前回の(1)では、政策金融機関の事後的金融対策を中心に述べたが、今回は事前の被害軽減、資金調達について考えてみたい。
資金調達は企業にとって日常の経済活動であり、その企業の財務力、経営力、人材力によって資金調達のよしあしが違ってくる。資金借入を例にとれば、その企業の財務状態(返済能力含む)、借入期間、資金使途(運転資金、設備投資資金、新規事業資金等)、返済計画を含む事業計画等により貸出金利、借入額、差入担保等の貸出条件に当然差が生じ、最悪借入を受けられない場合もある。また、いくら財務諸表、経営力が優秀でもその資金調達のノウハウを持たない人材を財務・経理・リスク管理部門に抱える企業は思い通りの資金調達ができなく資金計画に狂いが生じたり、最悪の場合には資金調達の機会を失い企業倒産に追い込まれてしまう場合もある。そのような場合に備え、資金調達のノウハウを持つ銀行等の金融機関経験者を財務・経理・リスク管理部門に配置する企業は依然として多い。
このような状況のなかで、もし巨大地震が発生した場合には、当然、個々の企業の財務力、経営力、人材力が試される。多くの場合、巨大地震発生による自社の影響の分析をしていなく、そのときになってみないとわからないと答える企業が未だに多い。しかし、投資家、金融機関からみた場合にはその企業の脆弱さがわかる。投資・融資対象としてのリスクが高くなるはずだ。リスクを十分に検討していない計画性のない企業にデフォルトリスクを無視してまで投資・融資することはない。日本政策投資銀行が導入した防災格付による融資制度はその地震リスクに着目した典型的な例である。
迫り来る巨大地震の対応については、中小企業にとって今後の重大な課題として挙げられる。特に事前の資金調達手段を考え、いざ地震のときには円滑に資金が準備できている状態が必要だ。地震が発生してからでは十分な蓄え、事業の将来性がないかぎり、資金の借入は容易ではなく、今からの準備、対策が必要である。企業向け地震保険等は保険会社自体が積極的でなく、割高な保険料を要求される。保険金が短時間にきちんと払われるかの心配もある。その間の運転資金を銀行で借りられるかも定かではない。一企業での解決は困難であっても取引先、グループを形成し巨大地震に備えた資金準備制度の構築を考えることが必要だ。
11月に東京商工会議所、大阪商工会議所等の東京、静岡、大阪、兵庫の各中小企業団体が、経済産業省の協力を得て中小企業における地震対応リスクファイナンスの実態、新たなリスクファイナンス商品のニーズを把握することを目的としたアンケート調査の結果を公表した。
アンケート結果、その分析結果によると、中小企業の約90%が巨大地震が企業経営上の重大なリスクと認識しているものの、巨大地震対応のリスクファイナンスについて約半数が特に手当てをしていないのが現状とのこと。手当てしていると答えた企業でも「十分に手当てしている」と答えた企業は20%程度であった。また、企業向け地震保険について、実際に保険金が支払われるまで1年程度の相応の期間を要する可能性があり、約70%の企業が地震保険金により、被災直後から半年の間に必要となる資金を調達しようとしていることから、保険商品上の性質と企業の求める期待の間に開きがある。さらに政策金融機関、自治体等からの緊急融資については、企業では被災直後から半年の間の必要資金を調達したいとするニーズが多く、緊急時における迅速な融資実行への期待が大きいことがわかる。最後に商品ニーズとして新たな地震対応リスクファイナンスとしては、①大地震発生時に一定期間返済が猶予される融資商品、②災害時対応型コミットメントライン等へのニーズが多い結果となった。なお、現状こうした融資商品については、法制度上の制約や金融機関の取引慣行上の課題もあり、実際には商品化されていない。中小企業のリスクファイナンス手法の多様化の観点から、今後の環境整備が望まれるとの分析結果内容である。
資金調達は企業にとって日常の経済活動であり、その企業の財務力、経営力、人材力によって資金調達のよしあしが違ってくる。資金借入を例にとれば、その企業の財務状態(返済能力含む)、借入期間、資金使途(運転資金、設備投資資金、新規事業資金等)、返済計画を含む事業計画等により貸出金利、借入額、差入担保等の貸出条件に当然差が生じ、最悪借入を受けられない場合もある。また、いくら財務諸表、経営力が優秀でもその資金調達のノウハウを持たない人材を財務・経理・リスク管理部門に抱える企業は思い通りの資金調達ができなく資金計画に狂いが生じたり、最悪の場合には資金調達の機会を失い企業倒産に追い込まれてしまう場合もある。そのような場合に備え、資金調達のノウハウを持つ銀行等の金融機関経験者を財務・経理・リスク管理部門に配置する企業は依然として多い。
このような状況のなかで、もし巨大地震が発生した場合には、当然、個々の企業の財務力、経営力、人材力が試される。多くの場合、巨大地震発生による自社の影響の分析をしていなく、そのときになってみないとわからないと答える企業が未だに多い。しかし、投資家、金融機関からみた場合にはその企業の脆弱さがわかる。投資・融資対象としてのリスクが高くなるはずだ。リスクを十分に検討していない計画性のない企業にデフォルトリスクを無視してまで投資・融資することはない。日本政策投資銀行が導入した防災格付による融資制度はその地震リスクに着目した典型的な例である。
迫り来る巨大地震の対応については、中小企業にとって今後の重大な課題として挙げられる。特に事前の資金調達手段を考え、いざ地震のときには円滑に資金が準備できている状態が必要だ。地震が発生してからでは十分な蓄え、事業の将来性がないかぎり、資金の借入は容易ではなく、今からの準備、対策が必要である。企業向け地震保険等は保険会社自体が積極的でなく、割高な保険料を要求される。保険金が短時間にきちんと払われるかの心配もある。その間の運転資金を銀行で借りられるかも定かではない。一企業での解決は困難であっても取引先、グループを形成し巨大地震に備えた資金準備制度の構築を考えることが必要だ。
11月に東京商工会議所、大阪商工会議所等の東京、静岡、大阪、兵庫の各中小企業団体が、経済産業省の協力を得て中小企業における地震対応リスクファイナンスの実態、新たなリスクファイナンス商品のニーズを把握することを目的としたアンケート調査の結果を公表した。
アンケート結果、その分析結果によると、中小企業の約90%が巨大地震が企業経営上の重大なリスクと認識しているものの、巨大地震対応のリスクファイナンスについて約半数が特に手当てをしていないのが現状とのこと。手当てしていると答えた企業でも「十分に手当てしている」と答えた企業は20%程度であった。また、企業向け地震保険について、実際に保険金が支払われるまで1年程度の相応の期間を要する可能性があり、約70%の企業が地震保険金により、被災直後から半年の間に必要となる資金を調達しようとしていることから、保険商品上の性質と企業の求める期待の間に開きがある。さらに政策金融機関、自治体等からの緊急融資については、企業では被災直後から半年の間の必要資金を調達したいとするニーズが多く、緊急時における迅速な融資実行への期待が大きいことがわかる。最後に商品ニーズとして新たな地震対応リスクファイナンスとしては、①大地震発生時に一定期間返済が猶予される融資商品、②災害時対応型コミットメントライン等へのニーズが多い結果となった。なお、現状こうした融資商品については、法制度上の制約や金融機関の取引慣行上の課題もあり、実際には商品化されていない。中小企業のリスクファイナンス手法の多様化の観点から、今後の環境整備が望まれるとの分析結果内容である。