風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ムーティが語る「ヴェルディへの敬愛」

2023-03-23 23:18:13 | クラシック音楽

ヴェルディの人生は、まさに苦悩の連続だったといえるでしょう。その自身の経験があったからこそ、彼は喜びや苦しみ、嘆きなど人間の感情を音楽によって表現することができたのだと思います。ヴェルディのオペラ作品には常に愛と希望というメッセージが込められています。

どんな悲劇でも、フィナーレでは必ず彼が天上からの救いを与えてくれているのです。もちろんこの天上というのはカトリックやその他の宗教的な意味ではありません。『リゴレット』のジルダ、『仮面舞踏会』のリッカルド、ほんの一例ですが、登場人物たちはこの世の苦しみから魂が解放されて、すべてを許し、許されて幕となります。

ヴェルディが亡くなったとき、当時の有名な詩人であり作家であったガブリエレ・ダンヌンツィオがいった言葉があります。“Pianse ed amò per tutti(すべての人々のために泣き、そして愛した)”です。

お互いに理解し合い、愛することは人々の心をつなげます。愛する気持ちが世界の平和につながっていくのですから、ヴェルディのメッセージは過去も現在もそして将来も、ずっと生き続けることでしょう。『シモン・ボッカネグラ』の劇中では、シモン・ボッカネグラが総督として人民の暴動を抑えたときにこう叫びます。「私は平和をと叫びながら進んでいく。愛をと叫びながら進んでいく」。まさに今日でも世界の指導者たちのために重要な言葉ですよね。

巨匠リッカルド・ムーティが語る「ヴェルディへの敬愛」@家庭画報。2023年

このインタビューだけでもう「ムーティ様」と呼びたくなってしまう。
来週の『仮面舞踏会』、楽しみ。

リッカルド・ムーティ氏に特別インタビュー!巨匠が語る「音楽の力」とは?(家庭画報。2019年)

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