中学校の保険体育の指導要領の中に、突如として、「柔剣道」が加えられたという記事が2,3日前の新聞に掲載されていた。私は知らなかったが、「柔剣道」は国体の種目に入れられているのだそうだ。それにしても、何で今更「柔剣道」が出てくるのだろう。戦闘中に、敵味方の接近戦で銃を発射する暇や間合いが取れないようなときに、銃の先に刀を付けて、それで相手を突き刺したり、切ったりするというもののようだ。
だいたい戦争はもうやめた、もう二度としないと憲法に明記している日本国において、柔剣道をやる意味は全くない。言うならば、一種のマニアの中で、続けられているものだ。それを学校教育の体育の中に、取り入れてしまう文部科学省の役人の意識に、日本の社会の現状と非常に乖離したものがあるか、もしくは、それこそ安倍首相の意向を忖度したために行われた決定だということができよう。
こうした動きの根底に流れるものは、教育勅語を良しとするような、現実離れした懐古趣味だと思われる。体育の授業の中で、人殺しの技術を学ばせる(柔剣道)とか、国民に、天皇の臣民なのだという観念を植え付けようとする(教育勅語)など、安倍首相の頭を割って中をみてみたいような気がしてくる。ここは北朝鮮ではないのだぞ。そんなこと通用するはずはないだろう。どんなに偏向教育をしようが、現在の日本では、誰もが、スマホなどを持ち歩き、いつでも、インターネットにアクセスでき、世界中のニュースを見ることができる。そんな時代に、国民を洗脳し、自分の都合の良いように作り上げるなどできるはずはないのだ。時代錯誤もいい加減にして欲しいものだ。