毎日新聞によると次のように報じられている。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の合同会議が27日開かれ、05年度一般会計予算政府案について議論した。予算案に盛り込まれた整備新幹線3区間の新規着工と関西国際空港2期事業について、委員の間から「個別の問題点として非難の種になる。アリの一穴となり、財政健全化に支障をきたす恐れがある」(政府税制調査会会長の石弘光・一橋大学長)など、批判的な意見が相次いだ。
これについて、財務省主計局は(1)整備新幹線は当初の要求計画に比べて経費を削減し、国費投入額を縮小した(2)関空2期事業は大阪(伊丹)空港への国費負担を軽減する「格下げ」を協議する国土交通省との基本合意があり、地元負担もしっかりやってもらう--などと説明した。
財政制度分科会の西室泰三会長(東芝会長)は会見で、「(委員の総意として)予算がついた過程と結果は分かるが、国民の理解を得ていない。国民に対する説明を着実にやらなければ困る」と述べ、事業の必要性や財源問題にについて、今後、政府が国民に説明するよう求めた。
財政審は11月にまとめた05年度予算編成の建議(意見書)の中で、「関空の2本目の滑走路の07年運用開始には慎重であるべきだ」など、不透明な需要予測を理由に2期事業に慎重な対応を求めていた。それだけに整備新幹線と関空という「大型公共事業の象徴的な存在」(財政審委員)の予算化に、委員の間から不満が噴出した格好だ。
以上のように厳しい意見が相次いだ模様。財務省がこの2つを認めたのは確かに失敗であった。省庁だけに象徴には弱かったということか(ツマラナイですね、オヤジなのですみません)。うーん、どの意見もごもっともである。財務省は財政審にかなり「切り込まれた」ようだ。
以前記事に書きました(財務省奮戦記)が、この公共事業を認めたのは合理的反論がうまくできなかったからなのではないかということです。また、財務省は認めるかどうかの岐路に立たされたところがあったのかもしれない。背景を考えてみよう。財政審の建議を反古にしてまで認めざるを得なかった理由。
当時三位一体改革の攻防で、地方6団体が激しく抵抗していた。部分的に地方への大型公共事業を確保し、地方の結束を切り崩すためのエサだったかもしれない。それと、財務省は取引交渉の材料に使い、削減総額の大きい方を選ぼうとした可能性がある。三位一体を貫いた方が得だと判断すれば、多少の譲歩もしかたがなかったということだ。
もう一つ、考えられる理由がある。景気判断との関連だ。定率減税の部分的削減で心理的にかなりの増税感が生じたことは確かで、しかも景気判断は下方修正や慎重な意見が相次いでいた。経済指標は市場予測を下回り、台風や地震被害である程度織り込み済みであったとは言え、心理的にはマイナスが目立った。「踊り場にある」今の景気の腰を折る気か、という非難もある中で、心理的な冷え込みを防ぎ且つ目先の「景気対策」的大型公共事業として考えると・・・何だかありえそうな気もする。ちょっとズルイ作戦だが、後で「景気悪化原因は緊縮財政のせいだ」とか非難される可能性もあるので、「いいえ、大型公共事業を対策として入れてました」と申し開きが可能である。この景気判断に対する考え方はあながち間違いではないかもしれないが、実際の効果のほどはたかが知れてる。
これらの判断を財務省官僚が行ったのか、もっと上のレベルであったのかは謎だ。何故なら、意外にあっさり決まってしまったからだ。読売新聞が「切れ味が鈍った」と書いていたが、案外三位一体改革が決められた時には、決まっていた可能性の方が高いと思う。
財政審の面々は面白くない。それはそうだ。あれほど「慎重に」と建議に書いたのに、財務省は無視した格好で通してしまったからに他ならない。削減を主要命題としているのに、これはいったい全体どういうことなんだ、と。また、2つが認められた報道が(三位一体後)非常に早かったので、財務省はあたかも「無抵抗」で通してしまった印象が否めなかった。これも、非難の要因になっているだろう。蓋を開けてみたら、世論や報道の反発が予想以上に大きかったと感じたことだろう。
