紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ふなずしパイ

2007-03-29 23:45:06 | たべもの
 滋賀県の特産品である「ふなずし」をお寿司だと思いこんで、購入し電車の中で食べようと包みを開けたら、あまりの強烈な臭いに窓から投げ捨てた、という人がいる。うちの亡くなったおじいちゃんであるが。

 私もはるか昔、関東に五日間の研修に行ったとき、「実費を払うから、ぜひ『ふなずし』送って」と頼まれたことがある。「ええ!? でも あれは食べるの難しいですよ~。滋賀県の人だって、食べない人いるし」と渋ったが、「ぜひに」と乞われてしまった。

 私だって「ふなずし」は求めて食べない。いわゆる古くから伝わる「なれずし」で、お寿司とは似ても似つかない発酵食品である。わざと「醸されてしまう」(CR=「もやしもん」)モノなので、上品に腐っている状態なのである。しかもハレの日(お祭りとか)に食べるものだったので、高級品なのである。好きな人だって、年2、3回くらいかもしれない。

 それを大胆にも送って欲しい、とは。行った事の無い「鮒寿司専門店」におそるおそる足を踏み入れる。不運にも、ふきげんなおばちゃんが店番だった。こわごわ「ふなずし、送りたいんですけど」とお願いしてみた。彼女は「きっ」と私を睨んだ。

 「向こうの人は、『ふなずし』がどんなもんか、知ってはるんですか? 知らはらへんかったら、『こんな腐ったもん、送って!』ってクレームがきますから、ちゃんと説明して送ってくださいねっ!」 どうやらクレームの後に、タイミング悪く来てしまったらしい。

 ちゃんと懇切丁寧に、『正しいふなずし』の状態を説明するために、とりあえず真空パック入りの小さいのを購入した。説明書きの手紙を同封し、クール宅急便に託した。

 しかし運悪く「ふなずし」ご希望のお方は超多忙で帰宅できずにいたのだ。おかげで罪のない「ふなずし」は留守中の家族にひどく邪見にされてしまったらしい。冷蔵庫が(真空パックにも関わらず!)ふなずしの臭いで満ちてしまったからである。おかげで久々帰宅したご主人は、「ふなずし」初心者にも関わらず、家族の手前、意地でも食べ尽くさなければならなかったらしい。哀れなり。

 そんな手強い「ふなずし」を「お菓子」に使おう!という、大胆不敵なケーキ職人が滋賀県にいた! そして1年の試行錯誤の後、完成をみたのが、その名も「ふなずしパイ」である。洋菓子店「モンレーブ」のケーキ職人兼社長曰く、

「鮒寿司独特のにおいはパイにして焼き上げることで全く気にならなくなりました。また酸味がチーズ風味に感じられ、鮒寿司が苦手な人にも食べていただけます。砂糖を使用していませんのでお酒のお供にもいいですよ。おかげさまで売れ行き好調です」

 お酒のお供・・・それって、もしかしてお菓子じゃないのでは? とにかくこういうのは四の五の言わずに食べてみなくては話が進まない。ああ、また自作の宿題がひとつ増えてしまった。

 「ふなずしパイ」の時面が、なんとなく見覚えあるような気がしたのは、村上春樹さんの短編「はちみつパイ」を連想したからだと気付く。ま、「ふなずし」と「はちみつ」は、ひらがなで4文字というだけで、似ても似つかないけどね。

 ☆おわび:昨日のブログは操作ミスのため消失してしまいました。やはりスキマ時間になれない事をしてはいけない。ごめんなさい。

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