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サントスFC応援団 最後の練習

2008-05-19 | サンバ
サントスFC応援団のカーニバル前の最後の練習会場に足を踏み入れた途端、信じられない光景を目にしました。

 サンバ・クィーンのカーリンが亡くなってから最初の練習で、彼女のお葬式から4日しか経過していません。それなのに、カーリンのお父さんが、いつもの土曜日のように、スルド(大太鼓)を練習場の真ん中に並べて、チューニングをしているのです。まさか、今日、お父さんが来ているとは、思いませんでした。

 子供を亡くした直後だというのに、カーニバルへの責任感だけで、この会場に来ているのです。バテリア(打楽器隊)のメストレ(指揮者)として、最後の練習を休むわけにはいかない、と思ったのでしょう。
 おそるおそる挨拶をしに行くと、いつも以上に明るく返してくれたような気がしました。

 先週の土曜日、危篤の知らせが入ったときに、バシーニヤ(チビ)というあだ名の女性が私に声をかけてきました。「アキ、カーリンに伝えておいてね。カーリンがここでサンバしているのをバシーニャが見たいと言ってたって」
 この日、私はバシーニャを見た途端、泣かずにはいられませんでした。「カーリンに伝言は伝えたけれど、でも、無理だった」

 泣きながらトイレに駆け込み、着替えの準備に入りました。
 いつもなら、カーリンと2人で、トイレの端で着替え、メイクをし、サンバシューズに履き替え、バテリアの音が聞こえると、あわてて仕上げをするのですが、カーリンの姿はここにはもうありません。
 
 一人で悲しんでいると、マドリーニャが入って来ました。このチームで踊って29年、という大ベテランです。彼女に、カーリンのお母さんも、兄弟もみんな今日、ここに来ていると聞き、さらに驚きました。

 両親が悲しみを越えて来ているのだから、私も泣かずに、頑張らなければいけない、と言い聞かせて、練習へ向かいました。
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