獲得された絶望感(盲人ウエカジ @ウエカジハローセンター 公式ブログ)

~網膜色素変性症と司法試験とモー娘。と全盲ヘルパー事業所と・・・~

司法修習75期フォーラムのオンライン講演会 全盲司法修習生 をを受講した。

2022-06-12 22:52:08 | 司法試験と私
点字はずっと使っていない

今日は日曜日。朝、近所のガストに開店直後に行って、そこでモーニングをたべながら2時間。モーニングのトーストを半分にカットして、片方にイチゴジャム、片方にマーガリン。本当なら自分でぬらないといけないけど店員さんが塗ってくれる。ドリンクバーもほんとはセルフサービスだけども、店員さんがもってきてくれる。うれしいね。目の見えない私私。網膜色素変性症な私。やっぱりガストだね。

その後、家にもどって、裁判資料の作成。パソコンの音声読み上げソフトをつかって文書作成。こうやって、視覚障害者、全盲視覚障害者がひとりで、文章を作成できる、目の見える人も読める文章を書けるっていうのはここ20年ぐらいの話なんだよな。パソコンが普及して、音声読み上げソフトが普及したおかげ。

弁護士もつけずに、同行援護裁判などをやっている私。裁判をいとわないのは、昔、司法試験を受験してい亜tおかげかな。そのころはまだ目が見えていた私。

振り返ってみると、50年前までは、司法試験は目の見えない人は受験できなかった。点字受験がみとめられていなかった。それを認めさせたのが、全盲のタケシタさん。その後司法試験に点字で合格して、現在弁護士。

そして、20年ほど前までは、司法試験に音声パソコンは使えなかった。目の見えない人は、点字か、拡大文字で受験するほかなかった。パソコン受験ができるようになったのは、パソコンと音声読み上げソフトが普及したおかげ。

今日の午後、13時から16時まで、3時間、全盲の司法試験合格者、現在司法修習生のオクヤマさんのオンライン講演会を聞いた。司法修習生75期の有志がつくっているフォーラム。司法修習生が一般の人に向けていろいろな講演会などを実施している。そのひとつの講演会。

とてもよかった。オクヤマさんは私と同年代。つまり、私が司法試験をうけていたころから、ずっと司法試験を受け続けていた人。今は法科大学院を卒業しないと司法試験は原則うけられないけども、昔はだれでも司法試験はうけることができた。それが旧司法試験、現在の大学院卒業してうけるのが新司法試験。オクヤマさんは旧も新もずっとうけつづけていたよう。

私は、旧司法試験を受けていたけども、法科大学院制度がはじまってから、もう司法試験はあきらめて新司法試験はうけなかった。オクヤマさんは、旧司法試験を受けて、大学院にもいって新司法試験もうける。すごいね。

さらに、すごいのが。法科大学院を卒業したら新司法試験は5回まで受けられる。でも5回受けて受からなかったら、新司法試験の受験資格を失う。多くの受験生はここであきらめて、ほかの道をさがす。塾講師になったり、公務員になったり、ほかの資格試験に転向したり。でも、オクヤマさんのすごいところは、また法科大学院に2年間通って、また新司法試験受験資格をえたこと。すごいね。

デスペア的全盲司法修習生の講演会のポイント

1、不安は感じたってしょうがないだから、不安にはならない。

講演会の途中に質問タイムがあったので、質問してみた私。きっと、家が裕福なんだろうなと思って、生活費につついて聞いてみた。

すると、障害年金と講演会のお金で生活していた。お金はあまりないので、1日いくらまでときめて生活していた。

さらに、質問する私。将来の不安とかはなかったのですか。私は将来の不安におしつぶされて司法試験をあきらめました、と私。

すると、不安は感じてもしょうがないので、不安は感じなかったとのこと。もし、試験に落ち続けても60まで、還暦までは受けてやろう。収入は同学年の人たちよりも少ないかもしれないけど、まあそれはそれで、収入が少ないだけだとおもって、これが自分のやるべきことだとおもって、60まで受けようとおもってましたとのこと。

すごいね。私とは考え方がまったく違うね。不安におもってもしょうがないでしょ、というのは目からうろこだね。たしかにそうだけど、将来のこと、お金のことで不安におもうのは普通とおもうんだけどな。不安を感じないように生活できること自体がオクヤマさんの才能だね。

あと、障害年金、ベーシックインカムの効果だね。私が司法試験を受験するのをあきらめたのは、目が悪くなり、アルバイトができなくなりつつあり、でも障害年金はまだもらえない。目が見えなくなる不安と、収入がなくなる不安。それで、障碍者対象の試験を受けて働くようになった。

やりたいことをやる、不安におしつぶされないためには、やっぱり経済的な安心が必要だね。

となると、今の私は、仕事をやめたとしても、年金と株式配当などで月12万円は安定して収入がある。目が見えなくなって、いろいろなことをあきらめざるを得なかったけども、65歳になる前に、仕事をせずに、安定した収入がある状態になれたのは、目が見えなくなったおかげ。

ということは、私も自分のやりたいことに専念できるベーシックインカムはあるのね。

オクヤマさんにも、ぜひ、司法試験またチャレンジしてください。きっといけますよとアドバイスもらった。

2、電子データ

大学受験のときは点字で参考書などをつくってもらっていたけど、司法試験をうけるようになてからは、点字ではなく、電子データだけで勉強していたとのこと。点字で数行よむのに、目が見える人はもう1ページも読んでいる。視覚障害者の1日が24時間でなく、48時間あれば、点字で勉強してもいいけども、そうじゃないので、時間は同じ24時間しかないので、点字では情報においつかない。なので、すべて電子データで勉強していたとのこと。

