「さながら風が木の葉をそよがすように」 谷川俊太郎
さながら風が木の葉をそよがすように
世界が私の心を波立たせる
時に悲しみと言い時に喜びと言いながらも
私の心は正しく名づけられない
休みなく動きながら世界はひろがっている
私はいつも世界に追いつけず
夕暮や雨や巻雲の中に 自らの心を探し続ける
だが時折私も世界に叶う
風に陽差に四季のめぐりに 私は身をゆだねる──
──私は世界になる
そして愛のために歌を失う
だが 私は悔いない
さながら風が木の葉をそよがすように
世界が私の心を波立たせる
時に悲しみと言い時に喜びと言いながらも
私の心は正しく名づけられない
休みなく動きながら世界はひろがっている
私はいつも世界に追いつけず
夕暮や雨や巻雲の中に 自らの心を探し続ける
だが時折私も世界に叶う
風に陽差に四季のめぐりに 私は身をゆだねる──
──私は世界になる
そして愛のために歌を失う
だが 私は悔いない