「ICHI」

　監督　曽利文彦
　原作　子母澤　寛「座頭市物語」より
　脚本　浅野妙子
　キャスト　綾瀬はるか　大沢たかお　中村獅童　
　　　　　　窪塚洋介　　柄本　明　　竹内　力　
　　　　　　島　綾佑　ほか

　その女、座頭市。座頭市なら物語は面白いはず、でも果たして・・と最初は思った。綾瀬はるかがここまで演じてくれるとは思わなかった。これまで普通に思って来た売れっ子だが、一遍にファンになってしまった。この顔がいい。１枚画像を選ぶならどうしてもこれを選ぶ。それほど思いを顔に出したシーン。これも盲目という役柄が演じさせたのか？
　ＰＧ－１２でのっけから残虐なシーン。でもそれ以降は王道の時代劇の面白さに引き込まれて行く。ただこの映画が違っているのが、居合切りの使い手だが、市があくまで弱い女性ということ。そして遠く彼方の父の姿を求め、愛を遠ざけながらも淡い恋に灯りを見つける・・。
　大沢たかおは暗くなりがちのこの映画で明るさを出す。（途中までまどろっこしいが）。大沢たかおが演じる　藤原十馬（とうま）をとんまと呼んで楽しませてくれる島　綾佑も、悪党から宿場町を守ろうとする白河組の若い２代目を演じる窪塚洋介も役にぴったりだ。何よりも悪党の統領の万鬼を演じた中村獅童の憎たらしさが良かった。そして、綾瀬はるかが・・もう一度見たい。そう思わせる。
　残虐なシーンもある時代劇だが、若い人も、女性も共感を呼ぶはず。そして、黒沢作品、北野武監督や篠田正浩監督の作品などの良さ、面白さを凝縮した展開と、市の孤独とその愛に泣かされる。

　音楽もいいのでエンディングロールでもずっと聞いていた。

ファミリー度　６０点　カップル度　８５点　映画好き度　９０点　

【公式】映画「ICHI」予告トレーラー [高画質]