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オール人力狙撃システム試作機

事故原因の隠蔽を続ける東電~3の続き

2011年10月26日 23時03分27秒 | おかしいぞ
長くなったので、本ボシはこっちに移します。
東電のこれまでの説明が言い逃れを目的にしていたものだったことが、明白となりました。

いよいよ本命の非常用復水器(IC)について、です。


⑤非常用復水器の操作、及びスクラム後の対応の誤りについて

まず、正しい手順を書いておきます。これは、公開された資料に全て書かれています。

「MSIVが全閉となる」のは正しい。が、続きがある。

・MSIV開閉が可能な場合;MSIV均圧後、MSIVを全開し通常停止
・MSIV開閉不可の場合;
SGTS(PCIS)作動、HPCIテスト運転開始+SRVやICにより減圧を行う

今回、東電はMSIVは全閉だった、と。開かなかった、と言ったのです。

その場合、まず行うのは、「HPCIの起動」です。高圧注水系のテスト運転をせよ、というのが正しい。これが行われた形跡はない。津波後起動不可と判断、と東電が言ってるので、動かしていなかった、ということである。

マニュアルには次の記述があった。
『復水系を停止させることがないよう及び原子炉の蒸気を消費する意味からもHPCIを手動起動する』

次に、14時52分のIC自動起動後、原子炉圧力低下でICを手動停止させた、という問題についてだ。

根本的大原則は「ICを手動停止させることはない」、だ。

「電源喪失長時間継続時操作」というものがある。基本的にICを止める操作というのはマニュアルには書かれていない。また停止条件とは、「原子炉圧力が1.04MPa以下」だ。

7.13MPaで自動起動したICが、原子炉圧で約7分の1に低下するまでは、止めない、ということである。この基本が全く守られていない。

まだウソがある。
ICを止めたのは、原子炉損傷を防ぐため、と会見などで出鱈目を言っていたが、ウソである。ICの冷却能力がそんなにあるわけがない。

シリーズの参考記事にも書いたが、冷却材(つまりは水である)の温度低下が、55℃/hrを超えない降下にせよ、ということである。これは、基本的にSRV(主蒸気逃がし安全弁)操作の基準である。

前記SRVとICで減圧せよ、ということは、ICは運転したままで、SRVを間欠操作して、原子炉圧力を下げるということなのである。SRV開弁は数回に分けて、短い時間で行い、55℃基準を超えない程度でやれ、というのが、マニュアルである。
そして、SRV減圧の場合、

『S/P(圧力抑制プール)水温を監視、CCS系のS/P冷却モードにより熱容量制限曲線を超えないように操作』

と書かれていた。
つまり、どの時点でもICは動いたまま、ということだ。間欠操作を行うべきは、SRV開弁であり、その際のS/P(S/C)冷却モード(東電説明では、多分トーラス冷却モードということなのであろう)の動・不動などだろう。
原子炉損傷を防ぐ、という意味は、熱容量制限曲線を超えないように、ということだろう。これもシリーズ最初の参考記事に書いたのと近い意味のことだ。


答えは出ている。ICはどの時点でも停止しない、だ。


また、ICの水源は約6時間となっている。途中で停止していたかもしれない、というようなことがあるとして、21時半くらいに、蒸気が出ているのを確認した、とか言っていたが、復水プールに給水しないと効かなくなることは確実なんじゃないですか?
ICが動いていると判断していたのであれば、どうして、こちらに給水しなかったのでしょうか?
消火系からの注水というのをトライするのは、まあ、ダメではないでしょうが、「生きているライン」が復水器経路にあるのであれば、動かし続けることを考えるのが普通では。それも行った形跡はないみたいですが。


こうして見ると、やはり当初の想像通りに、初期対応が「誤りがあった」ということなんじゃないですかね。

少なくとも、マニュアルの基本操作が守られてはいなかった。
決定的だったのは、

◎ICを停止したこと
◎HPCIを起動していなかったこと

というのがある。
重大な冷却機能を、どれも動かせていなかったとなれば、根本的にダメだったとしか言いようがない。PCVベントが12日朝に出来たかどうか、なんてものは、ほんの微々たる要素でしかない。

それから、ベント後のH2モニタリングはどうだったんですか?
ベントして後、水素爆発だったみたいですが。これもN2置換ができなかった、ということかもしれないですが、建屋内に漏れ漏れにしてしまったのかもしれません。ま、後から何を言っても仕方がないんですが、そもそも「IC停止」だけはない、ということですわ。


