が戻り話ができるようになるのです。彫刻のように物質化しているように見えた人が動き出し、喜怒哀楽を示す、喜びを表すようになるのです。

 

一度偶然見た番組ですが、鮮烈な記憶として残りました。なぜそのような魔法のようなことが可能なのか、そのときユマニチュードについての解説や基本的な技法についても説明がありましたが、少しわかったような気がしましたが、いつかもう少し学んでみたいと思いました。

 

実際、実家に帰ったとき、認知症の母親にまねごとを試してみましたが、少し母の様子が変わったかなというぐらいで、あまり大きな変化は認めることができませんでした。それは当然です。母親の目線で見る、話しかけながら触る、自分のやることを実況中継のように話しながら行う、両手を持って少し立たせてみる、といったことを番組を見た記憶で、見よう見まねで試したのです。容易ではないなというのが感想でした。当然でしょうね。

 

今回、たまたま図書館で『「ユマニチュード」という革命』を見つけ、しばらくこの本を頼りに著者イブ・ジネストさんと、ロゼット・マレスコッティさん(日本語監修・内科医本田美和子さん)の精神と技法を学び、紹介してみようかと思っています。

 

今日はその第1回目ということになります。本に書かれている内容をその順序で紹介するよりは、気になったところから始めます。

 

ユマニチュードの意味は、前のブログで紹介したかもしれませんが、言葉の意味より中身を知ることが大事かなと思いますし、内容を紹介しているうちに、その目的・意義も自然に理解できるのではと期待しています(これは自分自身にとってもです)。

 

そこで本書は5章の構成ですが、今日はその最後の章を取り上げて、ユマニチュードにアプローチしてみたいと思います。

 

第5章のタイトルは「ユマニチュードに迎い入れる」というものです。その相手の方は認知症高齢者です。それは介護の対応といったよくあるマニュアルとは異なる表現ですね。「迎い入れる」というのです。変わった言葉遣いですね。フランス語でなんという原語が使われているのでしょうか。

 

Accueillirという原語が辞書では出てきましたが、もしこれだと「歓迎」「迎える」といった日本語訳が一般のようです。あえて「迎い入れる」と訳したのは本田氏の意訳なんでしょうかね。

 

ユマニチュードでは、触れるということを大切にしていますが、私は、ユマニチュードを連載で紹介するに当たり、「触れ合う」という言葉を選びました。それはユマニチュードの基本的な4つの柱を総合すると、そういう要素を感じたからです。今後理解が深まれば、また表現も変えるかもしれませんが、とりあえずはこの言葉があっている印象です。

 

さてここでは、まず「人間の第2の誕生」ということが「迎い入れる」ことを理解するための重要な要素として取り上げられています。

 

人間の誕生は、第1、第2、第33つの段階があるというのです。第1は母胎から生まれる生物学的誕生です。これは誰も異議がないでしょう。でも第1の誕生だけでは生きていけないというのです。「種の仲間に迎え入れる」第2の誕生が欠かせないというのです。

 

その「迎い入れる」方法は、ユマニチュードの「基本の柱」、それは「見る・話す・触れる」という包括的コミュニケーションと、自己の尊厳を感じるための「立つ」ことの4つの柱です。」なのです。赤ちゃんがこのようにして「迎い入れる」をしてもらうことにより、「私たちは「おまえは人間だよ」というメッセージを受け取ることができるのです。」

 

おそらくは、この第2の誕生に用いられる4つの柱こそ、認知症高齢者となった人が「迎い入れ」の作法を施すことで、再び人間として誕生することができるという、人間復活のために必須の方法だということではないかと思うのです。それが第3の人間誕生となるのでしょう。

 

このユマニチュードの4つの柱は、見る、話す、触れる、立つということですが、その方法はとても繊細さが求められているように思います。それは一面では赤ちゃんに接するように、あるいは赤ちゃんに教わるように、触れ合う必要があるのだと思います。

 

明日からは、個別にそれぞれの柱を学んでいきたいと思いますが、今日はそのエキス的な表現を取り上げておきたいと思います。

 

1つの柱「見る」ことは「愛の表現」であり、「見ないとは、「あなたは存在しない」と告げること」です。後者は極めて鮮烈的な表現ですが、ずばりではないかと思うのです。

 

2つめの柱「話す」ことは、まず「話す理由は、言語情報を伝えるためだけではない」というのです。これだとわかりにくいかもしれません。話すことは通常、相手に話の内容を伝え理解してもらいその反応を期待しますね。言葉がわからない重度の認知症の方だと言語情報が伝わらないので話す意味がないと思う人が大半ではないかと思います。しかし、そこに誤解があるというのです。赤ちゃんに話しかけるのはなぜでしょう。

