国の地震調査研究推進本部の「日本における被害地震の発生頻度に関する統計分析」によると、過去200年間に発生した内陸被害地震(死者50人以上)は23回、そのうち11回が主要断層帯に関連する地震とのこと。また、過去200年間に発生した海溝型被害地震(死者50人以上)は11回とのこと。これらから、内陸被害地震は約10年に1回、主要断層被害地震は約20年に1回、海溝型被害地震は20年に1回となる。
しかし、観察期間が200年と短く一概に発生頻度が正しいとは言えない。観察期間をさらに遡るための地震データがあっても記録が正しいかどうかの問題も生じる。また、日本を点とした発生頻度であり、全国都道府県別、市区町村別、1kmメッシュ等の点でみた場合にはそれぞれの発生頻度のイメージは異なるはずだ。まして被害が予想される地震単位でみた場合の発生頻度のイメージも異なる。
地震単位でみた発生頻度であるが、地震調査研究推進本部での今後30年以内に発生する確率として公表している。2006年1月1日基準での発生確率は以下のとおり(30年確率の高い順)。
- 宮城県沖地震 (M7.5前後) 確率99% 平均発生間隔37.1年
- 三陸沖北部固有地震以外のプレート間地震 (M7.1~7.6) 確率90%程度
- 茨城県沖 (M6.8程度) 確率90%程度
- 色丹島沖・択捉島沖 (M7.1程度) 確率90%程度
- 三陸沖南部海溝寄り (M7.7前後) 確率80%~90%
- 十勝沖・根室沖 (M7.1前後) 確率80%程度
- 日向灘のひとまわり小さいプレート間地震 (7.1前後) 確率70%~80%
- その他の南関東のM7程度の地震 (6.7~7.2程度) 確率70%程度
- 千島海溝沿いの地震沈み込んだプレート内のやや深い地震 (M7.5程度) 確率70%程度
- 東南海地震 (M8.1前後) 確率60%程度
- 南海地震 (M8.4前後) 確率50%程度
※東海地震 (M8程度) 確率87%(参考値)
2006年1月を基準としていることから、これからの地震発生カレンダーをみたいところであるが、どの地震の順番で発生していくのかは一切公表されていない。素人考えで確率の高い順番で起こっていくことを考えると、宮城県沖地震が筆頭になるのは明白だ。しかし、向こう30年での日本における最大の被害地震は確率順位8番目となる「その他の南関東のM7程度の地震」すなわち「首都直下地震」となる。国の試算でも経済被害は112兆円、金融・証券市場、企業の倒産等の混乱等は被害額に見込んでいないことからさらに経済被害額は大きなものとなることが予想される。
今後の地震学等の科学技術がさらに進歩すれば、過去不可能であった地震予知が少しでも前進し天気予報ならぬ地震予報が毎日発表されるかもしれない。
(画像は地震調査研究推進本部公表資料より「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図)