何より東電の真の悪を象徴しているのは、事故後の今になってでさえ、「反省がない」ということなのですよ。

このような隠蔽と誤魔化しと言い逃れを続けよう、逃げ切ろうという、その腐った姿勢そのものが、初期対応の失敗なんかよりもはるかに悪質なのだ、ということである。ウソを続けて、騙そうという根性こそが、何よりも許し難いのである。

事故調査委員会の方々や保安院にお願いしておきます。きちんと追及し、矛盾点を洗い出し、出鱈目を止めさせて下さい。事故原因を明らかにしなければ、今回の事故の教訓とはなりません。東電の反省にもなりません。

また、東電のこうした隠蔽は、すでに犯罪だ。
彼らは、いくら口で言っても、判らないのだよ。権力サークルにあれば、国民なんか簡単に騙せると思っている。それが証拠に、東電の経営陣とか殆ど変わらなかったでしょう?
経営幹部が殆ど責任を取らない、事故の解明にも協力しない、どころか隠蔽して騙す、というのは、犯罪組織の所業ですわ。刑事事件にしないと、ウソを続けるだけであろう。

こいつらのような悪行を、許すわけにはいかないのだ。



事故原因の隠蔽を続ける東電~3

2011年10月26日 23時01分43秒 | おかしいぞ
これまでの続きです。

シリーズ参考記事
事故原因の隠蔽を続ける東電

事故原因の隠蔽を続ける東電~2

事故原因の隠蔽を続ける東電~2の補足


福島原発の事故調査に関連して、例の「黒塗り」で誤魔化してきた東電だったが、かなりの批判に晒されて、24日の資料公表が伝えられた。

>http://www.meti.go.jp/press/2011/10/20111024003/20111024003.html


量が膨大なので、読むのが大変だ。それに、原発関連の用語など、一般素人にとっては、かなり苦痛の内容となっている。

が、どうも気になっていたことを確かめたいと思って、ちょっと読んでみましたよ。すると、やはりな、という部分がありました。


はっきり言っておく。
東電はウソをついている。或いは、知られたくない部分は、未だに”ワザと”隠している。

恐らく、事故後公表された、記録データについても隠蔽している可能性が高いであろう。「電源喪失でデータが記録されていなかった」と言えば、追及のしようがない、ということを、向こうは判ってやっているのさ。
だって、中央制御室とかに出向いていって、調査できる人間なんかいないもの。そこからデータを取ってこい、とか、部外者には誰にもできないもの。だから、隠すことが可能なのだ。

また、東電側には、どうせよく知らない素人が読んでも判るはずがない、だから、難しい用語をいっぱい使って複雑に書いておけば、判らないだろう、というような姿勢が垣間見える。専門家のようなちょっと知識のある人間が、何も知らない素人を騙そうとしたり、煙に巻こうとしたりしようとする時の、卑怯な戦術である。一言で言えば、判りやすく伝えたりする気は微塵もない、ということだ。

ま、化けの皮を剥いでやるまで、諦めませんよ。


いくつかの疑問点を書いてゆくことにする。


①事故時運転操作手順書(以下、事故マニュアルと略す)の「シビアアクシデント」版で、隠しているページがある:

ざっと読んだのですが、意図的に隠していますね?
重要な部分が欠落している。元から存在してない、ということでもないなら、隠している。
それは、『復水補給水系(MUW)』の部分である。
推測するに、非常用復水器(IC)の操作部分なのではないですか?

これを隠す意味とは何か?
読まれると、都合の悪い部分があるということでは?
そもそも、隠そうとする小技を用いていること自体が、「真っクロ」をほぼ確信させるのだよ(笑)。刑事じゃないですが、ああ、クロだな、ということです。


②2010年2月改定部分の中身は?

事故マニュアルの改定履歴には、以下の記述があった。

『1.大規模地震発生時の対応手順の新規作成(保安運営委員会234回、246回審議済み)

(1)自然災害編の新規作成(大規模地震等により、長期間の外部電源喪失並びに軽油タンクへの補給不可となった場合のD/G負荷の絞込み手順を含む)

(2)津波発生の手順をタービン編より自然災害編に移行』

これを見る限り、何の対策も講じていなかったわけでもなさそうで、むしろ、備えを準備していたことが伺われる。しかも、津波被害想定、長期間の交流電源喪失及び非常用ディーゼル発電機(D/G)の使用不可時への対応も考えられていたことが窺われる。

すなわち、事故当初からの「想定外」というのは、ウソをついてきた、ということになるが?


