自衛隊は新潟中越地震発生から3時間後に新潟県から要請を受け、23日に約70~110人規模の出動がありました。
また、翌24日18:30には派遣規模が約960人、車両90両、ヘリ40機規模の出動となっております。要請から、約24時間以内に災害現場で活動していたのは約千人規模ということになります。これについては評価が困難な面もありますが、災害規模が思ったより小さかったため出動を見合わせたということなのでしょう。
25日19:00時点で出動規模は2400人、車両190両、ヘリ40機という状況でした。
一方消防庁の活動を見て見ましょう。
発生から1時間20分後に緊急消防援助隊へ出動要請がありました。24日には880人、11航空隊が出動しております。また消防団員は約3400人が参加しております。その後も緊急消防援助隊の出動がありましたが、日によって異なり約500人弱~800人規模の出動が続きましたが、11/1以降は要請解除となりました。
長く残っていたのは自衛隊で、倒壊家屋の取り壊しや炊事、給水活動、入浴支援などは続けられていました。派遣規模は災害発生後5日で約3千人、11/4で約4400人の最大規模となっています。
要請が自衛隊に対して遅れたことは、地方自治体側の要因かもしれません。消防庁の方が結果的に早く活動開始となりました。
災害救出活動において自衛隊が非常に役立った点を考えてみましょう。
消防組織との明らかな差は、ヘリの運用です。1)機数が多い、2)運搬能力が高い、と言う点で圧倒的な差が出ました。また、陸上部隊と比べても、避難所に退避させるのに非常に有用でしたね。
固定翼機(輸送機とかですね)は主に食料とか毛布を空輸するために使われました。
では、災害救助活動で考えたことを列記します。
1 拳銃や自動小銃が使えなくとも活動できる
2 陸上の活動組織が有する車両は防弾車両でなくてもよい
3 災害発生から約24時間以内での人員数では、緊急消防援助隊と自衛隊では後者の方が多かったが、主にヘリ運用の為の人員数の違いによるかもしれない。陸上での活動状態にある作業人員では、消防団員を集結させていた消防組織の方が約4倍以上多かった。
4 自衛隊の活動内容は、救助以外の支援(炊事・給水・入浴・取り壊し作業)は、陸自隊員でなくとも可能
5 初動において災害地域への集結状況は、陸上組織では自衛隊の方が遅い
今後の展望
陸自隊員は精強であることが要求される。少子化にともなう若年人口の減少により対象人口が減る為、現在と同一人口比で入隊希望者が存在すると仮定すると、当然入隊者は減少するので、現在と同数確保は困難となると予想される。仮定として、現在と同一の隊員数維持という政策は継続性・恒常性に欠けると言わざるを得ない。
陸自隊員は原則的に防衛作戦行動要員としての性質を有しており、災害救助活動を主任務とする解釈は現在までない。陸自隊員の必要性を災害救助活動に根拠を求め、陸自隊員以外の代替が不能であるとするならば、それは主任務と解することと同等であろう。
また、災害救助活動に限って考慮すると、多くの陸上活動では陸自隊員でなくとも可能な活動が殆どであるため、消防組織での代替は可能と推測される。
災害救助活動に投入される車両、例えば運搬用トラック、移動用車両等は防衛作戦行動用の仕様である必要性がない。災害救出活動に出動する車両が具備すべき条件は、単に走破性・登坂能力・運搬能力・堅牢性等があればよい(消防組織がそのような車両を保有していても問題はなく、日常業務でも消防隊指揮車等として使用できる利点がある)。防弾仕様は堅牢性を兼ねるが、その仕様が災害救助活動に必須とは言えない。ブルドーザー等の作業用車両も特に陸自所有のものではないと不可能である作業はない。
陸自隊員は駐屯地のような特殊な施設に集結している必要があるが、消防組織ではそれほど特殊な施設に集結している必要がない。都道府県を問わず配置させることが可能。配置する市町村の選択も陸自より比較的自由度が高い。陸上隊は分散配置も可能。
一定の訓練を受けた者であれば、炊事・給水・入浴支援は可能な活動であろう。陸自隊員固有の活動であることは証明されないのではないか。
地元消防団員の集結が比較的早く、災害地域の都道府県における陸上支援体制では、このような地域住民を主体とする団員を整備・組織することは費用対効果の面でも有効である可能性があり、今後政策上検討すべきであろう。
ヘリは数的に多いほうが有利である。特に運搬能力の高い大型ヘリは有用であった。消防組織において大型ヘリ運用は想定しにくいかもしれない。自衛隊保有でよいと思う。