びっくり。オクヤマさんは小さいころに全盲になったので、点字を読むスピードははやいとおもうけど、そんなオクヤマさんでも点字ではなく電子データなのね。

合理的だね。点字を使う人は、点字にここだわる人がおおいけど、オクヤマさんはそういったこだわりはないよう。実に考えが柔軟だね。60歳まで受験しようとおもっていたという考え、単に収入がすくないだけだという考えも私では思いつかない考え。実に新鮮。

3、司法試験の受験方法

今の司法試験は4日間あり、中1日休み。。でも視覚障害者受験生は、その前日、試験会場nで向いて、音声パソコンを初期化して、音声読み上げソフトをインストールして、その状態でのパソコンを会場においとかないといけない、解答用紙を印字するプリンターも自分でもっていかないといけない。これに半日かかるとのこと。

試験当日は、1.5倍の試験時間をもらえる。試験問題も六法もUSBメモリにいれてもらって、それをパソコンで開く。解答用紙のUSBメモリもあって、回答はそこに書き込む。なので、3つのUSBメモリを試験ごとに貸与されるとのこと。なので、パソコンには3つのUSBポートがいるとのこと。

かなり面倒くさいね。しかも1日の試験時間が8じかんぐらいある日もあるとのこと。当日は、パソコンの設定などのために朝7時30分に会場について、会場をでるのは22時ごろとのこと。かなりハードな試験当日スケジュールだね。

プリンタをもちこまないといけないのは不思議。USBメモリに回答データを保存して、それを提出するのだから、わざわざ紙に印字しなくてもいいとおもうんだけどな。あるいは、プリンタは会場側で、試験主催者法務省側で用意してくれてもいいのになと思った。私が、厚生労働省の試験を受けたときは、パソコンは向こうが用意してくれてていたのよね。

4、福祉サービスは受けない。

オクヤマさんはあえて福祉サービス、家事援助、同行援護はうけないとのこと。それらのサービスが受けられない人でも、司法試験に合格できる、司法修習をこなせることを証明したいから、あとに続く人の中にもそういったサービスが受けられない人もいるかもしれないので、私がその船頭になるというようなことを言っていた。

この考えも、私にとっては新鮮。私は、目が悪くなったのだから、受けられる福祉サービスはしっかり受けようと思っている。その制度を利用して社会参加しようと思っている。そのサービス確保のために、声をあげることが視覚障害である私の使命だとも思っている。

でも、オクヤマさんはそうじゃないね。逆に、今の視覚障害者は、いろいろやってもらっていて、自分でできることが少なくなっているのではないかと思うと言っていた。

でも、私は、オクヤマさんが点字ではなく電子データを使うのと同じ理由で、自分がやると時間がかかることを、ヘルパーさんの力をかりて時間短縮できているんだよな。考えの根本は一緒だと思うの。

5、その他

3時間の講演会の最後の法で、ほかの司法修習生が、音響式信号機がない場所で視覚障害者が事故にあった場合、その道路管理者を訴えられるかという問題について、法的に調査して、ひとつの見解を発表していた。

さすが司法修習生で、ちゃんと法律や、指針、通知などを調べて、その法的根拠にこうあかいてあるから、道路管理者には義務がある、あるいは義務はない。視覚障害者の利益と、ほかの近隣住民の利益の比較衡量、自治体の予算などの視点もいれつつ、見解をのべていた。

ためになったのは、そこにすでに音響式信号機があるのに、音をとめている、あるいは、故障をほったらかしにしていた場合、それは道路管理者の責任になり、視覚障害者がそのことで損害をうけたら、損害賠償できますとのこと。音響式信号機や、点字ブロックがあるってことは、そこは、それだけで、資格ショウガ会社がよく通る、視覚障害者の安全をまもらないといけないエリアだということを道路管理者も認めている。なのに、故障をほったらかしにしていたら、それは道路管理者の責任になるとのこと。

そういえば、7年ほど前、近所の音響式信号機のひとつの音がとめられていて、それを、警察に通報した私。すぐには音響がなるようにはならなかったけど、数年後、気づいたら、音がなるようになっていた。これもそういう考えによるものなんだろうね。


今までに、全盲で司法試験にごうかくした人は、5人ぐらいしかいない。弱視の人はちらほらいるけど、やっぱり全盲になるとこの50年で5人程度。ということは次の全盲合格者はあと10年はでないかな?私が今から受けたとして、合格するのは10年後の気がする。私もその時はもう60歳。

もう遅いと考えるか、今ならまだ間に合うと考えるか。

コップにジュースが半分ある場合。あと半分しかないと考えるか、まだ半分もあると考えるか。

考え方ひとつで、その人の人生の幸福度、人生のとらえ方が大きくちがってくるね。

目が見えなくなったもう人生おわりだと考える人もいれば、目が見えないので障害年金がもらえてベーシックインカムが保障されているので自分のやりたいことやるべきことに専念できると考えるか、ほんと考え方ひとつだね。

実にいい、すばらしい講演会だった。

コップの中のジュース、それはJuice=Juiceかもね。そして、流れる曲は、ワンダフルワールド。ネバーネバーサレンダー。

Juice=Juice『Wonderful World』(Promotion edit)

コメント (2)
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