面白き 事も無き世を 面白く
格差、格差の野球界
熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
「広島ビッグアーチってずいぶんと高いところにあるんだね。」
「そうなんですよ、このアストラムライン(新交通システム)の駅からちょっとした”山登り”になっちゃいますよね。」
「ゆりかもめにちょっと似ている乗り物だけどこっちは山の中を走っているのが変わっていて面白いね。」
「観客から見た利便性はほとんど無視で、あくまで広い場所を確保する事が優先された立地ですよね。」
「サッカー場の周りにもスポーツ関係の建物が並んでいるね。」
「え...いえビッグアーチはサッカー場では無いんですよ。 基本的には陸上競技場です。」
「陸上の施設でサッカーやっているの?」
「ちゃんとした専用のサッカー場のある街もありますけど、広島には無いですね。 東京にも...」
「何で造らないのかな? Jリーグのチームがあるのに。」
「まぁ、いろいろと事情はあるんでしょうけど...」
「ここは...もう十年以上前になりますけど、広島アジア大会の為に造られたメインスタジアムなんですよ。 周りに見える建物はテニス場とか他の競技の為の施設ですね。」
「ここに来て頂いたのは東京オリンピックの事で、オリンピックの為に造る施設はその後の利用まで考えて欲しいと思っているからで、ちゃんとした専用スタジアムが無い野球やサッカーはともかく、出来る限り既存のスポーツ施設を使って欲しいと思ってますし、北京みたいな10万人入るメインスタジアムなんて終わってしまったら無用の長物。 関係者はこの間の北京みたいに巨大なスタジアムに観客が一杯に入っている壮観な絵を見せようと思っているのかも知れないけど、そんな事をしなくても世界に衝撃を与えられる開会式は出来ますよ。」
「私が考えた2016年、東京オリンピックの開会式です。 場所は言うまでも無く国立霞ヶ丘競技場です。」
「まず、首相と東京都知事が開会の挨拶を簡潔にします。」
「続いて甲冑姿の武士による鉄砲隊が空砲を撃って開会の合図とします。」
「鉄砲隊は日本各地にイベント用として今でもやっている人たちがいますよ。」
「ただ一発”バーン!”より、鉄砲三段撃ちの方がインパクトがあるかも知れませんね。 鉄砲は戦国時代にヨーロッパから伝わったものですけど、3列になって装填に時間の掛かる火縄銃を連射するなんて事を考えたのは日本が初めてだったと記憶しているのですが。 これも今でもやっている保存会の人たちがいたと思いますよ。」
「次に東京中から芸者さんに集まってもらっておいて簡単なパレードをしてもらいます。」
「その後は忍者のパレードです。 伊賀上野市で観光用に忍者をやっている人達に来てもらってパレードや簡単なパフォーマンスをやってもらいます。 伊賀忍者と江戸の街の関係は昔から深いですからね。」
「ちょっと待って! 芸者さんに忍者って...それじゃ昔、外人さんが持っていたいい加減な日本のイメージそのままじゃない。」
「今は情報化社会ですから日本をそんな目で見ている人はいませんよ。 だからこそファンタジーとして楽しもうと思いまして。」
「続いてアニメや漫画、ゲームのキャラクターのコスプレをやっている人を集めておいて、その大勢のコスプレイヤーによる大パレードをやって国立競技場のフィールドを埋め尽くします。」
「更には秋葉原のメイドカフェのメイドさんにも集まってもらってフィールドを歩いたりパフォーマンスとかやってもらいます。」
「ここまで30分から1時間程度でしょうか。 そしていよいよ”主役”の登場、選手入場と言う事で、コスプレイヤーさんやメイドさんやお侍さんや芸者さんには一斉に国立競技場から退場してもらいます。 各国メディアは肝心の選手入場を撮影する一方で、一部の人は外に出てフィールドから立ち去ったコスプレイヤーさん達を追い掛けてオリンピックに参加した感想などインタビューをするでしょう。 国立競技場の周辺をコスプレイヤーさん達が埋めたすごい光景を見て、五輪のチケットを持っていない海外の人もとにかく東京に行ってみようと思ってくれたら大成功ですよ。」
「コスプレイヤーさんもメイドさんも”○○城鉄砲隊”の人も、芸者さんも衣装は自前で持っている既存の物ですから新規の衣装代は掛からなくて安上がりにも関わらず世界へ与える印象は大きいですよ。」
「...それを見た外国の人って感心するのか呆れるのか分からないけどね。」
ビッグアーチを出た後、私は”エリカ様”を広島駅近くの宿泊先のホテル前まで送り、いつも通り自分は一旦JRにに乗ってとりあえず家に引き上げた。
「駿ちゃん、仕立だよ! いつもの場所に来てちょうだい。」
携帯に”エリカ様”から連絡が入った。 私は早速広島市内の『横川胡子神社』へと向かった。 今回も”エリカ様”はいつも通り神社の縁石にお金と試合のチケットを並べた...
