透明マンション

　東京の高層マンションの建築ラッシュもすごいですが、サンパウロも空いた土地があったかと思うと、ニョキニョキと高層マンションが建っていきます。
　そんな中で、斬新なデザインのマンションがひときわ目立っています。それは、ひと言で言えば、透明マンションです。外壁もエレベーターホールも駐車場の出入り口もすべてシースルーなのです。

　よく高級マンションに強盗が侵入しても、高い外壁に囲まれていて、外からは中の様子が全くわからず、いったんマンション内に入り込んだ強盗は、５軒も６軒も次々に同じ建物内の家を荒らし放題だそうです。マンションの公共スペースをスケルトンにするには、単に新しさを追求しているのではなく、防犯上欠かせないのでしょう。

　しかし、街のどこかでいつも強盗事件が起きているサンパウロ。より安全なマンションを・・・と探していったら、行きつくところは、どの部屋もすべて外からシースルーというマンションになってしまいそうです。

　

ファベイラの立ち退き料

　ブラジルのあちこちにあるファベイラ（貧民街）。空いている土地に勝手に住みついた人たちで形成している一角のことをファベイラ、といいます。
　３年前、私はサンパウロのとあるファベイラの近くでピストル強盗に遭い、おまわりさんに「犯人がファベイラの中に逃げ込んだら、僕たちもお手上げだからね・・・」と言われ、やはり恐ろしいところなのだ、と実感したものでした。

　サンパウロ一の高級住宅地、モルンビ地区にもファベイラは存在します。しかし、このファベイラ一帯に高級マンション兼ショッピングセンターを作ることになりました。当然、このファベイラの住民には立ち退き命令が言い渡されたのですが、建設会社が支払う立ち退き料の額を聞いて、驚きました。

　４０，０００レアイス、約２７０万円なのです！　もともと地代も家賃も払わずに住んでいたところに、２７０万円なのですから、これは大金です。サンパウロの郊外へ行けば、小さなアパートが買えるくらいの値段です。
　ファベイラの家が取り壊されると同時に、この額面の小切手がその家の住民に手渡されるそうです。

　狭いサンパウロの我が家にも誰か立ち退き料を支払ってくれないか、と願いたくなります。

　

サンバ歌手の移籍

　サンパウロのサンバチーム「モシダージ・アレグレ」の歌手、ダニエル・コレッチ氏が、別のチーム、Ｘ－９へ移籍することが決定しました。
　彼がモシダージから出ることは、すでに４月に決まっており、関係者はすでにショックを受けていたのですが、彼の行き先がＸ－９で、ダブルショックとなっています。
　
　ダニエル氏は、低迷していたモシダージを盛り上げ、２００４年、２００７年と二度もチームの優勝に貢献し、今年は、「サンパウロ一のサンバ歌手」として新聞社に表彰されていたほどの実力者だけに、私もチームの一員として、とても残念に思っていました。
　ふだんの練習で、彼が歌う前のみんなを盛り上げ方に、何度となく私は感動し、涙したものです。
　チームの有志が作っているニュースレターでも、彼の移籍が惜しまれていました。

　ですが実はサンバ歌手の移籍というのは、頻繁にあることで、この点はもう少しドライに考えないといけないようです。確かにダニエル氏は、ここ数年モシダージの看板歌手でしたが、以前はＸ－９のメインボーカルではありませんでしたが、歌手の一人でした。
　また、Ｘ－９の看板歌手であったロイス・ド・カバッコ氏もホーザス・ジ・オウロ、Ｘ－９、トン・マイオー、ネネと主力チームを次々に移籍しました。

　ダニエル氏がいなくなったモシダージ、それでもチームは２００８年のカーニバルを目指して、頑張り続けます。

再びサンパウロへ

　再びサンパウロに舞い戻りました。７年間の沖縄生活は、今、振り返ると夢のようです。１９９５年から住んでいたサンパウロに再び戻ると、日々の生活があまりにも「普通」なので、本当に沖縄に７年もいたのだろうか？　と不思議に思います。

　しかし、サンパウロは寒いです。これから８月まで、さらに寒くなっていくかと思うと、この冬を乗り越えられるかどうか、心配であります。

　４月に一度、サンパウロに出てからこの２カ月間、サンバ衣装や道具の引越で日々本当に目まぐるしかったのですが、ここに来てようやく、やれやれ、と一息ついています。しばらくはゆっくりできそうです。