「このバス、サウダージ葬儀場まで行きますか?」
カーリンのお葬式の朝、私はピニェイロスから出る市外バスの乗り場で、来るバスごとに、運転手さんに食いつくように尋ねていました。
埋葬の時間に遅れてはいけないのですが、サンパウロ市を超えて走る、市外バスというものに、乗ったことがなかったので、地図を見ても、さっぱり行き方がわからないのです。
自宅から2時間ほどで、何とか昨日の葬儀場にたどりつきました。サントスFC応援団の幹部は、昨日から寝ずにずっとここにいたようで、みんな昨日と同じ服を着たままでした。
名誉会長は、私の姿を見るなり、
「あんたのダンスのパートナーがいなくなっちゃったな」とおいおいと泣き出しました。カーリンの棺の周りは、昨日のお通夜よりも、多くの泣き声に包まれていました。
いよいよお別れのときがきました。牧師さんのお話が終わり、カーリンの棺が閉じられました。カーリンのおばあちゃんは、「ああ、もうすべて終わりだ」と泣き崩れていました。
棺は、埋葬する丘まで運び出されました。悲しみの行列の中で、静かにスルドの音が響いていました。スルドは青かったので、カーリンの地元のサンバチームの物だったのですが、叩いていたのは、サントスFC応援団のバテリア(打楽器隊)一の古株、ダビデでした。
彼のスルドだけが響く中、カーリンの棺は丘の斜面の中に入れられていきました。その上から、左官士のような葬儀場の係の人が、セメントをかぶせていきます。本当にもうこれでお別れです。カーリンへの拍手が送られました。
セメントがきれいに平らになったとき、チームの名誉会長が話を始めました。
「私たちのハイーニャ、カーリンは、最後の最後まで、チームに尽くした人でした。カーリンは亡くなっても、私たちの心の中に生き続けます」。
続いてチームのアルモニア(統制係)の長が、スルドにリズムの合図を送り、私たちのチームのパゴージを歌い始めました。カーニバルのときには、必ずこの歌からスタートする曲です。まさか、こんな悲しい思いをしながら、この歌を歌うときがあるとは思いませんでした。
カーリンと私がバテリアの前に入るときの歌でもあります。
♪バチ タンタン ショーラ カバッコ イ ビオラ
アレタ トルシーダ ジョーベン エ オーラ
私はその場にいた、この歌を知る数少ないうちの一人であったため、なるべくしっかり歌おうとしましたが、なかなか声になりません。
お葬式のすべての儀式が終わったあと、カーリンが入った丘の前で、彼女の同級生の友達が4人、号泣しながら「カーリン! なんで逝ってしまったの!」と叫んでいました。
私はもうこれ以上、ここにいることが辛くなり、泣きながら帰りのバスに乗り込みました。
カーリンのお葬式の朝、私はピニェイロスから出る市外バスの乗り場で、来るバスごとに、運転手さんに食いつくように尋ねていました。
埋葬の時間に遅れてはいけないのですが、サンパウロ市を超えて走る、市外バスというものに、乗ったことがなかったので、地図を見ても、さっぱり行き方がわからないのです。
自宅から2時間ほどで、何とか昨日の葬儀場にたどりつきました。サントスFC応援団の幹部は、昨日から寝ずにずっとここにいたようで、みんな昨日と同じ服を着たままでした。
名誉会長は、私の姿を見るなり、
「あんたのダンスのパートナーがいなくなっちゃったな」とおいおいと泣き出しました。カーリンの棺の周りは、昨日のお通夜よりも、多くの泣き声に包まれていました。
いよいよお別れのときがきました。牧師さんのお話が終わり、カーリンの棺が閉じられました。カーリンのおばあちゃんは、「ああ、もうすべて終わりだ」と泣き崩れていました。
棺は、埋葬する丘まで運び出されました。悲しみの行列の中で、静かにスルドの音が響いていました。スルドは青かったので、カーリンの地元のサンバチームの物だったのですが、叩いていたのは、サントスFC応援団のバテリア(打楽器隊)一の古株、ダビデでした。
彼のスルドだけが響く中、カーリンの棺は丘の斜面の中に入れられていきました。その上から、左官士のような葬儀場の係の人が、セメントをかぶせていきます。本当にもうこれでお別れです。カーリンへの拍手が送られました。
セメントがきれいに平らになったとき、チームの名誉会長が話を始めました。
「私たちのハイーニャ、カーリンは、最後の最後まで、チームに尽くした人でした。カーリンは亡くなっても、私たちの心の中に生き続けます」。
続いてチームのアルモニア(統制係)の長が、スルドにリズムの合図を送り、私たちのチームのパゴージを歌い始めました。カーニバルのときには、必ずこの歌からスタートする曲です。まさか、こんな悲しい思いをしながら、この歌を歌うときがあるとは思いませんでした。
カーリンと私がバテリアの前に入るときの歌でもあります。
♪バチ タンタン ショーラ カバッコ イ ビオラ
アレタ トルシーダ ジョーベン エ オーラ
私はその場にいた、この歌を知る数少ないうちの一人であったため、なるべくしっかり歌おうとしましたが、なかなか声になりません。
お葬式のすべての儀式が終わったあと、カーリンが入った丘の前で、彼女の同級生の友達が4人、号泣しながら「カーリン! なんで逝ってしまったの!」と叫んでいました。
私はもうこれ以上、ここにいることが辛くなり、泣きながら帰りのバスに乗り込みました。