安部公房の遺作になる、未完の小説です。
安部公房の死後、未完の原稿がフロッピーディスクから発見されました。
「死に急ぐ鯨たち」の中で、次回作として「スプーン曲げの少年」について触れられていましたが、この作品がそれになります。
内容紹介。
飛ぶ男は、文字の通り空中浮遊ができる男で、飛ぶ男が主人公である兄のもとを空から訪れることで物語は始まります。超能力をもっていることを証明するために、スプーンを曲げるシーンもあります。飛ぶ男は隣の女性に空気銃で狙撃され、隣の女性は狙撃によって恋に落ち、主人公の部屋を訪れる、というところで、物語は作成途中の様子になります。
「飛ぶ男」の最後の方は、いくつかのプロットが思いついたままに書かれているようにみられます。安部公房はこれらのプロットを構造化することにより、小説を完成させるという手法をとっていたのでしょう。ワープロの利点を生かした思考方法だと思います。
「さまざまな父」では、飛ぶ男の父親と思われる男についていろいろな書かれています。謎の薬によって、父親は透明人間の能力を所有し、飛ぶ男は飛行能力を得たことがわかります。
飛ぶ男、その父親、主人公(飛ぶ男の弟)、女性狙撃主、この4人が主な登場人物のようです。
完成した作品を読んでみたいですが、いまとなってはそれは叶わぬことです。
マニアックな一冊、安部公房ファンのための本といったところです。
著者プロファイル。
今年の3月に文庫本発行、6月には4刷となっています。
p.s. 竜王戦第2局は勇気の会心譜。おやつ勝負では勇気大福4連投はさすがだったが、竜王の「抹茶わっパフェ」、「あわら産お芋のふわふわブッセ」の勝利。勇気はフルーツサンドのフルーツサンド抜きなど個性的な手筋が目立った。
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