「高山森々として一鳥声をきかず、木の下闇茂りあひて夜(よ)る行(ゆく)がごとし/芭蕉」で知られる山刀伐峠、道自体が難所である上に昔は山賊が出たという。もと山形藩と新庄藩との境にある山刀伐峠(なたぎりとうげ)は、高さは510メートルだが、芭蕉も苦労したらしい。
『おくのほそ道』では、鳴子から中山平、堺田を経てこの峠を越え、尾花沢の鈴木清風を訪ねている。
レンゲショウマ
峠の上に加藤楸邨揮毫による『おくのほそ道』の一節を刻んだ碑があるそうだ。
加藤楸邨/山刀伐峠や大かたつむり雲に匍ふ
水原秋櫻子/蝮出てさけびつづけぬ時鳥
芭蕉は紅花問屋の鈴木清風をたよって尾花沢に十泊し、宿の養泉寺で俳句を詠んでいる。
涼しさを我宿にしてねまる也
まゆはきを俤にして紅粉(べに)の花
這出よかひやが下のひきの声