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現在の社会保障費における公費

2004年10月30日 14時43分08秒 | 社会保障問題
総務省統計局のデータで、少し調べてみました。新しい社会保障制度の導入には、その財源が最大かつ最難関の問題であるからです。公費負担が、新しい社会保障制度で妥当な水準か検討してみます。

平成13年度社会保障費

このデータから、現在の公費負担額を計算してみます。

国庫負担の総額は20.7兆円です。これには、年金も医療も労働保険も全部入ってます。そこで、年金と医療以外の項目については従来通りと仮定して、これらを除外してゆくことにします。

雇用保険と労災   5170 億円
児童手当       190
公衆衛生      5600
生活保護      15820
社会福祉      18670
戦争犠牲者     14020
合計       5兆9470億円

約6兆円規模ですね。これら以外は年金と医療の項目です。ここで注意すべきことは、この統計資料では公務員の共済関係は事業主負担の項目に分類されていることです。実質的には出所が同じで、公費ですね。この公務員関係の事業主負担の合計額は5兆5730億円です。

よって、上記表の約6兆円を除外するため、国庫負担総額20.7兆円-6兆円=14.7兆円。これに公務員分の約5.5兆円を加えると20.2兆円になります。

他に市町村の医療費助成などがあるので、推計してみます。生活保護の費用のうち、医療給付が1兆1260億円あります。同じ年度の医療費の構成を調べると、公費負担医療費は1兆6900億円ですから、生活保護分の除くと約5640億円です。この0.5兆円を先の20.2兆円に加えると20.7兆円となります。平成13年度の年金と医療に投入された公費の推計額は20.7兆円となります。

現在の消費税分約9.5兆円を除くと、国庫負担が現在と同程度ならば11.2兆円ということになります。これは、新しい年金給付で検討した公費負担分10~11兆円と同じ規模と言えますから、導入当初から20年間はこれで支えられると思われます。しかし、その後の20年では11兆円から徐々に公費負担分の増額が必要となり、最終的に15~16兆円くらいまで増加させなければなりません。 

この財源をどうするのかということになりますが、やはり消費税を段階的に上げて、平均税率が15%から18%まで引き上げることが必要でしょう。3%引き上げで約7~7.5兆円の財源が確保されるからです。

新しい年金給付 2

2004年10月30日 03時02分55秒 | 社会保障問題
さらに10年経過してますから2025年頃ということになります。かなり先の話で、私は生きてるかどうかわかりませんがね。





この時点では基礎年金受給者数は3490万人で、必要年金額は約22.7兆円です。厚生年金受給者は120万人減少しますが、遺族厚生年金受給者が200万人増加の予測となっており、実質必要年金額は減少します。また、制度導入から20年経過しており、年金受給者の半分は入れ替わっているでしょう。よって、満額近くの受給額の人は少なくとも半分に減っているでしょう。よって、上乗せ額は(元の制度での受給額12.3兆円)+(この20年間で受給権者となった人の受給額22.2*0.625=約14兆円)となり26.3兆円です。年金給付額は併せて49兆円となります。2015年に比べ、少し(4.5兆円)減りました。ピークは過ぎてきたようです。

医療関係費は高齢人口の増加が10年間で約2百万人程度ですから、費用増加率は鈍化し、約2.2兆円の増加です。つまり41+2.2=43.2兆円で、自己負担額は約11.8兆円で残り31.4兆円です。
年金と併せると80.4兆円となりますから、消費税と新税の57兆円を引いた残額23.4兆円、取り崩し額を毎年約8.7兆円とすると、運用益が年平均2500億円ずつ減少して10年間の一年当たり平均運用益が約3.7兆円となります。従って公費負担は23.4-(8.7+3.7)=11兆円となります。この10年間(2015~2025)でおよそ87~100兆円の取り崩しが必要と推測されます。積立金の残りは61~74兆円です(運用益では1.7~2.1)。

この20年間では若年層に新たな費用負担が発生していませんが、医療関係費の増加分が吸収し切れるかがポイントになりそうです。最初の10年間で年平均6000億円増加してしまうからです。20年間で取り崩し額が120~134兆円となることが不安要因ではあります。

残り20年(2025~2045)の取り崩し額を年平均3~3.7兆円すると積立金は2045年に全てなくなります(移行期間の終了)。

2040年には基礎年金受給者数が3700万人で24兆円、上乗せが18.7兆円となり合計42.7兆円、医療関係費45.4兆円で自己負担額12.2兆円を引いた残りは33.2兆円です。総額75.9兆円となり、消費税と新税分を除くと18.9兆円で、これを積立金と公費で賄いますが、運用益と積立金で3.1~4兆円負担しても、15~16兆円の公費負担が必要です。あと5年で移行期は終わりになります。


