獲得された絶望感(盲人ウエカジ @ウエカジハローセンター 公式ブログ)

~網膜色素変性症と司法試験とモー娘。と全盲ヘルパー事業所と・・・~

大人の麦茶「B・B bumpy buddy」@紀伊國屋サザンしあーたー朝昼 を見た。

2012-05-12 19:12:31 | コンサート舞台
 「I not a many」
 
 25年ぐらい前昔中学生だったころ英語教師が黒板にクイズを出す。「To be or not to be」はどういう意味でしょうか?

 答えはショークスピアの「生きるべきか死ぬべきかそれが問題だ」

 さらにクイズを出す英語教師。「To be to be ten made to be」
なかなか答えられない生徒たち。私もなんのことだかわからない。教師がいくつかヒントをだして、やっとわかった。答えはローマ字読みで「飛べ飛べ天まで飛べ」てね。

 10年ぐらい前、まだ現役バリバリで司法試験を受けていたころ堤真一主演の「39」という法廷映画を見た。泣いた。演技力がある堤真一はああいうナイーブな役が似合う。

 そんなことはどうでもよくて、5月に入って2度目の東京遠征な私デスペア。5か月前にオトムギ舞台「1974」を見た代々木の紀伊國屋サザンシアターへ。網膜色素変性症な私デスペア。そのころよりも明らかに視機能が悪化しているね。代々木駅の東口がわからなくてあたふたしていたら、女性に声をかけられた。その女性に改札を教えてもらい、改札出て階段をおりてまたのぼって外の歩道に出て正面にあるだろうNTTの大きなビルをその女性に確認して自分がいまいる場所を再確認する私。

 この人は大丈夫だろうかと思われたのか、どこまでいかれますか?と聞かれたので紀伊國屋サザンシアターにいきますと伝えると、私も行くので案内しますとのこと。言葉に甘える。肩やひじをかしてもらって手引きs手もらったのでなく、白杖の私の方向を教えてくれる。

 誰のファンですか?と聞きそうになったが、じっとがまん。紀伊國屋書店までついてときに、その人は高島屋で働いていること、いま妊娠中でおなかが大きくゆっくり歩くペースがちょうどよかったとのこと。

 その時はじめてその人が妊娠していて大きなおなかであることを知る。

 デスペア的B・Bの見るポイント。

1、須藤茉麻の演技がすごい
 オトムギのB・Bブログで今回の茉麻の役どころは家政婦で主役の女刑事の夏焼雅とくらべると端役だろうなと思ってちいた私。ところがどっこいこういう謎解きサスペンスの主役は筋をおっていくという点でストーリーテラーであり観客をナビゲートする役であり、決してその役には感情移入はできない。

 今回の舞台でも夏焼には感情移入はできなかった。もし主役というのは、観客がその人に感情を移入して心ゆさぶされる役だとしたら、今回の主役は夏焼雅と和泉宗介のデコボココンビ(bumpy buddy)ではなく、まちがいなくわれらが須藤茉麻とハロプロの至宝宮本佳林の2人に間違いない!ってね

 茉麻は通いの家政婦(コジマ アリ役)で、通っている家の中学生のかわいい娘さん(トークラ シズカ役)が宮本佳林。この2人のからみがとても多く、しかもこの2人のクライマックスの演技のぶつかりあい、女優魂炸裂がすばらしい。

 出だししばらくして、佳林がそのあと茉麻が出てくるのだが、佳林ちゃんの声はとってもかわいい地声をちょっとさらに高めにしたような発声とてもかわいい。その後茉麻登場なのだが、はじめその声は茉麻じゃないと思った。実に甘ったるい声、アニメ声優っぽい声、茉麻だと確信するには数セリフ必要だった私。昨日れいなたいむ地うラジオを聴いていて久しぶりに元メロン記念日の柴田あゆみがゲストで新曲「セツナ」の宣伝をしていて、その曲がながれたのだが、その柴田の歌声はかつてのメロンのセンターのアイドルポップな歌唱法ではなかった。いきなりラジオからながれてきたら柴田とは気づかないだろう。なんというか演歌ぽいというか、いい香りにはいいにおいとすこしの臭いにおい(スカトール?)がまじってはじめていい香りになるのとおなじように、柴田の声にちょっとだみ声というかねばっこさが加わっていた。

 その柴田の歌声のように、もしラジオドラマで今回のBBを聞いたら、最後まで茉麻だとは気付かなかったかもしれない。それほど今回の茉麻は役の幅が広がっている。ハカイダー、景虎、カンさんと演じることができる役の幅が広い斉藤ユースケと通じるものがある。茉麻とユースケはもっと演劇界で評価されるべきだね。

