背後の裏山に「母の白滝」を抱く河口浅間神社のさらに山奥、
旧御坂峠トンネル手前に、かの昭和の文豪太宰治ゆかりの地
「天下茶屋」がある。
今回の世界文化遺産登録では、絵画や写真のモチーフとしての
富士山が、主に評価の対象になっているが、多くに文学でも、
富士山は欠かせない。
入水自殺の死の淵から戻り、井伏鱒二に呼ばれての逗留中の
日々を表したとされる短編小説「富嶽百景」のなかで、
「富士には月見草が良く似合う・・」というフレーズには、
太宰らしい皮肉も含められているようにも思う。
そうした富士山麓滞在中の部屋が、茶屋とともに再現され、
ミニ文学館として無料で、観ることが出来る。
そして、明るい窓からは、太宰が見ていた富士山と眼下の
河口湖の風景が、今でも同じ姿で見ることが出来る。
世界遺産のリストにこそ載っていないが、文化遺産としての
貴重なスポットと言えよう。ちなみに、太宰が月見草と詠んだ
植物は、近種のオオマツヨイグサだったようだ。
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