デットオーバーハングとは何か?
これは借金の物量の話である。
不動産投資の話で例えよう。
ある人がマンションを買いたいとする。
初回は銀行はよろこんで貸してくれる。
この人は1件目でうまくいけば2件目も買いたくなる。
既に借金がある状態での2件目は審査が少しきびしくなる。
2件目もうまくいけば3件目、4件目も買いたくなる。
どんどん借金を増やしていくと、どこかで銀行が貸してくれなくなる。
それ以上に増やそうとするとスルガ銀行などのヤバめの金融機関から借りるしかなくなる。
そうなるとすごく高い金利を取られる。
さらにどんどん借金を増やしていくと、スルガ銀行でさえ貸してくれなくなる。
もう物件は増えない。
このタイミングで不況が来ると、銀行は担保割れしたからもっと担保を差し出せと言ってくるかもしれないし、空室率が高くなって手持ちの現金が不足するかもしれないしで、物件を売らないといけないハメになるかもしれず、こうなるともうビジネスとしては拡大どころか縮小の方向となる。
借金とは、机上の空論では
「儲けが出るなら可能なかぎりたくさん借金して利益を最大化せよ!」
となる。
だが、実際問題としては借金増やしすぎて
「あいつヤバいんじゃね? 借金ホントに返せるの?」
と貸すほうに思われたところで成長がストップする。
この問題のことをデットオーバーハングという。
これはリーマンショック前後のカタカナ不動産屋でも起きたことだ。
たとえばダヴィンチ・ホールディングス。
2007年ごろのプチ不動産バブルに乗り、急激に拡大した。
ひところは1兆円ファンドなどと呼ばれ、一部上場の老舗の不動産屋を時価総額でごぼう抜きし、ジャスダックの盟主とまで呼ばれた。
しかしリーマンショックであっという間に転落。
3年後には債務超過のうえ上場廃止になったとさ。
これがデットオーバーハングの実例である。
これは現実の現象である。
しかし!
国家の債務にまでその話を当てはめようとするヤツが最近増えてきた!
たとえば↓これだ。
国は自己破産できるのか
国際社会が議論・整備を進めてきた救済の仕組み
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20150317/278831/?P=2&mds
> 実際、過重債務による経済の疲弊(デットオーバーハング)はよく知られている。国際通貨基金のリッチ氏とルイスアランス氏、そして世界銀行のコルデラ氏の最近の共著によれば、政府債務残高のGDP(国内総生産)比率が20~25%を超えると、経済成長率は減速し始めるとの実証結果が報告されている(図参照)。
これは順序が逆だろ。
経済成長率は減速し始めると、税収はすぐに減るが、政府支出はそう簡単には減らせない。
(埋蔵金があると豪語していた民主党政権のことを思いだすがよろし)
また、経済成長率は減速し始めると、民間は借金を減らしにかかる。
なぜ民間は借金を減らしにかかるかはデットオーバーハングで説明できる。
(バブル発生現場はどこでも借金過多なのよ)
全員が借金を減らしにかかると全員の貯蓄が減るので景気がさらに悪化する。
そうならないように政府が支出を増やしてバランスを取るようにし、ドカ貧にならないようにする。
(そうしたのが日本のバブル退治であり、そうはせずに政府も支出を減らそうとしたのがギリシャ)
だから
「政府債務残高のGDP比率が20~25%を超えると、経済成長率は減速し始める」
のではなく、
「経済成長率が減速し始めると、政府債務残高のGDP比率が20~25%を超えて増加する」
が正しい。
いまの韓国がリアルタイムでその状態になっているからよく観察してみるといい。
そもそも債務が多すぎるとき何が困るのかという原点に立ち返って考えてみよう。
債務が多すぎると、ヤバいヤツだと思われ、金利が上がるので、加速度的に苦しくなる。
いまのギリシャがそうだ。
しかし!
日本政府は債務が多すぎるかのように思われるが、金利はちょっと前なんか10年モノですら0.2%を割りそうなところまで達しており、デットオーバーハングの兆候はこれっぽっちも見られない。
このギリシャと日本の違いは何なのか?
