エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

東大雪の奥座敷・・ニセイ山(1181m)

2019年07月24日 | 山紀行 (十勝・大雪)
東大雪の奥座敷・・・ニセイ山(1181m)
■ 山 行 日    2019年7月22日(月)  日帰り
■ ル ー ト    ニペソツ林道~ニペソツ川C630二股右股沢
            ~C860南面直登沢~ニセイ山~南西尾根下降ルート

■ メ ン バ ー     夫婦登山№24
■ 登 山 形 態     林道歩き&沢登り&藪漕ぎ
■ 地 形 図    1/25000地形図  「トムラウシ川」「ペンケベツ」
■ 三角点・点名   三等三角点 「点名 二世山 ニセイザン」
■ コースタイム    登り 5時間50分  下り 4時間40分
<登り>
07:45     雨量計P帯スタート
08:50     シイニペソツ川出合「緑葉橋」
09:55     「豊林橋」
10:15~25  C630右股沢出合
11:20     下降予定尾根出合
12:03     C860三股「南面直登沢」へ
12:45     C1000二股 左へ
13:25     C1150尾根上
13:35     ニセイ山頂上

<下り>
14:05     下山開始
          (予定尾根下降ルートミス)
15:25     本流出合(C810二股)
15:40     下降予定尾根の末端
16:30     本流出合
16:50     豊林橋
17:45     緑葉橋
18:45     P帯(登山口)



GPSを元にニセイ山周辺の拡大ルート図です・・・

★ マイナーな1000m超峰に挑む・・・
この山を「東大雪の奥座敷」と呼んではみたが、ニセイ山と聞いてどこにある山なのか
すぐにここだと示せる岳人はどのくらいいるだろうか。「ニセイ山」でWeb検索すると
HP「地図がガイドの山歩き」札幌在住のsaijoさんたちが登った2004年7月の記録
が唯一ヒットして他には見つからなかった。あれから15年・・・この山の記録は途絶え
た状態なのか?諦めかけていたが、意外にも身近に情報提供者が居てつい身を乗り出して
聞き入ってしまった。その岳友は、web上で情報を公開していないため広く世に出る事
は無く私には貴重な存在になっている。情報を得て「今度行こう」では遅過ぎる昨今。
いつ自然の猛威で現状況が変えられてしまうか分からない時代だから「今でしょ!」とば
かりに行動しなければならないと思った。

ひとによって「山の登り方は違う」と言うのは当たり前と思っているが、どちらかと言え
ば冒険型登山よりも安全で確実に登れる方を好み、どうすれば、どのルートで登ればその
ピークに立てるのかと事前の情報を多用しているのがエバ夫婦のスタイルだ。
そもそもが知識も実力もないジジババコンビが、1000m超峰全山を目指すためには、
ハードな山になればなるほど、登行の情報は重要となりルートを開拓しながらの登行を楽
しんでいる時間的余裕はない。楽しさよりもピークハントをつい優先してしまう。

奥深い山であればあるほど、山の標高に関係なく昨今の林道崩壊などで登山口までの行く
手を阻まれるケースは多く、増々遠く困難な山になってしまっているのが悲しい。

今回のニセイ山もsaijoさんの記録を頼りに同ルートで決行を決めていただけに、新しい
情報を得て15年前の状況とは大きく変わっている事を知り、それが使えないと分かった
事は大きかった。久々の夫婦沢登り&藪漕ぎ山行、不安が大きかっただけに新しい情報は
心強かった。


★ 想像以上の崩壊
接近している台風5号や前線の影響で7/22~23での計画が微妙になって来た。
全くもってついてない・・・と諦め掛けていたが、直近まで予報を注視し22日を決行日
と決めて準備を進めた。情報を頂いた岳友は、職場の後輩で以前は彼が所属する山岳会に
私たちも会員の時代、何度も登っていた濱ちゃんである。私が退会(2006.12)して以降一
緒に登る事は稀だが、羊蹄山と積丹の珊内岳には偶然一緒に登っているのが懐かしい。