 はじめのほうの甘ったるい声の家政婦役の茉麻と、クライマックスでわれらが佳林ちゃんに罵声をあびせ殴り蹴り倒す茉麻。まったくの別人だった。このふり幅はすごい。キムタクはキムタクの演技しかできないし、れいなはどこまでいってもれいな風な演技しかできなし、夏焼は強気な女の子かちょっとイケイケの役しかできないが、須藤茉麻はそうじゃない。れいなや雅はいつもそこにれいなや雅がいるが、茉麻はときどき茉麻がいなくなる。それが女優ってもんだね!ってね。

2、宮本佳林もやっぱりすごい
 今回は1974とはちがって(竹内の代役)脚本家塩田泰造氏が宮本佳林をイメージしての役とセリフ(あて書き)。今の佳林だから演じられる役、というか私たち佳林ファンが偶像化しているイメージのままのシズカ役の佳林だった。

 ひとりっこで内弁慶で、お父さんが大好きで、お母さんがいないけど、家政婦の茉麻をお姉さんのようにしたい甘え、通っている塾の先生にあこがれて、恋に恋するウキウキな乙女。まさに今の佳林そのままだった。(正確にいうと佳林≒イズミ、今の佳林からでしゃばりでちょっとKYおしゃべり屋さんなところを引いたのがシズカ)

 クライマックスでアリちゃん(茉麻)に投げ飛ばされるがそれでもやさしかったアリちゃんを慕い続けるシズカ(佳林)、そしてアリちゃんはかわいそうだと泣きながら言う。恋に恋する乙女のシズカ、恋もしたことないのに、恋するせつなさを代弁するシズカ。

 泣いたとおもったら、その10分後にはアフタートークショーで静か以上におしゃべりでちょっとKY(正確にいうとKYじゃなくなっていてとーっく力もあがっていたが)ないつもの佳林がいた。シズカからカリンへ、その切り替えの早さはすごい。ちいさい子供はだだをこねて泣きわめいても、チョコレートをもらうとケロッと泣き止むけど、佳林の豹変はそんな「こども」の豹変ではなく、女優の豹変だと思った。(正確にいうと、茉麻と佳林の感情のぶつけ合いのところで泣く佳林に罵声をあびせる茉麻、その5分後には回想シーンで中のいい茉麻と佳林をにこにこで演じているのだ、この2人の女優度はすごいね)

 劇中で茉麻が佳林を「殺せないほどいい子だった」という。もしお嫁さんにしたい人ランキングのように娘にしたいランキングがあれば、宮本佳林はダントツ1位だと思う。それほど劇中のシズカはかわいいいい子で佳林はもっとかわいいいい子だ!ってね。

3、涙が止まらない代々木(泣)ってね
 サスペンス推理ということで泣く用意ができていなかった私。泣くつもりもなかったのだが、劇後半涙がとまらなかった。三億円のときほど涙の量はでなかったが、朝公園11時30分開演でアフタートークショー終わって13時45分、いったん代々木駅に行って山野ホールを下見に行こうと北口へ行く私、その道中、思い出して涙が流れていた私。道すがら、交通整理のおじさんにあぶないよとか誘導してもらった時は平常心なのだが、また一人で点字ブロックを歩いていると、涙がじわっと出てきた。

 北口改札までいってまた紀伊國屋サザンシアターにもどってくる道中も涙がじわっとでてきた。

 初見が今日の朝公演だった私。見終わったあと、塩田作品の中で最高傑作ができたなと確信した。(まぁこれは茉麻ヲタであり佳林ヲタである私にしてみればなんだろうけどね)。塩田作品(特にハロプロ関連)は必ずせつない片思い、純粋な片思い、一方的な実らぬ恋がでてくる。それがヲタの金銭をぶるぶるふるわせひきちぎる。ヲタの大多数は恋人も結婚も子供もいない。ないものづくしだからこそないものづくしを作品として昇華している塩田作品にひかれる。アリ(茉麻)は初恋の人は絶対自分を好きになってくれないことをわかっているけどもその人のために・・・・。

 映画「39」で私が泣いたのは堤真一に感情移入してないたのではない。私はその堤真一の恋人に感情移入して泣いたのだ。

泣いたポイント
・取調室に茉麻がいるシーン
 あかん絶対口をわるな茉麻!と心の中でさけんでいた。だけどたぶん茉麻は口をわるなとおもっていた私。

・取調室で茉麻がバディを最後まで裏切らなかったシーン
 裏切ると思っていた私。でも茉麻は最後まで裏切らない。裏切らないというより好き(あるいは好きだった)という感情は裏切るということをよせつけない。
 
