chuo1976

心のたねを言の葉として

牡丹    鹿島太郎

2015-10-02 04:42:44 | 文学

牡丹    鹿島太郎

 

 

花瓶の中で

馥郁と匂いを放っている大輪の牡丹


この暗い病室の風景と

凡そちぐはぐなそして清純であって

強烈に明るい花弁


私のじっとみつめる瞳の奥に

杳い記憶の中の彼の人の美しい微笑がよみがえる

こうして側に倚って牡丹を眺めていると

薄紅色が己が肌に沁み込んでくるようだ


じっとり濡るゝような愛の色よ


その花弁のしげみの奥に

私の心の揺籠を静かに揺り動かす手がある

こうして牡丹を瞠めていると眼が痛くなる

眼をとじると急に周囲が明るくなって

病室が花園に見える


牡丹の中に私があるのか

私の心の中に牡丹があるのか

━━わからなくなる

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf