紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ノーベル文学賞

2007-10-15 18:57:12 | 読書
 イギリスのドリス・レッシングさんがノーベル文学賞を受賞した。日本のメディアは、「高齢な女性がノーベル賞を受賞した」程度の関心しか示していないように見える。誰、それ?みたいな空気が見え見え。

 私が初めて彼女の名前を耳にしたのは、アフガニスタンの石仏が破壊された2001年頃だったように思う。雑誌か新聞で、もうずっと以前からアフガニスタンの惨状を書き、未来を予見し、警告していた人がいるというのを読んで興味を持ち、自館に1冊だけあったレッシングの『アフガニスタンの風』を数ページだけ読んだ。あまりにもショックな数ページだった。

 彼女がアフガニスタンを訪ねたのは1987年で、それより7年も前にソ連が侵攻していたこと。この時点ですでに、アフガンの美しい町は破壊され、文化財は失われてしまったこと、アフガン人もソ連人も敵味方の区別無く殺され、死んで行ったこと。

 そしてそれについては世界中が無関心で、「アフガニスタンになんて誰も興味を持たないから」という理由で、世界中のメディアから黙殺されていたこと。

 もしかしたら、よほどの大規模虐殺でない限り、報道されない戦いは、世界中にあちこちあるのかもしれない。あまりの無力感にショックを受けた。「自分の目で世界を見たい」という正義感溢れる若い人が、わざわざ危険な地帯に行くのも、メディアへの不信感の現われではないのかとも思う。

 よくアニメや戦隊ものの悪役は「愚かなる人間ども」というフレーズを好んで口にしているが、残念ながら当たっているよなあ、と向こうずねを蹴られたような気分になる。

 マザーテレサが「愛の反対にあるのは無関心です」とおっしゃっていたのは、こういうことだったのだ。


 本国イギリスでは有名な作家さんなのに、日本では著作を探し出すのに苦労する。しかも絶版、品切れが多数ある。たぶん、ドリス・レッシングの著作は、読むのに苦労を強いられるのかもしれない。歯ごたえがありすぎる作風なのかもしれない。
 それでも受賞を機会に、多少なりとも復刊されますように。

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