今日のコトバvol.213『恐怖支配は会社を低能化させる』親子経営のヒント【こうすれば組織は変えられる】
【今回の重要なキーワード】
1、セミナー受講者と違って、社員研修には効果を期待しないと思っている人が大多数
2、リーダー研修で、変化する人は僅かに10%という厳しい現実
3、企業研修の目的は、僅かに視点の角度を変えること
4、僅かな視点の高さ、視野の広さの変化が、長い年月では大きな差につながる
5、研修のアプローチには大きく2つの方法がある
6、アイデアを出すときは、心理的安全性とリラックスできる場を意識する
7、短時間の制限の中で集中力の確保と、最初のきっかけの部分だけ経験してもらう
8、あえて、雑談することを推奨する時間帯を作る
『企業で研修を実施する目的と効果!そして10%の変化が意味することとは?』
「企業で社員研修をすることには大した意味はないし、大きな効果もないし、変化も生まれない!」
この事を確信している人、研修を受講される人の中には、結構多いと思っています。
薄々、研修の効果がないことを感じている人も含めると、大多数の人が効果を感じていないのではないでしょうか?
実は、この事は根拠のない話ではなく、事実です!
こんな研修に関するデータが有ります。
数万人規模の一部上場企業で、すべての年代の一流人材300人に、リーダーシップトレーニングを、
膨大な時間とコストをかけて、実施した結果、
トップマネジメント層に向けて変化した人材は、わずかに10~20%だったというものです。
研修する側の人間からすると、300人うけて、効果のあった人材がわずか30人しかいないとなると、
研修会社であるなら、死活問題になってしまいますし、会社内の人材育成部門であるとすれば、まったく評価されないのではという、
懸念が生まれ、やり方を変えられるのでは、または配置転換が心配になってしまいます。
しかし、この会社の人事トップは言います。
「これでいいんです、この研修を10年、20年と続けていけば、トップマネジメントになっていく人材が、数十人規模になっていく
この人材が、将来の会社を作っていく礎になり会社にイノベーションを起こしていくのですからと」
【企業の社員研修は覚えるものでなく、ちょっとした視点の角度を変えるのが目的】
企業研修が詰め込み型受験勉強と同じというイメージを持っている人、私の周りにもとっても多いです。
企業のトップマネジメント層の中にも、こんな方は結構な割合でいらっしゃいます。
でもこれは、大きなカン違いと言わなければなりません。
知らないことを、座学で学び知るだけで、出来ないことが直ぐに出来るようになって、
現場のスタッフさんの能力が、あっという間にアップする。
こんな夢物語は絶対にあるはずはないのです。
膨大なお金と優秀な人材を駆使して、気の遠くなるような時間をかけても、
わずかな効果しか生めないものを、わずか1回の研修だけで、急にすべての業務を完ぺきにこなし、
リーダーシップを発揮して、困難な問題にも、すぐに対応できてしまう、
スーパービジネスパーソンが生まれる研修、こんなものを望むこと自体が、大きな考え違いなのです。
これは、戦後の受験戦争といわれた時代から続いた、記憶力偏重の学校教育の方向性から来る、
弊害ではないかと考えています。
しかし、企業で研修を実施する目的と求める効果は、この研修内容を記憶してしまえばOKで、
それ自体がすばらしいと考えるところとは、ま逆のところにあります。
研修をもって、インパクト、刺激を与えることで、
自らの特徴を客観的に分析し、長所、短所を理解し、
自らの変革を自ら求めて、変化し続けていく人材に育つ、きっかけを作ることです。
【まず伝えなければならないのは記憶力の良し悪しは全く関係ない事】
残念ですが、記憶の良し悪しは60%は先天的な遺伝によるものです。
ここは、努力だけでは、その差を埋めることは出来ません。
もしも、企業が求めるリーダーの姿が、物覚えに特化したものであるなら、
研修をやる意味は、ほとんど無くなってしまいます。