その濱ちゃん情報では、アプローチのニペソツ林道は途中で林道が決壊し、道道718号
線出合から約7㎞しか車で入れないらしい。それ以降は約6㎞を歩く事になり約2時間の
アルバイトが必要との事。15年前saijoさんたちが使ったニペソツ川の遡行ルートを使
用する場合は、更に2㎞近く林道を歩くが廃道化が激しくとても利用出来ないのと片道8
㎞の林道歩きは日帰りの域を越えてしまうリスクがあると言う事。
濱ちゃんが、使った無名沢はニセイ山を挟んだ南側にあり直登沢を利用して登頂に至った。
入渓から登頂まで約3時間、下り2時間の情報を鵜呑みにした訳ではないが、日帰りが可
能と読んでの決行でもあった。

いつもながら前置きが長くなってしまったが、実際には想像を絶する林道の崩壊と廃道化
したフキ林道、熊の糞に緊張が絶えなかったのと、下降した尾根の鹿道を頼りにしたが、
途中から不明瞭となりルートをミスして急な沢を下降する事となり時間を要したことで、
往復11時間に及ぶ久々のハード山行となってしまった。

しかし、心配していた天候が一変し、青空が顔を出し頂上では展望も望めて気持ちの良い
登頂で大満足出来たのはラッキーだった。未踏の1000m超峰を無事登頂、下山出来た
事を素直に喜び、濱ちゃんに感謝である。



林道出合から約7㎞入ったニペソツ林道にある雨量計、この先が廃道化してしまった・・・


スタート直後、廃道化を思わせる林道の現状に驚きながらこのゴールを目指す


P帯から300mほど進むと現れた崩壊地に「通行止」の看板が設置してあった・・・


ニペソツ川に架かる最初の橋「緑葉橋」に辿り着く


林道そのものが決壊し跡形もなく、本流のニペソツ川を渡渉してまた林道に戻る


完全にフキ畑と化したニペソツ林道・・・


二つ目の橋「豊林橋」は廃道化の中にあり草が鬱蒼と生えその先の林道が判断出来ない


ようやく辿り着いたC630二股の無名沢に入る・・手前は本流のニペソツ川

★ 南面直登沢・・・
ここまで歩いて来たニペソツ林道は、修復が不可能と言っていいほど無残な姿になっ
ていた。距離6.2㎞とGPSが示すがC630に出合う「無名沢」は林道から注視
していないと通り過ぎてしまう。GPSで位置を確認して20mほど下のニペソツ川
に降り、改めて無名沢出合を確認した。ここがようやくスタート地点だ。

出合から無名沢は小さな沢と分かる水量で幅は5m前後、両岸に山の斜面が迫り枝沢
の多くは涸れ沢に等しかった。途中から倒木が沢を塞いだり、大量の流木がダム化し
て沢を堰き止めるところもあり短いながら時間も掛かるし楽しい沢ではなかった。
滝は一つも無くブタ沢の遡行で南面直登沢を目指した。

12:03 C860南面直登沢出合
無名沢入渓から約1時間30分ほどで着いたが長く感じた遡行だった。
南面直登沢は、極端に小さく幅は1m前後、V字形で最初から急斜度で息を切らす。
12:45 C1000で二股に出合う。
右股出合は5~6mの滝で直登は出来ないハング状、高巻きは可能のようだ。左股は
水流があり本流と見る。予定は右股だったが、左股に変更した。それは下降する南西
尾根上が確認出来る事と尾根から頂上まで僅かなのが理由だ。1100mで沢形が終
わりその先は鬱蒼とした草地。南西尾根まで僅かなので沢から斜面を攀じ登りC11
50の南西尾根上に出た。(13:25)
顕著な尾根で鹿道らしき踏み跡もあり歩き易かった。下降尾根も確認し、まずは頂上
を目指した。そして、約10分で念願の頂上に立った!



無名沢にはほとんど滝も無く変化の少ないブタ沢だが、倒木や流木が酷く通過に苦労した


南面直登沢


南面直登沢の源頭部はすでに涸れ沢で鬱蒼としていた


C1150付近の南西尾根上から間もなく頂上が見えて来た・・・

★ 展望のご褒美・・・
こんなハードな山行はいつ以来だろう・・・?
久々に決行した沢登りと藪漕ぎ山行、日高の山以来なのかも知れない。
13:35 ニセイ山頂上 すぐに三角点を確認し確信する。登り5時間50分を
要した。息を切らし不安を募らせ、熊の糞に緊張しながら笛を吹き続け、急斜面を
攀じ登ってようやく辿り着いた頂上に感慨無量だった。それは妻のチーヤンも同じ
ようでよく頑張ったと互いに褒め合った。

