風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 『シンデレラ』 @東京文化会館(5月3日)

2015-05-07 00:06:03 | バレエ




とってもキレイな舞台でした~~~
東京文化会館の舞台が童話の世界に変わってた~。
事前にyoutubeでDVDの映像(今回と同じキャスト)を一部観ていたのだけれど、セットも照明も衣装も実物の方がずっと美しく見えました。
バレエのシンデレラを観るのは今回が初めてで、このビントレー版としばしば比較されるアシュトン版は観たことがないのですけど、この演出、私はとても好きでした。
全体にわたって夜の星のイメージなんだね。舞踏会でも柱や壁に星の影が映ってて

幕の使い方も象徴的で面白かったな。夜を思わせる濃紺色で時計が大きく描かれていて、一幕&二幕の前では針が12時直前を指しているのだけど、(舞踏会で12時を迎えた後の)三幕の前では時計は壊れていて、割れたガラスの破片が散ってゼンマイも飛び出て、針も取れてしまっている。
衣装は、ヘアスタイルがロココ調で、ドレスはゴシック調? 色合いもデザインもセンスが良かった こういうちょっと怖いお伽話みたいな雰囲気って、あちらのバレエ団はよく似合いますよね。
そして照明が、生で見ると本当に美しかった。昼の陽の光が夜の月の光に次第に変わっていく様子とか、舞踏会が終わった後、シンデレラが目覚める場面の朝の光とか。

キャストは、主役のお二人も脇役の皆さんも、この作品にピッタリでした。
王子役のイアン・マッケイは、特に好みのダンサーというわけではなかったのだけれど、珍しくバレエの王子を見てこういう王子なら付き合いたいわ~と思った笑(ジークフリート王子とか絶対付き合いたくないもの^^;)。優しそうだし、守ってくれそうだし。正統派の王子様はいいね。
シンデレラ役のエリシャ・ウィリスも、健気で薄幸そうな雰囲気がシンデレラそのもの。豊かな表情もよかったなぁ。二幕の王子とのパドドゥが愛に溢れていて、だから三幕では幸せになれてよかったねぇと心から感じた(*^_^*) そして美しい服の王子がボロ服のシンデレラと踊る姿は、王子がシンデレラを心で選んだことが視覚的に伝わってきて、温かい気持ちになりました。

ガラスの靴の使われ方も素敵でした。
ガラスの靴はお母さんの形見で、シンデレラは継母や意地悪な姉達に苛められて悲しい気分になったときは、いつもこの靴とお母さんの写真?を眺めては自らを励まして頑張っていました。彼女の魅力的なところは、現状をひたすら悲しみ続けるのではなく、藁の箒を王子様に見立てて一緒にダンスを踊ったり、どんな状況でも失われない素直な前向きさと心根の優しさにあるのだと思います。
シンデレラが最後に王子と幸せになることができたのは、魔法の力というよりも、彼女自身の力なのだと思う。
そんな彼女が三幕で仙女(実は死んだお母さんの精霊)にガラスの靴を返す場面は感動的でした。これからはシンデレラには王子様がついていてくれるから、もうこの靴は必要ないんだね。お母さんも、ようやく安心することができるんだね。

音楽がロミジュリと似てるなぁと思ったら、同じ作曲家(プロコフィエフ)なのですね。

カテコにはふつうにカエル&トカゲ&ネズミさん達も参加笑
この動物達のかぶり物も、品があって素敵でした~。

最後は恒例のSAYONARA See you againの垂れ幕と紙吹雪。
今回は5階サイド席(5,000円也)でしたが、一番中央寄りの席をゲットすることができたのでほぼ見切れもなく、2時間半たっぷり夢の世界を堪能することができました




来日公演ではこの動画でシンデレラが羽織っている明るいピンク色の布はもう少し地味目な色合いのものに変わっていて、そちらも素朴な顔立ちのエリシャによく似合っていました。