増毛山魂の奥座敷・・・奥徳富岳(尾白利加岳・おしらりかだけ) (1346m)
往復12時間、闇夜の下山に疲労困憊も充実した登頂と絶景を楽しんだ・・・
■ 山 行 日 2014年5月8日(木) 日帰り
■ ル ー ト 群別川林道~西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №12
■ 登 山 形 態 ツボ足(兼用靴)&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「雄冬」「暑寒別岳」「浜益」「御料地」
■ 三角点・点名 三角点・点名無し (東に1.2㎞の三角点が奥徳富岳1066m)
■ コースタイム 登り 7時間35分 下り 4時間
<登り>
林道ゲートP出発 7:50--群青橋 8:20--林道終点(渡渉点) 9:55~10:15--西尾根手前
11:45--群別川渡渉(SB) 12:00~15--西尾根800m12:45~50--C1069
14:00--奥徳富岳頂上 15:25
<下り>
下山開始 15:40--C1069 16:23--西尾根800下の沢形 16:42--林道終点(渡渉)
18:05~20---群青橋 19:07--駐車地 19:40
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黒の実線が登り、青の実線が下り ・・・片道約9.8㎞、標高差1187m
★ 睨めっこ・・・
GW期間中は仕事に精を出すエバ夫婦・・・
5/8.9 GW明け2日間の休日を利用して増毛山魂未踏の山を計画した。
山は、東暑寒岳1125mと奥徳富岳1346mの2座がメイン。しかし、日に日に変わる天気予報が
計画にも微妙な変化を及ぼす。予報と常に睨めっこしながら比較的天候の良い5/8は奥徳富岳に
決める。
当初は、群別岳を経由して奥徳富岳を周回する贅沢な計画だったが、出発時間が遅れた事や渡渉に
手間取って時間を要したり登行自体にも意外に時間が掛かり、結果奥徳富岳のみを狙った計画に変
更した。
★ 奥徳富岳1346m・・・
増毛山魂の主峰は、この山域の最高峰1491mの暑寒別岳。尾根続きで南に位置する南暑寒岳
1296mと共に登山道が整備され多くの愛好家に登られているメジャーな山だ。
対照的にその他の山々には登山道が無く、沢登りか積雪期のみに登頂を目指さなければならない。
日本海側に面した増毛山魂は、北海道でも有数の豪雪地帯。厳冬期は特に大陸からの寒波と共に
強風が吹き荒れる地域であり人を寄せ付けない山域だ。
鋭鋒・群別岳1376mはそんな中でももっとも登頂を困難とされた山で岳人たちの憧れの山と
しても知られた名峰である。
奥徳富岳1346mは、以前「ポン群別岳」または「尾白利加岳(おしらりかだけ)」と呼ばれていて
群別岳の南東尾根約2㎞に位置する山である。現在の地形図には奥徳富岳と山名が記載されて
いるがその北東にある1066mの三角点の点名が「奥徳富岳」と言いうので紛らわしい名が
付いたものだと少し古き人間は思う。
ポン群別岳を書き換えれば小群別岳となるが実際には優越つけ難いそれぞれの鋭鋒であり、尾白
利加岳は、尾白利加川の水源の山と違うしこの川の左岸にはすでに「徳富岳929m」も存在し
ている。水源は徳富川でその奥に位置するため奥徳富岳と呼んだのは国土地理院の苦肉の命名
なのだろうか?
いずれにせよ現在は奥徳富岳という山名に落ち着き、群別岳に次ぐ険しい山の一つとして有名に
なりつつある山に違いない。
この山に日帰りで登るとは考えも付かなかったが、最近のネット情報では日帰りしている報告も
多く私たちのレベルで行けるだろうか・・・と不安を抱きつつ証拠にも無く計画をして見た。
★ 倒木・・・
自宅は、5:20出発。走り慣れたいつものルートから国道231号線の浜益に出る。
群別川に架かる群別橋を渡ってすぐの林道へ右折する。
出合から約4.3㎞でゲートがありここが実質的登山口となる。
林道自体は更に4㎞以上延びているがこの時期はまだ残雪があり車での通行は出来ない。
出合から4.2㎞の林道上に道路を跨ぐように倒木があった。背の高いハイエースでは潜る事が
出来ないので手前の林道脇に駐車して歩く事にする。
約200m先にはゲートがあり開放されていた。
ゲート手前には先行登山者と思われる車が止めてあり、やはり平日でも訪れる山屋が居るんだ・・・と
ちょっと嬉しくなった。その後先行者のトレースをありがたく利用させて頂いたのは言うまでもない。
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ゲート手前の林道脇に停めたエバ車・・・
★ 長い林道歩き・・・
出発 7:50 高くもり無風
倒木がゲートの200m位手前で良かった。これがずっと手前なら排除に時間が掛かり計画に大きく
影響を及ぼしたかも知れない。
今回の出で立ちは、二人ともスキー兼用靴にスノーシューを背負っての出発。
この靴でも結構長い林道歩きをこなしているのでプラブーツとの違和感は少ないから良い。
アイゼンやスノーシューも兼用靴に合わせて調整してあったので敢えてこの靴に決めた。
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ゲート手前にあった倒木が車の行く手を阻んだが・・・
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ゲートから約1.7㎞歩いて群別川に架かる「群青橋」
「群青橋」を渡って林道は群別川の右岸に変わる・・・。
標高約300m付近から林道の残雪は繋がり始める。雪の無くなった道路脇には、カタクリの花や
エゾエンゴサクも咲いていて辛い林道歩きを癒してくれた。一輪だけシラネアオイが咲いていてその
早咲きに驚きながらネギも探したが見つからなかった・・。
林道終点 9:55
出発から2時間以上も掛かってしまった。決して遅い歩きでは無いと思ったがちょっと意外だった。
スノーブリッジ (以降SBと呼ぶ)は無く、渡渉点探しに苦労する。
先行者のトレースを一時見失い、上流へSBを探すため残雪の斜面を登るも雪が途切れて進めず
元の位置に戻る。再び渡渉点を探すと先行者の渡渉跡を発見し、何とか渡り切る。チーヤンの渡渉
