最近観劇が続いてしまっているので今月の歌舞伎座は行こうかどうか少し迷ったのですが、玉三郎さんの花子は、富姫さまと並んで私の二大好物・・・。
やっぱり行くべし!と、千穐楽に行ってまいりました。
会社を早退して第三部(今月は三部制)の開演45分前に着いたら、二人椀久はもう完売(これも観たかった;;)。娘道成寺も発売1時間前にもかかわらず立ち見のみでした。12月の末に外で1時間並んだよ・・・。こちらも開演時には完売になっていました。
旧歌舞伎座の閉場式でも踊られたという『京鹿子娘五人道成寺』
行く前は「五人道成寺て・・・何かのジョーク?」と思っていたのだけれど。
実際に観てみたら、笑うどころか、まさかの胸にこみ上げるものが・・・。
世代の異なる、五人の花子。こうして並んで踊る姿を観ると、こんな気持ちになるのだなぁ。やっぱり娘道成寺って特別な舞踊ということでしょうか。
華やかで楽しくて、でもそれ以上の何かが胸に残った夜でした。
玉さまの花子は、恨みと哀しみと恋しさと、色っぽさとあどけなさと、この世のもんじゃない感と人間の娘らしさ、その全てが無理なく自然に表れているのよね。
でも観終わった後に一番心に残るのは、やっぱり恋情で。
この余分な力の入っていない自然さは、先月の菊五郎さんの勘平に通じるものを感じました。至芸だ、と思った。
オペラグラスを外しても、花子の感情が伝わってくる。
今回玉三郎さんが担当されていた部分は、娘道成寺の中で私が一番好きな玉さまの場面だったから、もう一度観ることができて本当に嬉しかった。
そして菊之助との『二人道成寺』のときと同じく、ご自分が前に出て目立とうという感じを全く受けない。娘道成寺を次の世代に繋いでいく、そんな想いを強く感じました。
そしてそれをしっかりと受けとめていた4人の花子。
勘九郎、七之助、梅枝、児太郎。
それぞれに個性があって、とても楽しめました。
勘九郎だけは男性ぽい、というかイキのいい?花子に見えたのですが、「加役の花子」とはこういうものなのだろうか(加役という言葉、今回知りました)。
一人だけちょっと世界が違うように見えたので、勘九郎の娘道成寺はいつか一人で踊るのを観てみたいなと思いました。
とはいっても、七之助(こちらは女性らしさいっぱい)との兄弟共演。この兄弟が並んで娘道成寺を踊る姿を観られるなんて・・・!なんという贅沢でしょう。
梅枝。最近落ち着きすぎ感が気にならなくもない梅枝でしたが、意外に「落ち着きすぎていない」花子で、いい感じでした。
児太郎。色っぽくていいなあ。すごく雰囲気がありますよね。これからが本当に楽しみ。
最後の鐘入り。鐘の上から所化達を睨む花子。
玉三郎さんが一番上手にいて、その下に順に勘九郎、七之助、梅枝、児太郎がいて。
この光景が視覚的に訴えてくるものといったら・・・!
華やかだろうな~とは想像していたけれど、こんな気持ちになるとは本当に予想外でした。
この独特の迫力は歌舞伎以外ではあり得ないものだと思う。文楽でもきっとない。
こうして一つの芸を世代を超えて繋いでいくんだね。
仁左さまの吉田屋@顔見世が観られなかったのはすごーーーく残念だったけれど、これを観ることができてよかった。
ここ数年は歌舞伎で観劇納めでしたが、今年はこの後にもう一つ。ミュージカル『RENT』で観劇納めです♪