今でも、優秀な人材イコール記憶力のよい人というイメージが、社会の中には少なからず存在しますが、
しかし、会社を前に進めていくイノベーションの原動力になるリーダーは、
必ずしも記憶力抜群のリーダーが適任というわけではありません。
過去に多くの失敗を経験し、それでも、新たなことにチャレンジし続ける姿を、見せられる人、
こんな人材を生み出すことが、会社が企業研修に真に求めているところなのです。
【新しい事を身に着けていく過程で異なる2つの方向からのアプローチが考えられる】
ここで、研修には大きく違う2方向からの、アプローチが考えられます。
1つは『普段の行動を変えることで、見えてくる、考え方、物事のとらえ方の違いに気づいて、現在のやり方を見直ししてもらうアプローチ』
もう1つは、『考え方、とらえ方の新たな引き出しを学び、学びを実践することで生まれる差違を経験して、知識を智慧に代えていくアプローチです』
行動が先か?知識が先か?という事です。
日本では、前者の行動を変えることによって、まずは形から入るという考え方が一般的かもしれません。
歌舞伎、狂言、能楽、落語などの伝統芸能や、漆器、陶器などの器などの伝統工芸、
造園や、屋根瓦などの建築技術などは、守破離という形で学んでいきます。
一子相伝で伝えるものも多く、幼児のころから、1対1で厳しい稽古や、
修行を積んで、一人前になっていくというものです。
まさに、精密に基本の型を伝えて、体と感覚で、身に着けていきます。
最初は意味が解らなくても、体験をし続けることにより、動きの意味に気づき、
物事のとらえ方や、考え方が変わって、視野が大きく開けて成長していきます。
一方欧米では、より合理的な学び方が、一般的と言えるでしょう。
まずは目的に合致した目標を定め、達成に必要な新しいことを学ぶ
⇒学んだ事を実践する
⇒上手くいったことや、成長出来たことを、周りに伝えてより理解を深める
⇒うまくいかなかった事は、改善してうまく出来るまでチャレンジし続ける
ある程度のコツや、方向性を学んでも、すぐに出来る事ばかりではないので、
難しくて、直ぐに出来ないことに関しては、最後は個人個人で違う、感性や、感覚によるとことが大きいので、
こちらも、やはり、一定期間の訓練、トレーニングが必要になってきます。
これらからどちらのアプローチを選択するかは、学ぶ側の資質や、成長のレベルによっても、変わってきます。
例えば、人生の中で自分に起きることのすべてが学びだと思っている人にとっては、
道端にある看板や、標識、自宅のポストに入っている広告や、ダイレクトメール、ちょっとした人との会話など、何からでも学べます。
ですから、このような人は、どんなアプローチで、社員研修をしても、講師の伝えたかった物以上の学びを手に入れることが出来るでしょう。
逆にすべて周りがお膳立てすることが当たり前とか、教えてくれないと出来ないと思っている人、
さらに、研修など受けても、自分は成長できないし、学ぶ事がめんどうだと思っている人だったらどうなるでしょう。
大企業でない限り、一般的な中小企業では、
少し仕事が出来るようななった先輩社員が、後輩社員を仕事の中で、教える事が一般的でしょう。
形だけ日本的なやり方ですが、伝える方も、それを受け取る方も、低いパフォーマンスでは、このアプローチで、研修の効果は見込めないでしょう。
自分で、仕事が出来ることと、教えることや、他者の成長を支援出来ることとはまったく違う能力が必要になります。
相手を尊敬して、得意苦手を見極め、相手の大事に思っている考え方、相手が、自分でも気づいていない本当にやりたいことを知らなければなりません。
最もすばらしいと評価される経営者は、未来に人材を残した経営者と評されるように、人材を育てることは、最も難しいことのひとつです。
こんな最難関の仕事を、経営者に変わり実現できる、研修講師がいるとすれば、常に人間について学び、
人というものを、きわめてよく知る、人材と言えるでしょう。
仮にハードクレーマの対応研修を実施するとします
私が研修を引き受けるとすると、この研修を実施する上での、ポイントはこんな感じになるでしょうか?
