What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

『十の罪業 Black /Red 』 エド マクベイン 編

2009年05月14日 15時22分44秒 | 図書館で借りた本
 先日までの反動で、借りて直ぐに読み終わってしまった二冊です(笑)だって、おさめられているお話全部が面白かったんですもの。ご自分のお好みな作家さんを探すのに最良な二冊ですよ♪

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○『十の罪業 Black 』 (創元推理文庫)

 ジェフリー・ディーヴァー 「永遠」
 スティーヴン・キング 「彼らが残したもの」
 ジョイス・キャロル・オーツ 「玉蜀黍の乙女(コーンメイデン)-ある愛の物語」
 ウォルター・モズリィ 「アーチボルトー線上を歩く者」
 アン・ペリー 「人質」

○『十の罪業 Red 』

 エド・マクベイン 「憎悪」
 ドナルド・E・ウェストレイク 「金は金なり」
 ジョン・ファリス 「ランサムの女たち」
 シャーリン・マクラム 「復活」
 ローレンス・ブロック 「ケラーの適応力」

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 巻頭にある「実力派作家たちの書き下ろし中篇小説アンソロジーを編むという、巨匠エド・マクベインの依頼に、現代を代表する人気作家が応えたミステリーアンソロジー」という説明が、まさに全てを表している二冊でした。

中学生くらいの頃から、古本屋さんを巡っては、内外のミステリーやSFのアンソロジーを買い集めて読むのが大好きだった私には、嬉しい二冊でした。古今東西、有名な作家さんの小説をたくさん読むには、アンソロジーは最適です。こんな作家さんが居るんだ、こんな作風があるんだと知るも好し、好きだと思った作家さんの他の作品を読むのも好し、美味しくて堪らんと思いませんか?(笑)

 オススメをつけた三作品の中で、だんとつに面白かったのが「復活」。アメリカに奴隷制度が整然と存在していた時代、「生きるため」という名目の為に行われる多くの作業、ただただ静かに長い人生を生き伸びていく主人公の造形が圧巻です。

あの9.11事件を、こんな風な語り口で書ける作家さんは他にはいないだろう思うのが「彼らが残したもの」。哀しいかな、今となってはよくあるタイプの事件(たぶん、本当は大昔からあったんだろうと思われる事件)に遭遇した人たちの、みなが血を流して過ごした毎日とそれからを書いた「「玉蜀黍の乙女(コーンメイデン)-ある愛の物語」の二作も読み応えがありました。

それとオススメはつけませんでしたが、作者のアン・ペリーの過去を知っていて読むと、この家族内の猛烈な息苦しさ、男性と女性を越えた人としての在り方を、妻が夫へ伝えようとする葛藤が、よりいっそう肌にびりびりするくらい伝わってくる「人質」も秀逸でした。
コメント
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