「これが頼み料です。」
「今回の頼み人は市民球場最後の年にプレーオフ進出を願う多くのカープファン。」
「やる相手は○○○○○、監督の岡田、四番打者の金本、外野手の赤星、林、内野手の鳥谷、関本、捕手の矢野。」
「...ちょっと、この”○○○○○”は何?」
「伏せ字です。 とりあえず”口パク”でもしておいて下さい。 後で”ピー音”でも入れておきますから。」
「何それ...まあいいけど。」
「じゃあ、とにかく頼むよ。」
「はいっ! ”エリカ様”。」
私は横川胡子神社を出て市民球場へ向かう。 ついに”格差の元凶”と戦う時が来ました。 あの新井選手の移籍会見での涙、そして今季初対戦で起こった激しいブーイングはカープファン同士の間でも意見の相違が見られた。 広島にこの様な悲劇を巻き起こし、同一リーグの同じ球団から主力選手を相次いで引き抜いてプロ野球界に格差を蔓延させ、その魅力を損なった”どこかの球団”と関西マスコミを斬らなくては。 カープ球団にとってもプレーオフ進出の為には負けられない戦いとなるでしょう。
...異常です。
格差、格差の野球界
熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
「広島ビッグアーチってずいぶんと高いところにあるんだね。」
「そうなんですよ、このアストラムライン(新交通システム)の駅からちょっとした”山登り”になっちゃいますよね。」
「ゆりかもめにちょっと似ている乗り物だけどこっちは山の中を走っているのが変わっていて面白いね。」
「観客から見た利便性はほとんど無視で、あくまで広い場所を確保する事が優先された立地ですよね。」
「サッカー場の周りにもスポーツ関係の建物が並んでいるね。」
「え...いえビッグアーチはサッカー場では無いんですよ。 基本的には陸上競技場です。」
「陸上の施設でサッカーやっているの?」
「ちゃんとした専用のサッカー場のある街もありますけど、広島には無いですね。 東京にも...」
「何で造らないのかな? Jリーグのチームがあるのに。」
「まぁ、いろいろと事情はあるんでしょうけど...」
「ここは...もう十年以上前になりますけど、広島アジア大会の為に造られたメインスタジアムなんですよ。 周りに見える建物はテニス場とか他の競技の為の施設ですね。」
「ここに来て頂いたのは東京オリンピックの事で、オリンピックの為に造る施設はその後の利用まで考えて欲しいと思っているからで、ちゃんとした専用スタジアムが無い野球やサッカーはともかく、出来る限り既存のスポーツ施設を使って欲しいと思ってますし、北京みたいな10万人入るメインスタジアムなんて終わってしまったら無用の長物。 関係者はこの間の北京みたいに巨大なスタジアムに観客が一杯に入っている壮観な絵を見せようと思っているのかも知れないけど、そんな事をしなくても世界に衝撃を与えられる開会式は出来ますよ。」
「私が考えた2016年、東京オリンピックの開会式です。 場所は言うまでも無く国立霞ヶ丘競技場です。」
「まず、首相と東京都知事が開会の挨拶を簡潔にします。」
「続いて甲冑姿の武士による鉄砲隊が空砲を撃って開会の合図とします。」
「鉄砲隊は日本各地にイベント用として今でもやっている人たちがいますよ。」
「ただ一発”バーン!”より、鉄砲三段撃ちの方がインパクトがあるかも知れませんね。 鉄砲は戦国時代にヨーロッパから伝わったものですけど、3列になって装填に時間の掛かる火縄銃を連射するなんて事を考えたのは日本が初めてだったと記憶しているのですが。 これも今でもやっている保存会の人たちがいたと思いますよ。」