・佳林「アリちゃんはかわいそう」というシーン
 茉麻に投げ飛ばされて蹴られて(私のRPの眼では蹴られているのはわかららない)いるのにこのセリフ

・佳林が「アリちゃんが大好きだった2人はいなくなったっていったけど、それは・・・・」のシーン

・佳林が茉麻から「死ね」と言われて、「私死なないもん!死ぬのは車にひかれてしぬんだもん!」のシーン

・茉麻の「殺すにはいい子すぎた」

4.アフタートークショー
・並木さんが進行役、はじめ一人ででてきて、ちょっと場つなぎをして出演者を呼び込む。前回の三億円や1974のときはちょっと信仰がつたなかったナミチョーだが、今回はちゃんとできていた。呼び込むときもしっかりかんたんな紹介をしてから呼び込んでいた。今回のトークショーは雅、佳林、肥後ちゃん、中神さん(大統領とよばれている)。佳林ちゃんの呼び込みフレーズは「スーパー中学生・・・・宮本佳林ちゃん!」スーパー中学生のところで観客からオーーと声援があがる。

 今日はDVD収録がはいっていたようで、ヲタからはかりんちゃーーんという声援はなかったが(みやびーーいう声援もなし)がみやび登場時よりも佳林ちゃんが登場したときの観客の拍手が大きかった。

 何度か佳林ちゃんもふられていたが、よくしゃべれていた。数年前まではしゃべろうしゃべろうという気持ちがつよくてまとまらない話、客が理解できないグダグダな話をしていたが、今日の佳林はちゃんとしゃべれていた。

・オトムギの舞台は2回目だけど(塩田脚本なら3作品目なんだろうけどね)1974は代役だったけど、今回は塩田さんがあて書きをしてくれたこと

・演じる役は内気な女の子で、役作りのために学校の内気な友達に話をきいたこと(客笑う、たしかに内気な人にあなた内気だから内気な気持ち教えて!というのは的確なようで的外れ)

・最後のシメで雅に手を肩におかれる佳林、今回の雅の役は手でさわった人の気持ちがわかるという役、手を置かれてマイクをとおして今の心の声を言ってオチをつけてトークショーおわりっとなるのだが、佳林は「もうおわっちゃうの」という普通のセリフ。いままでならその佳林の一言はスルーされて会場いまいちな雰囲気になるのだが、今回は佳林が自分で気づいて「あーやだー こうなっちゃうんですよ 私ふつうのことしか言えなくて、そこがだめだなぁーって思うんです 云々・・」、まくしたててしゃべる佳林、自分につっこみをいれる佳林。腕を上げたな宮本佳林。

・雅いわく、肥後ちゃんのテンションはやばいらしい、いっつも女子楽屋しゃべっているとのこと。肥後ちゃんいわく「雅ちゃんは1日目はあいてしてくれたけど、2日目からはイヤホン耳にいれっぱなしだったじゃん!」客大爆笑、「しかもなんかしらないけど首ゆらして音楽にのってるふりまでして!」ヲタ爆笑、雅らしいエピソード。それをうけて雅は「お昼ごはんはいつうも食べてるじゃないですか!」と言い訳。

・肥後ちゃんいわく、男子学者で今日はベリの「ゴーゴーファイット」ライバルが流れていた。

・中神さんいわく入浴シーンの鼻歌は数パターンある。

5、疑問点、その他
・病室で血の付いた画鋲とアリの関係がわからない。2回みてもわからない
・ハンカチの受け渡しは2回目みたときにわかった。
・ボウズレイ(雅)が一度アリ(茉麻)に触れるがそのとき心を読み取れなかったのはなぜ?
・ギターひきの役者(岩田)の声が棒読みっぽいけどなんか味わいがあっていい。もっとセリフをきいてみたいとおもった。

 実にいい舞台だった。茉麻と佳林の演技が際立つし2人人が話の中心なので茉麻ファン佳林ファンにはたまらない舞台。茉麻ファン、もしくは佳林ファンは必見。

 それと、恋人も家族も娘もいないさびしいあなた!。トークラ家の中学生の娘と家政婦はあなたが理想とする家族です。2人の劇中の会話を聞いているだけで温泉に入っているかのように心がほぐれているのを感じます。

p.s.
「I not a many」の文章を見たとき、アリ(茉麻)はどんな気持ちだったんだろう?アイをアリに脳内変換していたのだろうか?いやしていない。それは自分の気持ちそのものだとおもっていたのだろう。
 「39」は量思いのバディだが、茉麻とバディは茉麻の片思い。その点で39よりもBBのほうが愛の純度が高い。


 


 
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