紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

冬のメロディ

2006-12-02 16:54:20 | 音楽
 いつしか12月突入である。今日も風は強かったが、午前中は寒さはさほどではなく、布団干しにはうってつけの日だった。

 冬のメロディのことを考える。乾いた風が吹く、寒々しい風景と弱々しい日差しにぴったりなメロディを思い浮かべてみる。まずはシューベルトの「冬の旅」である。

 若くトンネルの中を歩くような1980年あたりに、実家の市内に文化ホールが完成した。オープニングだったか、オープンして間もない頃だったと思う。「ペーター・シュライヤーの歌うシューベルトの『冬の旅』全曲」というプログラムのャXターを見て仰天した。
 「こんな田舎でペーター・シュライヤーの『冬の旅』? 凄いやん!」と思ったにも関わらず、自分自身がまるで気分は「冬の旅」の途中だったもので、重く暗い気持から億劫がって行かなかった。後になってさんざん悔やんだが、時間は戻って来ない。
 冷たい北風に吹かれながら、家路の途中にあるくだんのャXターを見ていた私。ラジオから「冬の旅」が流れると、置き去りにされたあの日の私に「大丈夫だから」と声をかけてあげたくなる。

 大学生の頃、学生生協でレコードの割引セールがあったときに、ジャニス・イアンのアルバムを買って、しばらく繰り返し聴いていた時期がある。70年代テレビドラマの問題作「岸辺のアルバム」を彩った音楽でもある。
 あのクリアで寒々しいメロディーと、シャープな輪郭が切り取られた孤独感が完結してる様子が、なんとも心地よかったのだ。気分は地を這うようだった青春時代にぴったりである。

 それから高校生の頃、性格が真逆の友達が貸してくれた、キャロル・キングの『つづれ織り』のLPレコードに夢中になった。派手でちょいワルでパーマも化粧も早弁も違反スカートもクリアしている彼女と、真面目で勉学に励む乙女だった!私を3年間結びつけた曰く付きのアルバムである。ちなみに私とH氏の所蔵しているLPレコードで3点だけかぶったアルバムのひとつでもある。
 冷たい風の強さがいっそ心地いいような、空気は冷たくとも透明な明るい日差しが降り注ぐような、霜柱を踏んでサクサクいわせるような、しっかりと楔(くさび)を打ち込んで揺るぎない気持にさせてくれるような名盤である。

 冬には日本海側の暗い風景だけでなく、芯の通った凛とした明るさも、私のイメージの中にはあるのかもしれない。
 冬になると、なんとはなく、物思いに浸ることの多い日々。頭の中で勝手に流れてゆくBGMについて少しばかり書いてみました。 

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