DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

風(4)

2018-07-06 17:06:35 | ButsuButsu


琵琶湖の湖底に沈む古代の壺を見つけた。

昨年末に見つけた壺より、口が小さくて、長さも短いようだ。

用いたのは、「ほばりん」という名の、自律型水中ロボット。

東京にある、海上技術安全研究所が2年前に作った最新型だ。

かくいう私もそのプロジェクトに参加していた。

このロボットの特徴は、安定して航行し、測位精度が高いところだ。

ひたすら写真を撮り、湖底を撮影し、数時間後には浮上してくる。

深さ70メートルの水中にも風が吹いている。

というか、水が流れている。

そのせいか、壺は埋もれていない。

上から降ってくる堆積物が、吹き飛ばされるのだろう。

この世には、埋もれて見えないものと、埋もれなくて見えるものがある。

えらい違いだなと思う。

人間としては、できれば後者でありたいと思うのだが、そんなに都合よくいかない場合もある。

7月13日から17日まで、別のロボットを使って壺を撮影に行く。

今のうちに記録を残さないと、次回は埋もれているのかもしれない。

そんな焦りにも似た気持ちで、ひたすら湖底を見続ける。

そこには、誰も見たことがない、お宝が沈んでるかもしれない。

案外、歴史的な発見は、そんなひたむきな観察から見つけ出される。

まさに、琵琶湖の底は、日本のタイムカプセルなのだ。

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