公費負担は2025年と比べると4~5兆円の増額が必要のようです。医療関係費の増加に応じて公費負担を増額しなければなりませんね。年金はピークを過ぎると減少傾向に入るため財政負担に問題が少なそうですが、医療関係費は高齢人口の実数が大きく減少しない限り、減ることはないでしょう。医療関係費の総額が40兆円を超えるあたりで、医療用の新たな費用負担を国民に求める必要性を検討することになるでしょう。

新しい年金給付 1

2004年10月30日 01時56分04秒 | 社会保障問題
今まで社会保障財源について検討してきました。今度は消費税アップと新税導入後の年金制度をどうするかについて考えてみます。



今まで述べてきたように、健康保険と年金の保険料を全てなくすかわりに、消費税の引き上げと企業の新税導入、日本版401k(これも後で検討します)となる確定拠出型個人年金の導入ということが前提です。

では、既存の年金制度を引き継いで、どのような基礎年金相当の年金制度をつくっていくかが問題です。これは、技術的に困難な作業ですが、国家公務員共済が地方公務員共済と統合することができるという事実がヒントになりそうです。つまり、掛金や公費の投入額が異なる制度を統合しても、新しい年金給付の仕組みを作ることができるということを示しているからです。

まず既に年金受給者となっている人達は急に給付金額を変えたりすることは難しいでしょうから、ほぼ従来通りの給付とします。新制度導入時までに全く年金保険料を払ってない人が受給できる年金は今までの基礎年金相当額とします。新制度導入時に20歳の人が40年後60歳になるまでが移行期間で、それ以後は全員基礎年金相当額(財源は消費税+新税)と自己の個人年金になります。
では今まで年金保険料を支払ってきた人達をどうするのか。加入している制度もばらばら、支払った金額もばらばらです。そこで、各個人の支払った年金保険料(事業主負担や公費は別にすることとします)に比例して、基礎年金相当部分に上乗せして給付することにします。

従って、新制度導入直後に年金受給権者となった人は従来の年金給付額にやや近く、次の年度に受給権者となった人はそれより少し年金額が減少し、次の年の人は更に減少し、といった具合です。

導入直後は基礎年金相当部分が約14.5兆円、上乗せ部分が約24.5兆円で、合計39兆円です。国家公務員と地方公務員だった方々はそれまでに貰っていた人達よりも減少額が最も大きくなるでしょう。上乗せ分は自分の払った年金掛金に比例し、公費負担分が減額されるからです。これに医療関係(従来の医療+介護)費約35兆円を合わせると74兆円です。僅か4~5兆円しか余裕がありませんね。


10年後のバランスはどうでしょうか。この頃の基礎年金受給者数は厚生労働省の予測値では約3320万人ですから、必要額は約21.6兆円です。国民年金以外の年金受給者数は毎年平均約90万人増加、10年で900万人増加すると予測されてます。この増加した人達の上乗せ分は従来だと約9.5兆円増加しますが、年々受給額の少ない人になっていきますから正味は9.5*0.875=約8.3兆円。満額貰ってた人達の3割が死亡して入れ替わり、その他に前述の900万人分が加わるということで計算してみますと、24.5兆円であった部分は23.6兆円に減少します。よって上乗せ額の合計は約31.9兆円で、年金合計額は何と53.5兆円!減額してもこんなにかかってしまうのですね。

これに医療関係費を算入しなければなりません。10年後には約41兆円に達し、患者自己負担額11.3兆円を引いた残りは29.7兆円です。年金との合計額は83.2兆円です。
収入で検討した消費税分30兆円と、事業主負担27兆円は個人消費がよほど落ち込むとか、大量の企業倒産が進むか全事業所の給与総額が大きく減少しない限り、ほぼ一定額確保されると考えます。ですから、この57兆円を除いた残り26.2兆円をその他公費及び積立金の取り崩し等によって賄う他ありません。運用益5兆円と公費10兆円としても、11.2兆円の取り崩しが必要です。

公費投入が現在とほぼ同じと仮定すると、新制度導入から2~3年は黒字ですがその剰余は5年目ごろにはなくなり、その後毎年積立金の取り崩しが必要で、その額は推定33.6兆円です。残りの積立金残高は161.4兆円です。


更に10年経過した時(2025年)を見てみましょう。