 

認知症高齢者は赤ちゃんとは違うと考えるのが普通でしょうね。一旦、言語を理解できなくなったら、理解できるようにならないのだからと・・・それは違うというのです。

 

「沈黙のケアの現場に言葉をあふれさせるための技術」として「オートフィードバック」を提唱するのです。この内容の詳細はまた次の機会にして、基本的には自分が行うことを実況中継するように認知症高齢者に語りかけるのです。

 

3つめの柱「触れる」もまた相当訓練をしないといけないように思います。「優しさを相手に伝える触れ方」という内容は、従来の介護手法に革新をもたらすでしょう。それは「体に触れることは、脳に触れること」という理解ができていないと、かえって悪化しかねないからです。「触れることが自由をもたらす」という言葉も意味深長な言葉です。これらをしっかり学ばないと、とても心の触れ合いができないでしょう。

 

4つめの柱「立つ」がなぜ4つの柱の一つになるのでしょう。「立つことは知性の根幹」であるというのです。立つことの意義、影響の大きさは驚くほどです。その内容も後日として、「人は死を迎える日まで、立つことができる」ともいうのです。立てることで人としての尊厳が保てる、アイデンティティを保持することができるのかもしれません。それは寝たきりの人でも立てるということでもあるのです。そんなことができるか、疑問がわきますが、後日にそれを学びたいと思います。

 

今日はユマニチュード学習、初日ということで、これにておしまい。また明日。


種の保存法 <絶滅危惧種 「センザンコウ」剥製出品 容疑の社長送検>を読みながら

2018-04-09 | 自然生態系との関わり方

180409 種の保存法 <絶滅危惧種 「センザンコウ」剥製出品 容疑の社長送検>を読みながら

 

70年代から90年代にかけて、自然環境保全が北米の議会や訴訟を通じて活発な動きがあったように思います。そこにはさまざまな絶滅危惧種が登場していました。その象徴的な一つが70年代のスネイル・ダーターという小魚の生息域を侵すということでテリコダム論争でしょう。

 

その後も次々と絶滅危惧種が登場して、開発に大きな変更をお呼びしました。90年代初頭のマダラフクロウ保護と北西部森林伐採の制限は、クリントン大統領が最終的な決着をみたのでしたか。

 

このような運動や訴訟の中で、絶滅危惧種法(The Endangered Species Act)は環境保護派にとっては有効な法的手段となっていました。

 

わが国の種の保存法(正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」)は、92年に成立していますが、似たような名称なのに、まったくそのような機能を当初よりもっていません。

 

どこが違うのでしょう。私の仲間といってよいでしょうか、関根孝道さんが翻訳した『米国 種の保存法 概説』はその開発制限・環境保全に実効性のある制度枠組みを見事に翻訳・解説しています。私も原書を読んでいたので、これを日本に紹介したいと思っていましたが、私の力量ではとても叶わないものでした。地道な、そして当時としてはとても先端的な作業を関根さんはやりとげました。

 

その原稿用紙を見せてもらい、その内容の緻密さをみてびっくりして、詳細に字句を追っていったことをいまも記憶しています。ちょうど20年くらい前のことでしょうか。関根さんは大学や大学院の教師をして若い学生に新しい環境思想を吹き込みながら、その後も環境訴訟に取り組み、頑張っているようです。

 

急に『米国 種の保存法 概説』のことやESA訴訟などを思い出したのは、今日の毎日ウェブ記事<絶滅危惧種「センザンコウ」剥製出品 容疑の社長送検>を見て、わが国では、種の保存法はこういう利用の仕方しかされないなと嘆息まじりに感じたからです。

 

これは90年代初頭の段階でも、それまでのいわゆるワシントン条約が取引や貿易規制にとどまり、生息地・生育地保護といった基本的な法制度がないことを問題にしていたのに、いまなおそのような状況は大きな変更がないなと感じてしまいます。

 

記事は<うろこを持つ哺乳類で絶滅危惧種の「センザンコウ」の剥製をインターネットオークションに出品したとして、警視庁戸塚署は9日、種の保存法違反(広告禁止)の疑いで、島根県大田市の通信販売会社「フリースタイル」の男性社長(36)=同県出雲市=と法人としての同社を書類送検した。>

 

<書類送検容疑は2017年10月20~22日ごろ、国際希少野生動植物種に指定されているマライセンザンコウの剥製1体を「現在価格5千円」「インテリアに最適です」などと広告して出品した疑い。>

 

同法の次の規定に違反するということですね。

(陳列又は広告の禁止)

