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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

飢餓同盟 - 安部公房 (新潮文庫)

2024-12-21 05:30:12 | 読書メモ

未読の安部公房作品。

こちらが内容紹介。

読み進めていくと、安部公房作品にしては珍しく、登場人物が多い。途中から誰がなんだっけ?とこんがらがってしまったので、人物一覧を作りながら読みました。

☆登場人物
・織木順一:花園町で育ち20年ぶりに戻る。服毒自殺を図る。人間計器となり地脈探索を行う。
・花井太助:飢餓同盟のリーダー(社長)。花井キャラメル会社役員。
・矢根善介:人形芝居師。廃バスに住んでいる。会社設立法を勉強。飢餓同盟員。
・森四郎:花園町立診療所の医師。藤野の策略で飼い殺しにされている。飢餓同盟員になる。
・狭山:花園駅の駅員。飢餓同盟員。
・井川君:イボ蛙。染物屋の2階に間借りしている。飢餓同盟員。
・藤野健康:開業医かつ町会議員かつ教育委員。多良根の政敵。
・藤野うるわし:藤野の娘。読書会に参加。洋裁学院の院長。坂田金時の女版。
・藤野幸福:藤野うるわしのおじ。町会議員補欠選挙に立候補。催眠術師。
・多良根:花園町町長。町役場に不在が多い。
・柿井:町役場員。診療所の責任者。
・浮月:助役。油をつけて磨いたように充血している。
・重宗晴天:住職かつ花園通信の社長かつ町会議員。頭の前と後ろがコブになって分かれている。
・織木の父:花園町から朝鮮に渡り、帰国後にバス会社を起こす。ウルドックに殴られる。
・織木の母:藤野幸福による怪しげな催眠術で浮気を告白し父に殴り殺される。
・花井の母親:ひもじい茶屋の女将。織木に秩父善良を紹介する。
・花井里子:花井太助の姉。藤野幸福の催眠術で手籠めにされ気がふれる、チフスで死ぬ。
・狭山ヨシ子:狭山の姉。音楽教師。花井太助が想いを寄せている。
・村山:読書界の司会。理科の先生。社会的。
・舵尾:共産党。読書界に参加。
・女の先生:読書会の世話役。
・宇留源平:ウルドック。剣道四段。公安委員。町会議員補欠選挙に立候補。
・源さん:花井に用心棒を頼まれる。渡世人?
・貝野:読書会に参加。親友がキャラメル工場で組合を作ろうとしている。
・貝野くんのお父さん:村山にせがまれて町会議員に立候補するが断念。腕っぷしが強い。
・中野のチュウさん:バイオリンひき。東京に出てきた織木の面倒をみる。
・秩父善良:工学博士。地脈探索の研究の一人者。
・ビュッヘル教授:新薬ヘクザンの専門家。人間計器を開発する。
・吉切さん:駐在
・穴鉢倉吉:県の企画課長。温泉発掘の予算を出す。

『壁』から3年後の作品です。朝鮮戦争が休戦となり、高度経済成長期が始まった時代です。

小さな町を舞台に、革命分子の飢餓同盟の顛末を描いています。革命を目的にしながら、近視眼的に手段である地熱発電の開発に囚われるあまりに破滅の道を進むというストーリーとなっています。貨幣を無くすなどユートピア的な共産主義への指向と、資源探索に人身御供を使うなど非人道的な行為に昭和を感じる小説かなと思います。

『壁』や『砂の女』に比べると読みやすい一篇で、後年の『方舟さくら丸』へと続く脱社会的な兆しが見られると思います。

書誌事項。
本作は、安部公房の初書下ろし小説で、初版は1954年に大日本雄弁会講談社(講談社の旧社名)から出版。

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p.s. 食べ過ぎ。日曜でリカバリーできるか?


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