戦後、70年を過ぎているというのに、一度も国会できちんとした防衛問題が検討されて来なかったように思う。社民党、立憲民主党、共産党は、自衛隊の存在そのものが憲法に抵触するという立場を堅持しているから、自衛隊の憲法違反を主張するばかりで、具体的に他国からの侵略はあるのか、もし、侵略行為があったときにどう対処するのかという具体的な対応策を一切示さずに、これまで来たように思う。これは、あまりにも無責任なことで、北朝鮮が今にも暴発しかねないという緊迫した状況の中、自衛隊の憲法違反というだけで済まそうとしても、国民の不安は募るばかりで、自民党に票が流れるのも、無理からぬことだと思う。
個人的なレベルで、人から突然に攻撃されるとか、誘拐されそうになるとか、犯罪に巻き込まれそうになるとか、異常事態にどう対応するかということは、切実な、現実的な問題なのだ。その対応の如何によって、被害を逃れられた、被害に遭ってしまった等々に結びついている。だから、現在の北朝鮮が、ミサイル発射や核実験を繰り返しているときに、北朝鮮からの攻撃に不安になるのも当然だ。野党はこうした不安にきちんと答えようとしていたか?私は、今の野党に、この視点が掛けているのではないかと指摘したい。これでは、国民の信任を得るには程遠いように思うのだが、いかがなものだろうか?
それでは自民党の行っていることが正しいのか?私は、これにも同調し難い。憲法9条に従って、戦争を起さないという強い決意のもと、最善を尽くすべきであり、安易にアメリカに同調し、北朝鮮に圧力を加えて、従わなかったら攻撃するぞというそぶりを見せること自体、憲法9条の主旨に反する行為だと思うからだ。日本は日本の立場で、きちんと物を言い、紛争解決に地道に取り組むべきだろうと思うからだ。
結論としては、憲法改正云々するよりも先に、国会できちんとした日本の防衛について論議すべきだろうと思う。憲法を改正するかどうかということは、その論議の後に出てくる問題であり、そうした論議を抜きして、憲法改正を唱える自民党にも、疑問を感じている。