教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

日本がイノベーションのジレンマにハマった理由

2015-03-09 23:14:45 | 科学
「日本の技術力は高い」
と言ってくださる人が大勢いる現状には、エンジニアの我輩一同、大変感謝したい。

しかし!

当のエンジニアの我輩はモノによってはとてもじゃないがそうとは思えないような…、というか諸外国に激しく劣っているんじゃないかというところもある。

それは何か?

それはだな。
空気を読まずに強硬する強靭さである。



ある程度会社の規模がデカくなると、自分の部署内だけで設計が完結しないので、どんなに嫌でも関係部署といろいろやることになる。
どこでもそうだと思う。

ところがどっこい、これがクセモノである。
社内で誰かが決めた共通化ルールみたいなのがあって、それをベースに設計しなければいけないような空気になっているときが特にクセモノである。

自分の部署の範囲外のことでおかしなルールが決まってしまっているようなとき、それをひっくり返すのは非常に難しい。
だって自分たちの裁量の範囲外なんだから。

そういうとき我々は
「うっとうしいし不毛からもうそれでいいや」
となる。

これは日本人だけの特徴だとは断言しきれん。
しかし、和をもって尊しとするという日本人は特にそうなりやすいはずだ。


これの弊害はいったい何なのか?

たとえばソニー。

MP3プレーヤーなんてソニーがいちばん先に作るべきだった。
しかし法務部がゴネたおかげで商品化が遅れに遅れた。

iTunesのような音楽配信サービスだって映画/音楽部門をかかえているソニーがいちばん先に作るべきだった。
しかし映画/音楽部門がネット配信することにゴネたおかげで商品化されず、アップルに全市場まるごと食われた。

これはどうするべきだったのか?

エンジニアが法務部と意地でも戦って説き伏せるべきだったのか?
エンジニアが映画/音楽部門と意地でも戦って説き伏せるべきだったのか?

業務でこういうことにかかわった経験がある人なら
「うっとうしいし不毛から俺はかかわりたくねぇ・・・」
と誰しも思うはずだ。

だからソニーはイノベーションのジレンマに陥った。

本当はソニーだってイノベイティブなプランは立案されていたはずなんだ。

ソニーの中には
「俺はあのときジョブズと同じことを何年も前に言ってだんだ! なのにあいつときたら…」
と言ってるヤツらは絶対いる。

ソニーの現状がこうなのは、関連部署の顔を立てすぎ、空気を読む能力に特化したスタンド使いの島耕作的な男しかいない世界になったからだ。

これはソニーだけの問題ではない。

わたしだって
「うっとうしいし不毛から俺はかかわりたくねぇ・・・」
と思ってあきらめることは多々ある。

たぶん日本の大手ハイテク企業のほとんどはそうだろう。

しかし、たぶん韓国はそうではない。
あそこは儒教社会で目上の人の言うことには絶対服従であり、和を尊ぶという道徳観が存在しないため、トップダウンで何でも決まる。
だから調子のいいときは業績は急拡大し、調子が悪くなるとあっという間に会社が傾く。



日本にはジョブズのように空気を読まずに強硬する強靭な人間は大変少ない。

中には
「なぜ日本にはジョブズが現れない!」
と言っている経営者がいるが、
「そういう人間をおまえの部下が叩きつぶしてるだけだwww」
と言わざるを得まい。



これはソニーだけの問題ではなく、日本の問題である。
我輩自身の問題でもあるが、自分自身でも解決しがたい。

なかには
「なんてこったい!」
と思って何とかしようと立ち上がってくれる人がいることを願う。