ふと気が付けば空に青空が広がり、周りを見渡せば絶景が目に飛び込んで来た。
くもりから雨予報もあっただけにこの好天と展望は何倍も嬉しいご褒美だと思った。
予定よりも1時間ほど遅い登頂だったが、これも実力なり。山頂コーラで乾杯し、
初登頂を喜んだ。狭い頂上は、木々で展望に支障はあるがその合間から見渡す眺望
を楽しみニペソツ山を中心に丸山やウペペサンケ山、十勝連峰や大雪も見えていた。

さぁ、そうもゆっくり出来ないのでこの山に感謝の一礼をして下山に入った。
下りは、予定通り南西尾根を利用する事にして開始する。



ニセイ山1181mの三等三角点 点名「二世山」


7/22 ニセイ山(1181m)初登頂・・・


久々に充実した達成感を感じながら木々の合間から眺望を楽しむ


日本の木の合間から望むニペソツ山


頂上から北に望む主峰「ニペソツ山」が神々しかった・・・





★ ミスは付き物・・・
14:05 下山開始
確認した南西尾根を下り始める。最初は顕著な尾根で木々はあるものの笹もなく歩き
易かった。順調に高度を下げながらC1030付近だった。尾根が二股に分かれる場
面で進路は右尾根だったが、急に鬱蒼とした草木になって前方が不明瞭となり、気が
付けば少し左側に降りてしまった。すぐに修正するため戻ろうとしたが、尾根から外
れてしまうと急斜面で戻るには時間が掛りそうだった。
ここは、ルートを変更し、このまま急斜面を降りて近い沢を下る事にした。
降りた場所は、無名沢C810二股になってしまったが、滑り落ちるほど急斜度の小
沢で苦労した。それでも15:25、無事無名沢と出合い安堵する。

エバ夫婦の山行には、ミスが付き物・・・
これもまた実力なのだと・・・成長は無い。



下山時に使う事になった小沢。もうすぐ無名沢に出合うところだった。


無名沢を下る相方は元気です!

★ 気になる日没も急げず・・・
16:30 ニペソツ川出合
ここまで来ると下山を実感するも林道は6.2㎞ある事を忘れてはいない。
登りと同じ時間を要するなら車に着くのは、19時の計算だが日没と暗闇が気になって
足取り早くとしたいところだが、もう疲労困憊で早く歩く事が出来なかった・・。

それでも休まず歩き続け、再び熊の糞に緊張が蘇りただただ一心にゴールを目指した。

少しずつ近づくも同時に周りが暗くなり始めた・・・。
しかし、歩けば必ずゴールがあり18:45、車を発見すると安堵感に溢れた。

7㎞の林道を戻り道道に出る頃にはすっかり暗くなり、ほんとギリギリの登行だったと
実感する。くったり温泉で汗を流し家には23:00に着いた。

朝4:00に出発し帰宅が23:00だから19時間の山遊び。よく頑張った。



歩いた林道で何度となく出合った崩壊地・・・降りたり登ったり


林道の9割は流され人ひとりがようやく渡れる場面は多々あった・・・


写真左にニペソツ川が流れている。支流の川が氾濫し林道を抉り取ってしまった・・


18:45 ギリギリ日没前に辿り着きホッとする・・・

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2 コメント

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更なる一座おめでとう! (Amigo)
2019-07-26 22:26:04
いやあ、お疲れさん!
長かったなあ。約3年前の台風による被害が底知れないな。
上流部に北電の取水ダムがある林道ならば、すぐに復旧させるのだが・・・
ジジはルートファインディングと疲労で辛そうな文面だが、
下山でも見られるチーヤンの笑顔に癒される。
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いつまでも我流・・・ (エバ)
2019-07-27 22:32:13
Amigoよ、地図とコンパスも我流のまま成長せず、度々の間違いは当たりで恥ずかしい。
GPSを知っても使い方を熟知せず安易に使っているから
ミスればパニックだわ・・・。
もう笑うしかないけど、たぶんこれからも一緒だな・・笑
チーヤンの体力と持久力には敬服するものがある。最初に泣きを入れたのは今回も私だった。
下りになってようやく復活する私だが、笑顔の絶えないチーヤンには知らぬ間に癒されていたのかな?

来月には凄いところに挑戦する予定。
どうなることか・・・注目下され!
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