第十七条 希少野生動植物種の個体等は、販売又は頒布をする目的でその陳列又は広告をしてはならない。ただし、特定国内希少野生動植物種の個体等、特定器官等、第九条第二号に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体若しくはその個体の器官若しくはこれらの加工品、第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体等又は第二十条の三第一項本文の規定により記載をされた同項の事前登録済証に係る原材料器官等の陳列又は広告をする場合その他希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として環境省令で定める場合は、この限りでない。

 

ところで、同法でも「第三章 生息地等の保護に関する規制」が規定されていて、とくに「第二節 生息地等保護区」は現行の土地利用法体系の中で、しっかりと実効性のある法制度に作っていれば、日本版ESAに近い機能を持ち得たのですが、実効性ある規定としては単体の捕獲禁止や上記のような取引規制にとどまっています。

 

この問題は日弁連として、96年には「野生生物の保護を求める決議」の中で、「5.種の保存法、環境基本法の制定とその問題点」を簡潔に指摘しています。私も関根さんもこのときのメンバーで、問題点を議論しましたね。

 

また06年には「野生生物との共生のための生物多様性保全法の制定を求める決議」で、より広範に法制度の改革を求めました。

 

いろいろな思い出がつい浮かんできました。中身のない議論でしたが、関心のある方は決議文で簡単に問題点、対策を指摘しておりますので、参考にしていただければと思います。分厚い報告書では、より詳細に言及していますが、これまた紹介するには適さないでしょうね。

 

今日はこれにて失礼します。また明日。


高齢者と口のケア <口のケアと健康 /下 高齢者、療養の質を向上>などを読んで

2018-04-08 | 健康に生きるとは

180408 高齢者と口のケア <口のケアと健康 /下 高齢者、療養の質を向上>などを読んで

 

ピーピーピヒョロロロといったふうな軽やかなリズムの鳴き声がすぐそばで聞こえてきました。ベランダを見るとイソヒヨドリが数mくらい先でぴょんぴょん跳ねています。そして庭先の垣根にぴょんと乗ると、また鳴いています。いい声ですね。

 

前に住んでいたところでは、ウグイスが縄張りにしていたのか、毎日のように鳴いていたのですが、ここでは滅多にウグイスの鳴き声が聞こえてきません。ほかの鳥はいろいろ鳴くのですが・・・ツーピーツーピー(私のは定番の聞きなしではありません)と軽いタッチの鳴き声もしょっちゅうです。シジュウカラですが。

 

今日はイソヒヨドリが谷渡りではないですが、わが家の庭から向こうのヒノキ林にひょいと羽ばたいて渡っていったのですが、そのときの羽を広げた姿がとてもきれいでした。ちょうど眼下で羽ばたいて滑降してくれたので、羽の形もよくわかってうれしい限りです。

 

さて、今日はとくに話題がないと思っていたら、毎日記事<口のケアと健康/下 高齢者、療養の質を向上>とその中で<歯科医師・米山武義さんアドバイス>が身につまされる?思いをしました。

 

私自身、長い間、生活が不規則で、深夜まで飲んで帰った後ばたんきゅうと倒れ込むように寝てしまう日々を過ごした時代がありまして、歯みがきはあまりまじめではなかったというか、やらないで過ごすことが結構あったと思います。その無精が40代過ぎてから、歯の痛みがひどくなり、時折、歯医者さんのお世話になってきました。

 

現在は定期的に近くの歯医者さんに口腔ケアをしてもらっていますが、歯科衛生士さんの指導のおかげで、以前に比べかなりよくなったと自分では思っています。体の中で歯は日々酷使している割には、その世話をきちんと見てこなかったためか、最近のように割と丁寧に口腔ケアをするようになってからは、結構体調もよくなってきたように思います。

 

歯医者さんに行くのは億劫で、いままでは定期的なケアの指導を受けていても、結局、そのとおり継続できず、また歯が痛くなって歯医者さんにいくパターンを繰り返していたのです。ところが、現在お世話になっている歯医者さんは、こんどサボってしまうと歯がだめになると覚悟したせいか、今のところまじめに定期ケアを受けているのです。

 

で、<歯科医師・米山武義さんアドバイス>によると、口腔ケアが要介護者にとって極めて必要性の高い方法であることがわかります。

<要介護高齢者への口腔ケアが徹底していたスウェーデンで学び、帰国して1980年代に特別養護老人ホームで実践すると、誤嚥性肺炎になる高齢者が2年間で4割減った。口の中の細菌が肺に入り込んでしまうことは分かっていたが、口腔ケアをすれば肺炎の発症リスクが下がることを科学的に証明できた。>

 