③不活性ガス系(耐圧強化ベント)開始の圧力要件は?

11日深夜~12日にかけて、1号機圧力が上昇している、と会見で説明していたが、当時格納容器の設計限界は「約400kPa」といった説明がなされていたはずだ(上記参考記事のシリーズにも書いた)。ところが、公開されたマニュアルでは、格納容器圧力が「853KPa」(を超えると想定される)時、ということになっていた。

設計上限圧力が427kPaであるのに、その2倍になるまでベントしない、と?
普通、弁当箱の使用温度が100℃まで、という製品で、200℃になるまで冷却せず我慢して使用せよ、みたいなマニュアルにするでしょうか?

圧力容器に漏れがなく、放射能漏れも発生していなかったのであれば、S/CベントもしくはD/Wベントの実施がそれほど困難であったものとは、考えにくいと思うが。圧力が600kPaを超えているのに、それでもベントせずに置いたことの意味がわからない。
現地で高濃度放射線量が計測されていたのであれば、当時その事実を隠蔽していた、ということになるが。


④電源(D/Gとバッテリー)に関して

津波で発電機が使用できなくなるまで、電源はD/Gで給電されていた、ということですね?
だとすると、計器類電力も弁やポンプ類操作用電力も、全てその直前まで生きていたはずだ。
15時3分頃のICを手動停止した時点での、原子炉圧力、温度などのデータも全てあったはずである。それが示せないのはおかしい。

東電の説明によると、HPCI(高圧注水系)を起動しようとしたが、制御盤ランプが消えていた、ということだが、津波前には無関係である。

また、バッテリーの「直流電源盤が水没した」ということらしいが、この電源盤とバッテリーというのはどこにあるのですか?原子炉建屋内部にそれほど多くの海水が浸水したものとは思えないんですがね。

本当に電源が全て失われてしまうと、照明なども全てダウンするだろうから、中央制御室とかでおよそ15時半くらいから21時半くらいまでの間は、一体何をしていたのでしょうか?計器類が読めるものと、読めないものがある場合、それは「電源の有無」で分かれるのだと思いますが、直流電源がダウンしてるならポンプ類や弁操作なんかトライしてみるものなんでしょうか?

誰が、どこで、何をしていたか、という、個人単位の時系列表でも作らないと、解明できないんじゃないですかね?


(続く)


TPPよりも貨幣供給量増加の方が効果的

2011年10月26日 14時37分36秒 | 経済関連
本当にどうしようもない屁理屈であろうと、何だろうと出してきましたよ、というところでしょうか(笑)。

>http://www.asahi.com/business/update/1025/TKY201110250694.html

ふーん、たったの「0.54%」ですか、しかも10年で。
単年だと、平均で2700億円程度の効果しかない、と。そういうことですか。

だったら、まず政策順序というものがあるでしょう?

以前から幾度か取り上げてきましたが。
改訂版が出ていたのね~ESRIのペーパー


マクロ計量モデルでの試算ですから、不満がある場合にはesriに言って下さい(笑、冗談です)。すみませんね、都合よく結論部分だけいつもいつも拝借させてもらって。

簡単に言うと、貨幣供給量が縮小すると、実質GDPにはマイナスに作用します、という話なんです。

最新版がこちら
>http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis260/e_dis259a.pdf


1%分だけ貨幣供給量が減少し、それが持続する、という設定になっています。例えば、100兆円の貨幣供給量(具体的にはM2+CDのような数字で比較する)を行うべきところ、これを99兆円しか供給しないとどうなるか、ということなのですよ。1%縮小とはそういうことです。

そうすると、

・設備投資、住宅投資は減少
・輸出も減少
・賃金も減少
・為替レートも円高に
・財政収支(対名目GDP比)は悪化

ということで、いいことなんかまるでない、ということなのです。

もっと重要なことは、1年目の実質GDP成長率が、

 0.35(%ポイント)減少する

ということなのですよ。


すなわち、政策順序がまるで間違っている、ということです。


円高を緩和しよう、と思うなら、為替介入以前に貨幣供給量を増加させるよりないのです。財政収支を改善しようと思うなら、供給を増やせ、ということです。実質GDPを押し上げたい、と考えるなら、供給を増やせ、というのは、当たり前なのではないですか?