また、翌24日18:30には派遣規模が約960人、車両90両、ヘリ40機規模の出動となっております。要請から、約24時間以内に災害現場で活動していたのは約千人規模ということになります。これについては評価が困難な面もありますが、災害規模が思ったより小さかったため出動を見合わせたということなのでしょう。
25日19:00時点で出動規模は2400人、車両190両、ヘリ40機という状況でした。
一方消防庁の活動を見て見ましょう。
発生から1時間20分後に緊急消防援助隊へ出動要請がありました。24日には880人、11航空隊が出動しております。また消防団員は約3400人が参加しております。その後も緊急消防援助隊の出動がありましたが、日によって異なり約500人弱~800人規模の出動が続きましたが、11/1以降は要請解除となりました。
長く残っていたのは自衛隊で、倒壊家屋の取り壊しや炊事、給水活動、入浴支援などは続けられていました。派遣規模は災害発生後5日で約3千人、11/4で約4400人の最大規模となっています。
要請が自衛隊に対して遅れたことは、地方自治体側の要因かもしれません。消防庁の方が結果的に早く活動開始となりました。
災害救出活動において自衛隊が非常に役立った点を考えてみましょう。
消防組織との明らかな差は、ヘリの運用です。1)機数が多い、2)運搬能力が高い、と言う点で圧倒的な差が出ました。また、陸上部隊と比べても、避難所に退避させるのに非常に有用でしたね。
固定翼機(輸送機とかですね)は主に食料とか毛布を空輸するために使われました。
では、災害救助活動で考えたことを列記します。
1 拳銃や自動小銃が使えなくとも活動できる
2 陸上の活動組織が有する車両は防弾車両でなくてもよい
3 災害発生から約24時間以内での人員数では、緊急消防援助隊と自衛隊では後者の方が多かったが、主にヘリ運用の為の人員数の違いによるかもしれない。陸上での活動状態にある作業人員では、消防団員を集結させていた消防組織の方が約4倍以上多かった。
4 自衛隊の活動内容は、救助以外の支援(炊事・給水・入浴・取り壊し作業)は、陸自隊員でなくとも可能
5 初動において災害地域への集結状況は、陸上組織では自衛隊の方が遅い
今後の展望
陸自隊員は精強であることが要求される。少子化にともなう若年人口の減少により対象人口が減る為、現在と同一人口比で入隊希望者が存在すると仮定すると、当然入隊者は減少するので、現在と同数確保は困難となると予想される。仮定として、現在と同一の隊員数維持という政策は継続性・恒常性に欠けると言わざるを得ない。
陸自隊員は原則的に防衛作戦行動要員としての性質を有しており、災害救助活動を主任務とする解釈は現在までない。陸自隊員の必要性を災害救助活動に根拠を求め、陸自隊員以外の代替が不能であるとするならば、それは主任務と解することと同等であろう。
また、災害救助活動に限って考慮すると、多くの陸上活動では陸自隊員でなくとも可能な活動が殆どであるため、消防組織での代替は可能と推測される。
災害救助活動に投入される車両、例えば運搬用トラック、移動用車両等は防衛作戦行動用の仕様である必要性がない。災害救出活動に出動する車両が具備すべき条件は、単に走破性・登坂能力・運搬能力・堅牢性等があればよい(消防組織がそのような車両を保有していても問題はなく、日常業務でも消防隊指揮車等として使用できる利点がある)。防弾仕様は堅牢性を兼ねるが、その仕様が災害救助活動に必須とは言えない。ブルドーザー等の作業用車両も特に陸自所有のものではないと不可能である作業はない。
陸自隊員は駐屯地のような特殊な施設に集結している必要があるが、消防組織ではそれほど特殊な施設に集結している必要がない。都道府県を問わず配置させることが可能。配置する市町村の選択も陸自より比較的自由度が高い。陸上隊は分散配置も可能。
一定の訓練を受けた者であれば、炊事・給水・入浴支援は可能な活動であろう。陸自隊員固有の活動であることは証明されないのではないか。
地元消防団員の集結が比較的早く、災害地域の都道府県における陸上支援体制では、このような地域住民を主体とする団員を整備・組織することは費用対効果の面でも有効である可能性があり、今後政策上検討すべきであろう。
ヘリは数的に多いほうが有利である。特に運搬能力の高い大型ヘリは有用であった。消防組織において大型ヘリ運用は想定しにくいかもしれない。自衛隊保有でよいと思う。