政治的な材料となったのか、はたまた総額重視の結果認められたのか・・・真相は分らない。私も前にはこんな風に思っていなくて、単に族議員をはじめ省庁の抵抗が強力だったのだろうと考えていたのだが、あまりにあっけなく決まったことが不自然ではあると思う。裏があっても不思議ではない。やっぱり、政治は複雑です。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の合同会議が27日開かれ、05年度一般会計予算政府案について議論した。予算案に盛り込まれた整備新幹線3区間の新規着工と関西国際空港2期事業について、委員の間から「個別の問題点として非難の種になる。アリの一穴となり、財政健全化に支障をきたす恐れがある」(政府税制調査会会長の石弘光・一橋大学長)など、批判的な意見が相次いだ。
これについて、財務省主計局は(1)整備新幹線は当初の要求計画に比べて経費を削減し、国費投入額を縮小した(2)関空2期事業は大阪(伊丹)空港への国費負担を軽減する「格下げ」を協議する国土交通省との基本合意があり、地元負担もしっかりやってもらう--などと説明した。
財政制度分科会の西室泰三会長(東芝会長)は会見で、「(委員の総意として)予算がついた過程と結果は分かるが、国民の理解を得ていない。国民に対する説明を着実にやらなければ困る」と述べ、事業の必要性や財源問題にについて、今後、政府が国民に説明するよう求めた。
財政審は11月にまとめた05年度予算編成の建議(意見書)の中で、「関空の2本目の滑走路の07年運用開始には慎重であるべきだ」など、不透明な需要予測を理由に2期事業に慎重な対応を求めていた。それだけに整備新幹線と関空という「大型公共事業の象徴的な存在」(財政審委員)の予算化に、委員の間から不満が噴出した格好だ。
以上のように厳しい意見が相次いだ模様。財務省がこの2つを認めたのは確かに失敗であった。省庁だけに象徴には弱かったということか(ツマラナイですね、オヤジなのですみません)。うーん、どの意見もごもっともである。財務省は財政審にかなり「切り込まれた」ようだ。
以前記事に書きました(財務省奮戦記)が、この公共事業を認めたのは合理的反論がうまくできなかったからなのではないかということです。また、財務省は認めるかどうかの岐路に立たされたところがあったのかもしれない。背景を考えてみよう。財政審の建議を反古にしてまで認めざるを得なかった理由。
当時三位一体改革の攻防で、地方6団体が激しく抵抗していた。部分的に地方への大型公共事業を確保し、地方の結束を切り崩すためのエサだったかもしれない。それと、財務省は取引交渉の材料に使い、削減総額の大きい方を選ぼうとした可能性がある。三位一体を貫いた方が得だと判断すれば、多少の譲歩もしかたがなかったということだ。
もう一つ、考えられる理由がある。景気判断との関連だ。定率減税の部分的削減で心理的にかなりの増税感が生じたことは確かで、しかも景気判断は下方修正や慎重な意見が相次いでいた。経済指標は市場予測を下回り、台風や地震被害である程度織り込み済みであったとは言え、心理的にはマイナスが目立った。「踊り場にある」今の景気の腰を折る気か、という非難もある中で、心理的な冷え込みを防ぎ且つ目先の「景気対策」的大型公共事業として考えると・・・何だかありえそうな気もする。ちょっとズルイ作戦だが、後で「景気悪化原因は緊縮財政のせいだ」とか非難される可能性もあるので、「いいえ、大型公共事業を対策として入れてました」と申し開きが可能である。この景気判断に対する考え方はあながち間違いではないかもしれないが、実際の効果のほどはたかが知れてる。
これらの判断を財務省官僚が行ったのか、もっと上のレベルであったのかは謎だ。何故なら、意外にあっさり決まってしまったからだ。読売新聞が「切れ味が鈍った」と書いていたが、案外三位一体改革が決められた時には、決まっていた可能性の方が高いと思う。
財政審の面々は面白くない。それはそうだ。あれほど「慎重に」と建議に書いたのに、財務省は無視した格好で通してしまったからに他ならない。削減を主要命題としているのに、これはいったい全体どういうことなんだ、と。また、2つが認められた報道が(三位一体後)非常に早かったので、財務省はあたかも「無抵抗」で通してしまった印象が否めなかった。これも、非難の要因になっているだろう。蓋を開けてみたら、世論や報道の反発が予想以上に大きかったと感じたことだろう。
政治的な材料となったのか、はたまた総額重視の結果認められたのか・・・真相は分らない。私も前にはこんな風に思っていなくて、単に族議員をはじめ省庁の抵抗が強力だったのだろうと考えていたのだが、あまりにあっけなく決まったことが不自然ではあると思う。裏があっても不思議ではない。やっぱり、政治は複雑です。