漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

(拾い読み)「子どもの呼吸器疾患に対する漢方治療」(伊藤晴道先生、生和堂医院)

2017年08月01日 15時53分59秒 | 漢方
シンポジウム「子どもの急性疾患に対する漢方療法」
「呼吸器疾患に対する漢方治療」(伊藤晴道先生、生和堂医院)
日本小児東洋医学会誌(年号不明)より

 参考になるところをメモ。
 漢方エキス剤服用率が80〜90%という高さに驚きました。
 飲ませる工夫の問題点では、何に混ぜても何か問題点があり、やはりそのまま飲むのが一番、ということになりますか。

<備忘録>

□ ウイルス性上気道炎に関しては、脈による発表剤の使い分けを行い、夏のエンテロウイルスには清熱剤(白虎加人参湯、升麻葛根湯)を用いる。夏のエンテロウイルス属による感染症は温病という考え方もあるが、ごく短い寒気の時期もあることから、短い太陽病期に続く陽明病期と考えてもよいのではないか。

□ 麦門冬湯 vs コデイン
 炎症の存在しないメサコリンによる咳に対し、両者を比較した場合、コデインは強い鎮咳作用を発揮するのに対し、麦門冬湯はほとんど鎮咳作用が見られない。しかし、炎症を起こした後の反応では、麦門冬湯の方が鎮咳作用が強くなる。

□ 漢方薬服用率
(80%)問題なく飲める、あるいはごく一部の方剤を除いて飲める。
(10%)あまり飲めないので飲みやすい処方に限って処方。
(10%)全くダメ。

□ 飲ませ方の工夫の問題点
・砂糖を加えることは方意の面からあまり推奨できない。
・ヨーグルト/アイスクリームなどの乳製品とエキス剤を混じることは、乳脂肪による漢方薬顆粒剤とのミセル化による吸収阻害の懸念がいわれていて、あまり推奨できない。
・ココアもアレルギーや砂糖、乳製品の混合である点で、問題はあろう。

□ 子どもの感染症における舌診
 色調で紅色調が強いときの炎症の存在、急性期の白苔は太陽病期を過ぎた所見、として捉えるくらいで十分かと思われる。
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