1年で0.35%と、10年で0.54%、どっちが大事だと思いますか?

しかも、自国だけで解決できる話なんですから、貨幣供給量を拡大し、本来供給されているべき額を下回る限りは、増やさないとプラスになんてなりません。
貨幣供給量の縮小の影響が、長年の累積効果として存在しているのであれば、これを解消するまで増やし続けなければ、治るものも治りませんよ、と何度も言ってきましたし、お願いしてきたのですよ。

政策として、まずやれることは、供給量を増やすこと、です。
円高対策としても、効果があります。

TPPの効果なぞ、屁でもない、ということがお分かり頂けましたでしょうか。



自民党に訪れた大チャンス

2011年10月26日 14時35分29秒 | 政治って?
TPP問題をテコにして、野田政権を追い込むことが可能です。

TPPに反対、絶対阻止、ただこの一点だけで勝負に持ち込めますよ。日本国民の反対派勢力を全て結集し、その受け皿になれば戦えます。

都市部なんかでもみんなの党などに流れた票を奪い返すことが可能になるはずです。

TPP問題は、「倒閣運動」に直結させることができます。


自民党のみなさん、かつての自民党には悪い面もあるにはあったのですが、それでも民主党政権のやってきたようなことは、かつての自民党でさえやらなかったのですよ。

例えば、普天間基地問題にしても、自民党時代でさえ地元の合意・協力を得られてないのに「アセス提出」などと、権力を嵩にきて強引かつ乱暴なことをやってこなかったですよ。

民主党政権は、全く違います。
沖縄の人々の方を向いて、政治をしようなどという気持ちは微塵もありません。あるのは、「政権運営ごっこ」をいかにうまく演じられるか、ということだけです。だからこそ、官僚支配の跋扈を許すし、メディアの過剰な介入をも許すことになってしまっているのです。

昔の自民党の族議員の存在というのは、悪い面もあったでしょう。
ですが、官僚の暴走を食い止める防波堤となっていたでしょう。族議員の方々が、個々の議員単独で存在していなかったことも、マスコミからの「個人攻撃」を封じていたでしょう。
仮に誰か一人が「撃たれた」としても、ほかの議員たちが存在することで、簡単には官僚の意見を通さないということが可能だったのです。
実は、形はいびつでも、政治主導ということが行われていたという側面があったのです。


ところが今は、「官僚が怖れる」議員集団というものが、全く存在していない。誰も官僚を抑えることができない。逆に、官僚に頼りきりになっている。そのことが、更なる政治の弱体化に繋がっている。党内議論も出てこなければ、決定過程の中身も不透明のままで、ただ「官僚に操られた」総理以下、政権幹部の大臣たちが、わけの分からん決定を繰り返している、ということになっているわけです。


「俺の目の黒いうちは…」なんて言える政治家は、今はどれほどいますかね?
一人しかいなければ、スキャンダルなどで仕立てられて、排除されてしまうかもしれませんが、そういう「族議員」の階層が何人も重なり合って、少数ではないということが、個人攻撃から守る盾となるのです。


自民党のみなさん、政治は日本国民の為に行うものであり、日本国民の生活や将来が一番大事なのではありませんか?

「日本の為にならない」ことを許せば、本当に日本崩壊の危機に立たされることになります。今は、深刻な「政治危機」に直面しています。

もう一度、「日本のためになる政治」を実現する為に、政界の勢力を再結集してもらえませんでしょうか。

TPP断固阻止、この勢力糾合の核となれるのは、自民党だけです。

暴走する野田政権を止められるのは、自民党だけです。


谷垣さん、政権を奪回する為にやる、というのではありません。目的を間違えてはいけません。日本国民のためにやる、そういう大義ある政治ならば、きっと多くの国民に伝わりますし、思いは届くと思います。

自民党のみなさん、どうか、国民の思いや声を受け止めてほしいと思います。



製造業の労働生産性

2011年10月26日 07時50分08秒 | 経済関連
非常に残念な結果をお伝えせねばならない。

製造業が大事だ、というのは、その通り。大事ではない産業など、そもそもないし。
過去の事実を、事実として受け止めて欲しい、ということで、この記事を書いておく。


各年ごとの労働生産性のデータである。


 年  前年同期比(%)
 90    1.3
 91    0.1
 92   -2.7
 93   -3.0
 94   -2.3
 95   -1.3
 96   -1.5
 97   -1.3
 98   -3.3
 99   -3.0
 00   -0.9
 01   -4.0
 02   -4.8
 03   -1.9
 04    0.3
 05   -0.5
 06    1.7
 07    0.7
 08    0.2
 09   -7.7


製造業の労働生産性の低下は著しい傾向である。
92年以降、長きトンネルがずっと続いた、ということですね。04年のプラスまで、日本経済の足を引っ張り続けた、と言っても過言ではない、という結果にしか見えないわけです。
生産性が低下したのは、本当に輸出が苦戦し輸出額が低下したせいですか?
関税のせいですか?
円高のせいだったのですか?

