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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

透明な迷宮 - 平野啓一郎 (新潮文庫)

2021-12-29 05:29:08 | 読書メモ

平野啓一郎の「透明な迷宮」を読みました。

こちら内容紹介。表題作を含む6編からなる短編集です。

「消えた蜜蜂」は偏執狂的な男の話。蜜蜂との関連性が最後まで理解できなかった。

「ハワイに探しに来た男」は超短編。次元が変わったような感覚を受けることから安部公房的な展開を感じます。

「透明な迷宮」はちょっと怖い話。ハンガリーの知識があればもっと深く理解できるのかもしれませんが、私には難解でした。平野作品は性描写において直接的な表現が多くて、おじさんは読んでて恥ずかしくなることもしばしばなのですが、この作品は古典的な性描写で落ち着けます。

「family affair」は緊張感のあるストーリーですが、作者の意図がよくわかりません。

「火色の琥珀」は「仮面の告白」のオマージュでしょうか。本書の中で一番好きな作品です。

「Re:依田氏からの依頼」は時間と生についての話で、未来への連続性を絶って現在を最も重視する三島の時間論と重なるような気がしました。三島由紀夫戯曲を用いた戯曲、三島とエルンスト・ユンガーの対談など、実現していれば面白いだろうな、というような設定を含み興味深く読めました。

2017年の刊行ですが、時代の流れに囚われていない作品集だと思います。
もう少し平野文学を読んでみようと思っています。

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p.s. 塩分以外はいい感じ。久々に外で食べたカレーが旨かった。


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