何か縁起の悪いタイトルですが、カーニバルの1カ月前というと、各チームの各ポジションで首切りミーティングが行われていました。
たとえば、私が今年参加した、サンパウロのとあるサンバチームでは、バテリア(打楽器隊)の前で踊る人を決めるためのミーティングを急きょ、行うことになりました。練習会場で「明日、午後4時からバハカン(作業場)で誰がバテリアの前で踊るかミーティングをします」と突然、チームの幹部から召集がかかりました。
私は、このチームのナンバー3とも言われる人から、「あなたはバテリアの前よ」と10月頃から言われていたので、安心しきっていたのですが、実は決まっていなかったのだと知り、ドキリとしました。
あわただしく山車制作が進む作業場の片隅で、ミーティングは始まりました。参加者は、チームの会長、ナンバー3の役員、マドリーニャ(名づけ親)、ハイーニャ(女王)、そして私でした。会長以外は、ドキドキしています。会長を待っている間、ハイーニャは、「私をもう外すなら、それでもいいから、早目に言ってほしい」と涙目になっていました。
ナンバー3の役員が「会長、今年のコルチ(バテリア前の王室メンバー)はどうするか、意見を聞かせてください」と切り出しました。
会長は「ハイーニャは、今年もサンドラ。彼女はすべてのイベントに出演したから。サンドラのお父さんは、ヨチヨチ歩きのときから、このチームに参加している」。サンドラは、今度は、今年もハイーニャに決定した安堵感から、再び涙ぐみ、会長に「ハイーニャは泣かないよ」と笑われていました。
次は、ハイーニャの隣に座っていた私に来ました。「アキは、このチームでは新顔だけど、これまでの練習での態度から、バテリアの前で踊る」と会長は話しました。そうか、今までそうやって試されていたのだ、と初めて気がつきました。でも、王室のメンバーに入れてもらえたから、まずはひと安心でした。
そして、次はレアンドラ。「レアンドラには、今年はこれまでより大きな責任を持ってもらいたい。幹部として、チーム全体を見てもらいたい。コルチのコーディネーターを務めてもらおうと思っている」。
これは、レアンドラにとって、相当ショックだったようでした。そもそも、前回の練習に、今までに一度もこのチームに来たことのない人が、「マドリーニャ」と称して、練習に加わってきたことに、ハイーニャをはじめ、不快に思っていた人がいたようです。私も、レアンドラの立場はどうなるのか、と気になっていました。
レアンドラがコーディネーターというのは、言ってみれば、「戦力外宣言」を受けたようなものです。彼女は、「マドリーニャでなくなるのは悲しいけれど、コルチ全体を見るように頑張ります」ときっぱり発言していたので、私は感心しました。
このミーティングに参加していなかった昨年までのコルチが2人いたのですが、会長はそれぞれの存続について、コメントしていました。
2年前までのハイーニャで、昨年のムーザ(女神)については、「彼女は今年は数えるほどしか練習に出ていないから、もうクビ。だけど、この前のイベントのとき、4人分の衣装を貸してくれたのは、彼女だったから、その恩はあるな」
そして、もう1人については、「彼女は、さんざん他のサンバチームで楽しんでいて、うちに来ていない。最後のチャンスをあげて、もう来なかったら、さよならだ」。
かなりシビアな首切り会議でした。同じようなことが、他のチームでもありました。
夫が所属しているバテリア(打楽器隊)でも、24人しか出場できないクィーカ(楽器の名称)のポジションをめぐって、誰を入れて誰をはずすか、ミーティングが行われました。
カーニバル1カ月前は、サンビスタにとって、かなりドキドキの時期なのです。
たとえば、私が今年参加した、サンパウロのとあるサンバチームでは、バテリア(打楽器隊)の前で踊る人を決めるためのミーティングを急きょ、行うことになりました。練習会場で「明日、午後4時からバハカン(作業場)で誰がバテリアの前で踊るかミーティングをします」と突然、チームの幹部から召集がかかりました。
私は、このチームのナンバー3とも言われる人から、「あなたはバテリアの前よ」と10月頃から言われていたので、安心しきっていたのですが、実は決まっていなかったのだと知り、ドキリとしました。
あわただしく山車制作が進む作業場の片隅で、ミーティングは始まりました。参加者は、チームの会長、ナンバー3の役員、マドリーニャ(名づけ親)、ハイーニャ(女王)、そして私でした。会長以外は、ドキドキしています。会長を待っている間、ハイーニャは、「私をもう外すなら、それでもいいから、早目に言ってほしい」と涙目になっていました。
ナンバー3の役員が「会長、今年のコルチ(バテリア前の王室メンバー)はどうするか、意見を聞かせてください」と切り出しました。
会長は「ハイーニャは、今年もサンドラ。彼女はすべてのイベントに出演したから。サンドラのお父さんは、ヨチヨチ歩きのときから、このチームに参加している」。サンドラは、今度は、今年もハイーニャに決定した安堵感から、再び涙ぐみ、会長に「ハイーニャは泣かないよ」と笑われていました。
次は、ハイーニャの隣に座っていた私に来ました。「アキは、このチームでは新顔だけど、これまでの練習での態度から、バテリアの前で踊る」と会長は話しました。そうか、今までそうやって試されていたのだ、と初めて気がつきました。でも、王室のメンバーに入れてもらえたから、まずはひと安心でした。
そして、次はレアンドラ。「レアンドラには、今年はこれまでより大きな責任を持ってもらいたい。幹部として、チーム全体を見てもらいたい。コルチのコーディネーターを務めてもらおうと思っている」。
これは、レアンドラにとって、相当ショックだったようでした。そもそも、前回の練習に、今までに一度もこのチームに来たことのない人が、「マドリーニャ」と称して、練習に加わってきたことに、ハイーニャをはじめ、不快に思っていた人がいたようです。私も、レアンドラの立場はどうなるのか、と気になっていました。
レアンドラがコーディネーターというのは、言ってみれば、「戦力外宣言」を受けたようなものです。彼女は、「マドリーニャでなくなるのは悲しいけれど、コルチ全体を見るように頑張ります」ときっぱり発言していたので、私は感心しました。
このミーティングに参加していなかった昨年までのコルチが2人いたのですが、会長はそれぞれの存続について、コメントしていました。
2年前までのハイーニャで、昨年のムーザ(女神)については、「彼女は今年は数えるほどしか練習に出ていないから、もうクビ。だけど、この前のイベントのとき、4人分の衣装を貸してくれたのは、彼女だったから、その恩はあるな」
そして、もう1人については、「彼女は、さんざん他のサンバチームで楽しんでいて、うちに来ていない。最後のチャンスをあげて、もう来なかったら、さよならだ」。
かなりシビアな首切り会議でした。同じようなことが、他のチームでもありました。
夫が所属しているバテリア(打楽器隊)でも、24人しか出場できないクィーカ(楽器の名称)のポジションをめぐって、誰を入れて誰をはずすか、ミーティングが行われました。
カーニバル1カ月前は、サンビスタにとって、かなりドキドキの時期なのです。