【この研修のポイントとは?】
① 最初に内容を覚える必要はない事を伝えます。
② この研修の、2つの目的の説明をします、
③ 研修の効果と到達点の話をします。
④ 2名1グループでのワーク形式で実施します。ワークは時間制限をもうけます。
⑤ 出来るか?出来ないか?は問わない環境で、『何の制限も無いとしたら、どんな方法があるのか?』でアイデアを出し合います。
⑥ 最初の1回目だけ、何の前提も無い状態で、ワークをやってみる
2回目以降は、ガイドラインとなるものを参考にしながら、ワークを実施します。
このワークの中で、体感したことを、メンバーとシェアします。
⑦ 明日から始めるとして、抵抗なくすぐに出来る事を、具体的に3つ挙げて、メンバーでシェアし、実施していきます。
⑧ ワーク中の雑談をあえて推奨することで、耳から入るキーワードから生まれる視野の変化に期待する!
☆ 最初に内容を覚える必要はない事を伝えます。
経営幹部をされている方たちの中にも、研修には答えがあると考えられている方が多いです。
もちろん、研修を受けるメンバーの方たちも同じです。
前述で示した通り、学校教育の弊害と言いましたが、受験のテストのように、答えが有り、白黒がはっきりしているものだと考えているようです。
しかし、人間のコミュニケーションの関係する、クレーマーに対応するような研修に、こうやればうまくいくなど、たった1つの答えは存在しません。
対応するメンバーも、クレーマーも、他にはいない唯一無二の人間です。
全く同じ遺伝子を持つ人間が存在しないように、うまくいく方法もそれぞれの人によって変わってくるのです。
ですから研修内容をノートとったり、内容を丸暗記しても全く意味がないのです。
ここで感じて頂きたいのは、『人間の考え方は、1か0かの2択ではない事』
その間に無数の微妙な考え方が存在し、しかも時と共に変化を続けている事を理解し、
『物事のとらえ方を、スケールで考える視点に気づいてもらうことです』
☆ この研修の、2つの目的の説明をします。
① お客様の苦情対応で、本当に望んでいることを聞き出す声賭けや、質問と
② 悪質クレーマーおよび、警察通報事案であるか?否か?を判断して、一般の苦情と切り分け、
相談部門に繋げるまでの、プロセスを経験していただく事を、目的としている。
では、判断の基準はどうするのかという問題がありますが、厚生労働省が、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルという、
ガイドラインを示してくれていて、企業研修に使うように薦めてくれています。
厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
こちらを参考に各企業のカスタマーハラスメント指針を設定し、マニュアルを作成することで、基準を準備できます。
☆ 研修の効果と到達点の話をします。
前述したように、いきなり別人になるような効果が期待できるわけではありません。
しかし、こういった研修には、受講者の方が到達してほしい姿は設定しておかなければなりません。
ケースワーク形式の研修では、過去に実際にあった事例をふまえて、過去の追体験都という意味で、
事前の予備知識なしで、現場の臨場体験をしていただき、グループでアイデアを出ししながら、より良い結果にできなかったか?を検証していただき。
次に、対応の基準を設けた形で、対応策のアイデアを協議した時にかかる時間の違いや、事案の進み具合を体験をもって、感じてもらいます。
今回の体験と、感じたり、気づいたものが、これから、現場で実施する、実際のクレーム対応に向けての、普段の心構えや、考え方の第一歩となりきっかけと言えます。
この小さな小さな物の見方の変化が、今回の研修の目指している効果と言えます。
最終到達点は、クレーム対応の枠に収まらない、すべての仕事のシーンにおいて、今回の仮説検証を生かし、
一つの成功にとどまらない、うまくいったことを疑ってかかり、さらに良くしようとする、チャレンジし続けるマインドを身に着けることです。
☆ 2名1グループでのワーク形式で実施します。ワークは時間制限をもうけます。