「次に東京中から芸者さんに集まってもらっておいて簡単なパレードをしてもらいます。」
「その後は忍者のパレードです。 伊賀上野市で観光用に忍者をやっている人達に来てもらってパレードや簡単なパフォーマンスをやってもらいます。 伊賀忍者と江戸の街の関係は昔から深いですからね。」
「ちょっと待って! 芸者さんに忍者って...それじゃ昔、外人さんが持っていたいい加減な日本のイメージそのままじゃない。」
「今は情報化社会ですから日本をそんな目で見ている人はいませんよ。 だからこそファンタジーとして楽しもうと思いまして。」
「続いてアニメや漫画、ゲームのキャラクターのコスプレをやっている人を集めておいて、その大勢のコスプレイヤーによる大パレードをやって国立競技場のフィールドを埋め尽くします。」
「更には秋葉原のメイドカフェのメイドさんにも集まってもらってフィールドを歩いたりパフォーマンスとかやってもらいます。」
「ここまで30分から1時間程度でしょうか。 そしていよいよ”主役”の登場、選手入場と言う事で、コスプレイヤーさんやメイドさんやお侍さんや芸者さんには一斉に国立競技場から退場してもらいます。 各国メディアは肝心の選手入場を撮影する一方で、一部の人は外に出てフィールドから立ち去ったコスプレイヤーさん達を追い掛けてオリンピックに参加した感想などインタビューをするでしょう。 国立競技場の周辺をコスプレイヤーさん達が埋めたすごい光景を見て、五輪のチケットを持っていない海外の人もとにかく東京に行ってみようと思ってくれたら大成功ですよ。」
「コスプレイヤーさんもメイドさんも”○○城鉄砲隊”の人も、芸者さんも衣装は自前で持っている既存の物ですから新規の衣装代は掛からなくて安上がりにも関わらず世界へ与える印象は大きいですよ。」
「...それを見た外国の人って感心するのか呆れるのか分からないけどね。」
ビッグアーチを出た後、私は”エリカ様”を広島駅近くの宿泊先のホテル前まで送り、いつも通り自分は一旦JRにに乗ってとりあえず家に引き上げた。
「駿ちゃん、仕立だよ! いつもの場所に来てちょうだい。」
携帯に”エリカ様”から連絡が入った。 私は早速広島市内の『横川胡子神社』へと向かった。 今回も”エリカ様”はいつも通り神社の縁石にお金と試合のチケットを並べた...
「これが頼み料です。」
「今回の頼み人は市民球場最後の年にプレーオフ進出を願う多くのカープファン。」
「やる相手は○○○○○、監督の岡田、四番打者の金本、外野手の赤星、林、内野手の鳥谷、関本、捕手の矢野。」
「...ちょっと、この”○○○○○”は何?」
「伏せ字です。 とりあえず”口パク”でもしておいて下さい。 後で”ピー音”でも入れておきますから。」
「何それ...まあいいけど。」
「じゃあ、とにかく頼むよ。」
「はいっ! ”エリカ様”。」
私は横川胡子神社を出て市民球場へ向かう。 ついに”格差の元凶”と戦う時が来ました。 あの新井選手の移籍会見での涙、そして今季初対戦で起こった激しいブーイングはカープファン同士の間でも意見の相違が見られた。 広島にこの様な悲劇を巻き起こし、同一リーグの同じ球団から主力選手を相次いで引き抜いてプロ野球界に格差を蔓延させ、その魅力を損なった”どこかの球団”と関西マスコミを斬らなくては。 カープ球団にとってもプレーオフ進出の為には負けられない戦いとなるでしょう。
...異常です。