紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

北と南の地サイダー

2008-11-30 23:57:11 | たべもの
 『地サイダー読本』読了。読了、というほどには、字の部分が少ないのだけれど。

 それでこの本に掲載されている限りでは、地サイダーの充実しているのが、東北と九州だということに気付いた。九州は、温泉も多いし、やはり南国だから需要もあるのだろうと思うのだが、東北でバラエティに富んだサイダーが作られているのが、意外だった。

 それも『みしまバナナサイダー』とか『金華サイダー シークヮーサー』とか『共栄パインサイダー』とか、どうみても南国フルーツ味のサイダーが市民権を得ているようなのである。どう考えても東北地方でバナナやパインや、ましてシークヮーサーなどを栽狽オているとは思えない。

 この答は本書であかされている。東北の人々は昔は冬になると雪に降り込められ、口にする機会も少ないことも合わせて、南国のフルーツに憧憬と思慕を募らせていたようなのである。彼らの執念とも思える南国への憧れが、南国フルーツ味を希求したらしい。しかもそれらは、すべて大変おいしそう。

 一方、九州のほとんどのサイダーは、あくまでそのサイダーそのものの味で勝負を賭けている。(宮崎のマンゴー味などはむしろ例外で最近のもの。老舗のサイダー製造所はボトル/ラベルに至るまで誇り高く気合いが入っている)
 私がとても気になったのは『謹製サイダァ』。一見まるで日本酒のようなボトルパッケージ。和紙ラベルに筆文字という純和風で上品な装い。ただものではない、と直感したが、はたして料亭や旅館、寿司店などにのみ販売されている格の高いお方なのだった。一般のお客には、それらのお店を通してしかお目どおりできない、やんごとなきお嬢様なのである。

 他にも楽しい趣向が凝らされた地サイダーなども紹介され、たかがサイダー、されどサイダーという気分。あのしゅわぁっという音や、コッブの内側に付く無数の泡が、めくるめくほど爽やかな気分にさせてくれる、ファンタジーに満ちた飲み物なのである。

*追記:アーサー・ビナードさんの講演のあった夜、図書館職員さんで彼を囲むお食事会に出席された方がいらっしゃり、その方とゆっくりお話できる機会があったので(ふだんは忙しくてお話どころではない)、ビナードさん自身の講演の感想などを聞いてみた。
やはり、中学生のなかにも熱心に聞いていてくれた子も少数ながらいるのが、講演しているビナードさんにもわかっていたとのこと。自分の話が届く子どもたちがいた、ということで納得されておられたという話を聞いて、ああよかった!と、うれしく思ったことを報告しておきます。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (☆紗)
2008-12-02 03:04:58
私の職場でも、夏季限定ご当地サイダーを売りました。夏みかんサイダーでした。
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Unknown (れんくみ)
2008-12-02 17:49:49
ああよかった!よかった!ありがとさん。
この頃、ちょっと遅れて、
もんのすごい忙しかった今年の秋を取り戻しに
あちこち出鰍ッて(すべて仕事のついでってのがちと何ですが・・)ます。
そこここで、若い一人旅らしい外人さんを見かけ、
『大和し うるはし・・』と
感じてくれる方がいればいいなあ・・って
思います。僭越ではございますけど。
そして、今の所、日本が外人さんにとって
安全な国であってよかったと思います。

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Unknown (紙魚子)
2008-12-02 23:19:01
>☆紗さん
もしも夏にご飯を食べに行った場所のメニューに「夏みかんサイダー」(季節限定)ってあったら、私は必ず注文するでしょうね! よく出たんじゃないでしょうか?

>れんくみさん
ビナードさんは漢字に興味があって、しかも食べ物が口に合うところ、という選択で、聞いた話では「日本食レストランの冷や奴がいたく美味しかった」から日本にいらっしゃったそうです。食べ物は大事ですよね。

「今のところ」日本は安全な国ではありますが、今後も海外の方達に「日本には素晴らしい憲法がある」という信頼を維持できるかどうか・・・。いまそれを覆す発言をしている人がいますもんね・・・。
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