読む日々

テーマばらばらの読書日記

花まんま

2010-07-09 | 
朱川湊人「花まんま」

直木賞受賞作。昭和30年代頃の大阪が舞台の、異形のモノなんかが出てくる一種のホラーな短編の集まりです。

これがまた・・ものすごーく面白い。

なんというか、昭和の雰囲気を的確に表現してあって、ホラー話も全然不自然じゃなくて、本当におこった事みたい。

とくに表題作の「花まんま」は涙なくしては読めない、いいお話でした。

幼い妹が、突然、21才で刺殺された女性の生まれ変わりだと言いだし、兄と一緒に前世の実家を訪ねるお話。前世の彼女の父親の姿が、親の愛をものすごく伝えてて、号泣しちゃいました。花まんまとは、お花を使って作るおままごとのごはん。それを見て、娘が殺された時に食事をしていた自分が許せず、以来ほぼ絶食して約10年を過ごした父親がハッとする様子が、ただただ涙

それと同時に、現世の兄の思いも泣けます。

満足度95