それはだな。
外貨の借金かどうかの違いなのだ。
ユーロは全員にとって外貨だが、円は日本国政府にとっては外貨ではない。
円でも大正時代みたいに金ペッグにしていると、金の価値が外貨みたいなもんなので、切り下げでもしないかぎり債務が増えると金利が急激に上昇する。
もし日本国政府の債務がドル建てでGDPの200%超えなんてことになっていたら、そりゃあもうギリシャまっしぐら状態だったのは確実だ。
基本的に政府はデットオーバーハングしない。
するのは外貨で借金した国だけだ。
だからこのデットオーバーハングの間違った理解のもとで
「景気が悪いときにこそ政府の支出を減らせば景気が良くなる!」
と言うヤツの話には耳を傾けてはいけない。
これはギリシャでやってみて既に大失敗済みなのだ。
けっきょくケインズは正しかった。
これは借金の物量の話である。
不動産投資の話で例えよう。
ある人がマンションを買いたいとする。
初回は銀行はよろこんで貸してくれる。
この人は1件目でうまくいけば2件目も買いたくなる。
既に借金がある状態での2件目は審査が少しきびしくなる。
2件目もうまくいけば3件目、4件目も買いたくなる。
どんどん借金を増やしていくと、どこかで銀行が貸してくれなくなる。
それ以上に増やそうとするとスルガ銀行などのヤバめの金融機関から借りるしかなくなる。
そうなるとすごく高い金利を取られる。
さらにどんどん借金を増やしていくと、スルガ銀行でさえ貸してくれなくなる。
もう物件は増えない。
このタイミングで不況が来ると、銀行は担保割れしたからもっと担保を差し出せと言ってくるかもしれないし、空室率が高くなって手持ちの現金が不足するかもしれないしで、物件を売らないといけないハメになるかもしれず、こうなるともうビジネスとしては拡大どころか縮小の方向となる。
借金とは、机上の空論では
「儲けが出るなら可能なかぎりたくさん借金して利益を最大化せよ!」
となる。
だが、実際問題としては借金増やしすぎて
「あいつヤバいんじゃね? 借金ホントに返せるの?」
と貸すほうに思われたところで成長がストップする。
この問題のことをデットオーバーハングという。
これはリーマンショック前後のカタカナ不動産屋でも起きたことだ。
たとえばダヴィンチ・ホールディングス。
2007年ごろのプチ不動産バブルに乗り、急激に拡大した。
ひところは1兆円ファンドなどと呼ばれ、一部上場の老舗の不動産屋を時価総額でごぼう抜きし、ジャスダックの盟主とまで呼ばれた。
しかしリーマンショックであっという間に転落。
3年後には債務超過のうえ上場廃止になったとさ。
これがデットオーバーハングの実例である。
これは現実の現象である。
しかし!
国家の債務にまでその話を当てはめようとするヤツが最近増えてきた!
たとえば↓これだ。
国は自己破産できるのか
国際社会が議論・整備を進めてきた救済の仕組み
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20150317/278831/?P=2&mds
> 実際、過重債務による経済の疲弊(デットオーバーハング)はよく知られている。国際通貨基金のリッチ氏とルイスアランス氏、そして世界銀行のコルデラ氏の最近の共著によれば、政府債務残高のGDP(国内総生産)比率が20~25%を超えると、経済成長率は減速し始めるとの実証結果が報告されている(図参照)。
これは順序が逆だろ。
経済成長率は減速し始めると、税収はすぐに減るが、政府支出はそう簡単には減らせない。
(埋蔵金があると豪語していた民主党政権のことを思いだすがよろし)
また、経済成長率は減速し始めると、民間は借金を減らしにかかる。
なぜ民間は借金を減らしにかかるかはデットオーバーハングで説明できる。
(バブル発生現場はどこでも借金過多なのよ)
全員が借金を減らしにかかると全員の貯蓄が減るので景気がさらに悪化する。
そうならないように政府が支出を増やしてバランスを取るようにし、ドカ貧にならないようにする。
(そうしたのが日本のバブル退治であり、そうはせずに政府も支出を減らそうとしたのがギリシャ)
だから
「政府債務残高のGDP比率が20~25%を超えると、経済成長率は減速し始める」
のではなく、
「経済成長率が減速し始めると、政府債務残高のGDP比率が20~25%を超えて増加する」
が正しい。
いまの韓国がリアルタイムでその状態になっているからよく観察してみるといい。
そもそも債務が多すぎるとき何が困るのかという原点に立ち返って考えてみよう。
債務が多すぎると、ヤバいヤツだと思われ、金利が上がるので、加速度的に苦しくなる。
いまのギリシャがそうだ。
しかし!
日本政府は債務が多すぎるかのように思われるが、金利はちょっと前なんか10年モノですら0.2%を割りそうなところまで達しており、デットオーバーハングの兆候はこれっぽっちも見られない。
このギリシャと日本の違いは何なのか?
それはだな。
外貨の借金かどうかの違いなのだ。
ユーロは全員にとって外貨だが、円は日本国政府にとっては外貨ではない。
円でも大正時代みたいに金ペッグにしていると、金の価値が外貨みたいなもんなので、切り下げでもしないかぎり債務が増えると金利が急激に上昇する。
もし日本国政府の債務がドル建てでGDPの200%超えなんてことになっていたら、そりゃあもうギリシャまっしぐら状態だったのは確実だ。
基本的に政府はデットオーバーハングしない。
するのは外貨で借金した国だけだ。
だからこのデットオーバーハングの間違った理解のもとで
「景気が悪いときにこそ政府の支出を減らせば景気が良くなる!」
と言うヤツの話には耳を傾けてはいけない。
これはギリシャでやってみて既に大失敗済みなのだ。
けっきょくケインズは正しかった。