紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

国語の時間

2007-11-21 22:54:31 | 読書
 中学1年生の娘、Kちゃんは、小学生の頃、呆れる程本を読まない人だった。愛読書はオールカラーマンガ(旅行イラストエッセイ?)『こげパン』で、お出かけする時にはいつもカバンに入れ、電車の中で繰り返し熟読していた。

 こんな状態で、果たして中学校の国語はクリアできるのか、一抹の不安があるには、あった。

 そんな彼女が、中学校の国語の時間に、井伏鱒二の『山椒魚』の前半分をプリントにしたものをもらって来た。やや興奮気味に、この近代日本文学史上に燦然と輝く短編について、アツく語ってくれた。

 「『山椒魚』って、面白いなあ~。もう、爆笑したわ。なんちゅーどんくさいヤツなんや、山椒魚!」

 どんな読み方やねん!

 でもしかし、私も中学生の国語で習ったとき、確かにそう思った。運悪く落とし穴にハマると、どんどん深みにはまって行くタイプ。東海林さだおがネタにしそうなキャラクターに近いのでは?

 しかもプリントには挿絵入りで、それがまた、火に油を注ぐがごとき「どんくさい」顔の山椒魚だったのだ。挿絵によってKちゃんの『山椒魚』お笑い説は、いっそう説得力を増すのだ。

 Kちゃんにプリントをみせてもらって、『山椒魚』の冒頭が「山椒魚は悲しんだ」で始まることを知る。

 「山椒魚は悲しんだ」? 

なんか唐突に悲しむんや。いきなりやな・・・あれ? たしか他にもこういうパターン、読んだことあるぞ。

 そうそう、あれあれ。『走れメロス』や!

 「メロスは激怒した」。

マンガで描いたら、最初のコマで眉間のシワと、こめかみのムカムカマークのカットという、ものすごい顔のクローズで始まるかんじ。タイトルページをめくれば、いきなり激怒するメロスがいるのだ。そうして面食らった拍子に、うっかり引き込まれてしまうのだ。

 それにしても井伏鱒二という人は、どんなお方だったのか? いつものようにウィキペディアを見る。

 実は絵描き志望だったが、弟子入りを断られ、文学に方向転換した人。早稲田大学に入学するも、男性教授よりセクハラを受け休学。復学も試みたが、同教授による妨害により断念。と、思うようにいかない青春時代を送った方らしい。

 井伏鱒二は悲しんだ。

 処女作『山椒魚』と作者のキャラがダブってくるようだ。

 もうひとつ思いもかけない井伏鱒二とガンダムの関係についての記述があった。以下、引用する。

 もともと、ガンダムシリーズの製作者である富野由悠季は、井伏の「黒い雨」に影響を受けていた。それが、既存のアニメとは一線を画す、ガンダムシリーズでのリアルな戦争描写の参考のひとつとなる(現に、機動戦士ガンダムΖΖで、マシュマー・セロのコロニー落としによってダブリンに黒い雨が降り注ぎ、ジュドー・アーシタがそれに打たれながら「黒い・・・雨が・・・」と呟くシーンがある)。その後、事情を知った井伏もガンダムを鑑賞し、感銘を受け大ファンになった、という経緯がある。


井伏鱒二が、ガンダムファンだった!? これ、Kちゃんに教えてあげなくては。ちょっとなんか、都市伝説みたいやなー。

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