午前1時をまわった頃、私はようやく病院を出ました。
どうやって自宅まで帰ろうかと思いあぐねていました。
とぼとぼと歩き始めて東新宿駅(副都心線、大江戸線)まで来ると、
もう足がパンパンになり歩くのが限界に来ていました。
(どこかで休まなくては‥)
上を見上げると、ちょうどそこにビジネスホテルがありました。
私はそこで一泊しました。
部屋に入りベッドに腰をおろすと、今までのことが思い出されました。
そして、助産師さんから手渡されたしとりんの寝巻きを取り出しました。
するとその寝巻きは真っ赤に染まっていました。
いかにしとりんの出血が凄まじかったのかを、あらためて思い知らされました。
出血は手術室で2,000cc、その前の分娩室で700ccぐらいあったということですから、
本当にあぶなかったのだと思います。
私はバスルームでその寝巻きの血をお湯で洗い流しました。
何度も何度も洗い流しました。
何度も何度も‥。
そして泣きました。
感謝の涙。
安堵の涙。
苦しかったことの涙。
どんな涙だったのか、自分でもよくわかりませんでしたけど、
母となったしとりんと生まれて来たひーちゃんに思いを馳せながら、
ありがとうの言葉を何度も言いました。
ありがとう‥
ありがとう‥
ありがとう‥
皆様のお祈りに支えられ、無事ここまで来ることが出来ました。
心から感謝申し上げます。
しとりんはひーちゃんを出産しました。
見事にやり遂げました。
本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
<ドキュメント 破水から出産まで> をこれで終わります。
(保育器の中ですやすやと眠るひーちゃん)