誤嚥性肺炎といった重篤な症状にならなくても、口腔ケアをして清潔にしていれば、要介護者はもちろんのこと、健常者も(私も)病気になるリスクを減らすことができるのではと思うのです。

 

次のようなその発生メカニズムを知れば、より歯みがきなど自分でできるうちにしっかり身につけておけば、さまざまな病気予防になるでしょうね。歯と歯ぐきは割合やっていますが、舌となるとなかなかできていません。これも今後はやっておかないといけないなと思うのです。

 

<誤嚥性肺炎は主に、(1)胃の内容物が逆流する(2)せきをしたり、むせたりする際に食べ物が気管に入る(3)知らないうちに気管に飲食物や唾液が入る--ことが原因で起きる。予防の基本は、歯や歯ぐき、舌を清潔にし、口の中の細菌をコントロールすること。食べ物を食道に送り込む「嚥下反射」、気管に入っても異物をはき出そうとする「咳(がい)反射」という力を鍛えておくことも重要だ。>

 

<高齢者の口腔ケアの最終目標は「自分の口で食べる」。それは生きる意欲にもつながるからだ。>そうですね、私の母も認知症の進展がさほど早くないのは、自分の手を使って自分の口で食べているからでしょうね。

 

高齢者施設や在宅介護では、このような考え方を取り入れ、口腔ケアを積極的にやり出すところが増えているようで、政府の支援も少しずつ強化されているようです。

 

<介護施設や自宅での口腔(こうくう)ケアは、誤嚥(ごえん)性肺炎の予防や、食べたり話したりする機能の維持に重要だが、不適切なケアはかえってリスクを高める。専門家を含む多職種の連携が鍵を握っている。【有田浩子、堀井恵里子】>

 

私も歯科衛生士さんの指導を受けていますが、彼女たちはとても細やかで丁寧ですので、口腔ケアも指導通りやれば相当よくなるでしょうね。次はその要領です。

<入れ歯を丁寧に洗い、よく絞ったスポンジで舌の汚れを取り、続いて歯磨き。さらに舌のリハビリ、頬のマッサージと、手順通りに進める。約10分で一連のケアを終えた。>

 

介護施設で口腔ケアを実施した効果が示されていて、その有用性が見事に証明されています。

<今年2月までの7カ月間に肺炎で入院したのは定員69人に対し4人(延べ日数116日)で、前年度同期(9人、261日)と比べて人数、入院日数とも半分以下になった。同時期にケアを始めた5施設で肺炎以外も含めた全体の入院日数を比較しても、前年度より2割以上減った。>

 

<入院の減少は、入所者の生活の質の向上だけでなく、施設運営の安定や患者の医療費負担の軽減にも役立つ。>いままで口腔ケアをきちんとしてこなかったために、不必要に入院期間が延びたり、感染のリスクが高まっていたかもしれません。また、医療費増大にもつながっていたといえるでしょう。

 

さらに今月から制度改正で口腔ケアの実効性を高めるようになっています。

<4月の診療・介護報酬改定で、通院できなくなった患者にかかりつけ歯科医が訪問診療を始めた場合の加算が新たに認められたり、ケアマネジャーからかかりつけ歯科医への情報提供が義務付けられたりした>

 

かかりつけ歯科医が今後より身近な存在になるのでしょうね。私自身、その前にほぼそういった歯科医を見つけることができ、安心しています。

 

ところで、そういった要介護者だけでなく、がん患者にとっても口腔ケアの必要性が極めて高いとのことですね。

 

口のケアと健康/上 がん治療、院内歯科と連携>では、これまで病院内にあまり院内歯科を設けるところが少なく、院外の歯科医との連携が容易でない状態が続いていたようです。

 

しかし、口腔ケアをしっかりしておくことで、手術の術前術中術後の状態がよいとのことですね。

 

<口腔外科専門医資格を持つ石橋副部長と歯科衛生士2人という陣容の歯科が院内に置かれたのは、昨年4月。頭頸部外科の藤井隆主任部長は「設置効果は絶大。放射線治療や手術などの際には口の状態をしっかり管理することが大切だが、急な対応も可能になった」と話す。何よりがん治療チームの一員として、患者の情報を共有できるのが最大のメリットという。

 歯科の関わりは、頭頸部のがんだけではない。全身麻酔手術では気管内にチューブを挿入するが、口の中の汚れが肺に押し込まれると肺炎の原因になる。抗がん剤治療をすると、口の中が荒れて食事が取りにくくなるほか、抵抗力が落ちて虫歯や親知らずなどから菌が入り込み、命に関わることもある。>

 

今日はこの辺でおしまいです。また明日。