超氷河期と言われた、悲惨だった時期(02年前後)を過ぎて、ようやく改善の兆しとなったが、06年以降の微々たるプラスは、リーマンショック後の大ダメージで震源地米国よりも酷い目に遭うことになったわけである。それは、「輸出企業」に依存していたから、だ。逆に米国は輸出企業の依存が小さかった、だからこそ、被害があの程度で済んだ、とも言えるかもしれない。


経団連の偉い方々、いいですか、04年から08年までの5年間で、輸出増額頼みで積み上げた生産性向上分は、合計2.4%分のプラスでしかない。厳密に言うと前年比を足してもあまり意味はないけど、まあ、ざっとの数字、ということで。

たったの「2.4%」だ。
ところがどっこい、09年には、その全てを吐きだした。それ以上に、大幅マイナスを食らったわけである。2.4%分のプラスなんて、あっと言う間にけし飛ぶマイナスを受けた。だから、輸出頼みで回復してきたように見せかけていた日本経済というのは、結局のところ、
 「-5.3%」
が残されただけ、ということだ。

それ以前の12年間は全部マイナスで、生産性低下を強力に牽引してくれました、ということだな。


日本経済の足を引っ張ったようなものじゃないんですか?
これでも目覚めませんか?


製造業が頑張った、というせいぜい4~5年間は、世界経済が稀に見る好調を維持していたお陰で偶然達成されただけで、そうした「ラッキーボーナス」が剥落した結果は、要するに「元の黙阿弥」状態ということではないのですか?


いや、何も責めているわけではありませんよ。
農業と製造業が争うとか、そういうセクター間で相争うことこそ、一番ハマりなのですから、責任のなすり合いをしたいわけではないです。製造業が悪かったせいだ、と日本経済低迷の原因を押し付けたりはしませんよ。

そうではない。
製造業全般の傾向として、個人的印象としては、「過剰設備」や「過剰人員」を結果として抱えることになってしまい、その転換が遅れた、ということがあったのでは、と。アジアに展開してゆく流れが出来ていたわけですし、台湾、韓国や香港の成長とか、そういうのもあったでしょうし、生産性回復は容易ではなかったでしょう。
その上、デフレと金融危機による銀行システムの混乱というのもありましたから、影響を受けなかったはずはありません。日本国内の多くの産業が、それで大打撃をこうむりました。

その上、増税(負担増)路線+賃金低下+利子所得減等により、購買力や意欲低下もあったでしょう。


持続的な低下傾向というのは、結局のところ、デフレの悪影響というのが最も大きく、その根本原因になっているのは、やはり賃金の低下であろう、と思うわけです。そこのところの回復が伴っていたならば、内需のここまで酷い落ち込みは緩和されていたかもしれません。

過去5年くらいだけ思い出して、産業構造の云々とか、生産性向上がどうとか、簡単には語って欲しくはないですね。
結果的には、リーマンショック後の崩壊寸前の落ち込みを支えてくれたのは、「日本国民全部」が協力したからですよ。

それも、税金と「自分の懐の金」を、「今の危機を乗り越えるには必要だから」という協力する気持ちで拠出したのだ、ということなんですから。
その恩恵に一番浴したのは、大企業を中心とした製造業だったのではありませんか?
首切りだ、期間工切りだ、派遣切りだ、という大ピンチの時に、黙って支えていたのは、多くの「別な業種の人々」だったのではありませんか?


そのようなことも忘れて、未だに独善的な姿勢に終始する、経団連の連中の気が知れませんな。

前にも言ったけど、「エースで4番」みたいな思い上がりは、いい加減にして下さい。

輸出企業の呪い

(つい先日の伊藤元重教授が読売に書いてた記事では「一本足打法型」と表現されていた。)


本当に日本経済にとって必要なことは何か、それをよく考えて下さい。

内需と外需、バランスとか、調和が大事なのだ、ということです。