2名単位のグループを作り必ず自選で、リーダーを決めます。
リーダーは、アイデアや、意見を取りまとめて、発表します。
リーダーの決定は、2分間、各事案のワークは、1項目5分で実施します。
時間制限をもうけるのは、ポモドーロ効果により、集中力を高めて、ワークを実施していただく狙いがあります。
各項目5分では、結論が出ないだろうという意見もあると思いますが、そもそも、この研修の場で、答えを出す事を目的としていません。
実際の、クレーム対応の現場では、それこそ一瞬で、カスタマーハラスメント事案かどうかや、
警察通報に該当する事案であるかどうかの、判断を迫られることになります。
分単位でなく秒単位で判断できるようになるための、最初の第一歩を経験することが最も大切な研修の目的の1つになります。
☆ 出来るか?出来ないか?は問わない環境で、『何の制約も無いとしたら、どんな方法があるのか?』でアイデアを出し合います。
心理的安全性を確保した環境での、ミーティングを経験してもらう目的もワークには存在します。
今回の、クレーム対応研修に限らず、ワーク形式での研修では、自分の枠の外に一旦出て、そこで発想を展開する訓練も経験していただきます。
普段の仕事環境の中では、様々な制限が存在します。
自分で判断が許される範囲が限定される、権限の制限。
協力いただける可能性がある人材や、部署などの人的リソースの制限
時間が限定される、自由になる時間の制限。
ですから現場での発想はどうしても、制限があることが前提で自然に制限がかかってしまうのです。
普段使わない脳の部分を使う訓練はこのような時でないと実施出来ないでしょう。
☆ 明日から始めるとして、抵抗なくすぐに出来る事を、具体的に3つ挙げて、メンバーでシェアし、実施していきます。
今回の研修で、将来出来てなければならない姿の、一部を実際に体験していただくわけですが、
これだけで終わってしまっては、少し時間が経つと、たいていの受講者は、元の状態に戻ってしまします。
現場ではその続きを実施し続けるためのフォローアップをしていかなければなりません。
そのためには、周りから押し付けられたアクションでなく、自分で取り決めたてやっていきたい、アクションを作り出さなければなりません。
できれば、これに関するアクションは、習慣になる方向で現在既に行っている対応に紐づけて、作るのがよいでしょう。
これによって、実行することの心の抵抗が少ないアクションを作る事が出来ます。
さらに、実施しているところがイメージしやすいように、具体的な行動に落とし込んで作ることも押さえておかなければなりません。
☆ 敢えて雑談を推奨するワークスタイルにチャレンジします。
雑談が企業の生産性をアップさせるという話を耳にするようになりました。
昭和の時代から、ビジネスに携わっている、私たちにはにわかに信じられない話ですが、
実際に数値で証明済みという事なので、エビデンスがある事なのだと、改めて驚きました。
1、メンバー間の人となりをより知ることで、人間関係が良好になる。
2、ストレスの解消につながる
3、情報収集の場として役立っている
4、視野を広げたり、発想の転換が出来たり、アイデアの創出につながる
アイデアを出し合うタイプの研修では、前提として、リラックスできていることが、非常に重要になってきます。
もともと人類は、集団生活の中で助け合いなから、生き残ってきた種です。
ですから、良好なコミュニケーションを活発にすることは、脳の状態、体の状態をよい方向に変化させ、
リラックスと集中を生み出し、能力を向上させます。
人間の思考は、頭の中で言葉を使っての物なので、良好な雑談の中で、耳から入ってくるワードがきっかけで、
別の視野が開けたり、その言葉をもとに、アイデアがひらめくことは、めずららしいことではありません。
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【チョー楽しいメンタルフローな組織創り】
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