には確保のロープを使用した。
渡渉終了 10:15
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林道終点から沢に降りる場所を選んでちょっと藪を漕ぐ・・・
★ 快適な尾根歩き・・・
渡渉を無事終えて低い北東尾根に取付く。旧林道跡と思われる残雪を少し登る形で尾根上に出る。
尾根は広く疎林帯で歩き易かった。左前方に幌天狗が木々の合間から見え隠れしつつ次第にはっきり
姿を見る事が出来る。そして鋭鋒・群別岳も見え始め登行意欲に勢いが付く。
先行者のトレースをありがたく追いながらもいつものようにピンクのテープは欠かせない。
ここで積雪は約2m位あった。下界では考えられない残雪だ。
C609を過ぎると景色が一変し、木々のほとんど無い雪原が広がっていた。
左に幌天狗の大きな尾根、前方に群別岳そして右手に遥か遠い奥徳富岳を一望するビューポイントだ。
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渡渉を終えて登った低い北東尾根上・・・
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C609付近から望む鋭鋒・群別岳
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C609付近から望む遥かなる奥徳富岳と手前の西尾根 (一部尾根上の雪が途切れている)
★ ギリギリかも・・・
C609地点から一望する雪原は複雑な地形となっていてアップダウンな登行を強いられる。
しかし、今日のような天候なら全体を見渡せるので高低の少ないルート取りも可能だ。
先行者は、やはり群別岳に向かっているようだ。その姿は最後まで確認出来なかったがここで
トレースに別れを告げて奥徳富岳へのルートを取る。
心配なのは、西尾根に取付くための群別川の2つの渡渉だ。
SBがあれば問題ないだろうがなければアウトだ。
沢に近づき意外にも高低差のある沢を覗き見る。一本目は完全に雪で埋まっていて問題無かった。
二本目は、一部口を開けてるも渡れそうなSBがあって安心する。
しかし、沢に降りる斜面が半端無く急だった。ツボ足のまま慎重に降りはじめてすぐに滑落・・・
必至に灌木に掴り一命を取りとめた・・・(ちょっと大げさ)
この沢の渡渉もあと一週間くらいだろうか?
奥徳富岳西尾根ルートも今期最後のギリギリかも知れないと思った。
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一部口を開けた群別川を渡渉し西尾根の南側に取付く斜面を登るチーヤン・・・
★ 西尾根上の残雪が途切れてる・・・
渡渉を終えて西尾根の南斜面下 12:00~12:15 休
C609から望んだ時から西尾根の残雪が途切れているのが確認出来たので、末端からは取付かず
雪の繋がったところまで南側の沢形を辿る事にした。
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左側の斜面が西尾根の南斜面・・・
★ 西尾根へ・・・
西尾根800m付近 12:45~50
沢形を登りながら西尾根を見上げて雪の繋がっていそうな場所を探す。
標高800m付近から尾根上の雪が繋がっているように見えたので登る事にした。
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西尾根800m付近。幌天狗を背に一枚・・・
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見上げる西尾根の上部と遥か遠い奥徳富岳の頂き・・・
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斜度が増して来た痩せた西尾根・・・
★ ようやく1069・・・
北東尾根との合流点C1069 14:00着
なんとここまで6時間10分も要してしまった。
気持ちに焦りは無いが、体力的な限界を感じ始めていた。
スノーシューはもう使わないだろう・・・と、ここにデポしてアイゼンを装着することにした。
びっくりするほど広い北東尾根が頂上付近まで延びていた。距離こそ2キロもあるがこれなら簡単
頑張るぞ!・・・と思ったのもつかの間、足取りは重くなかなか頂上が近づいてくれない。
10歩進んで一休み・・・を繰り返しながら少しずつ頂上に近づく。
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1069付近から見下ろす黄金山・・・
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見通しが良く広い北東尾根を歩くも・・・
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北東尾根を歩きながら群別の絶景を眺めるのが唯一の救いだ・・・
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正面左側のコブが奥徳富岳、もう随分歩いているのに近くならないのは何故だ!
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奥徳富岳から延びる南東尾根上の「知来岳988m」も登行意欲に湧く鋭鋒だ。
★ 覗けない東斜面・・・
もう何度立ち止まったか判らないほど足を止めながらもここまで登って来た。
最後の尾根上に立ち双耳峰の最初のコブの手前に来る。
コブの東斜面には何とか雪が付いているがいつ崩れてもおかしくない切れ目や空間が恐怖心を煽る。
恐る恐る東斜面を覗こうとするも余りにも断崖絶壁に見えてあと一歩が前に出ない。
仕方なくハイ松の藪を漕いで次の頂上コブを目指すが、疲労困憊気味の二人には緊張感が薄れる。
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双耳峰最初のコブはハイ松を漕いで越える・・・
★ 登り7時間35分・・・
奥徳富岳頂上 15:25
自分たちも経験した事の無い登りのタイム・・・
それも時間は15:25 もう夕暮れに近い時間だ・・・
今回は2日間ここに滞在する予定で多少遅い下山でもすぐに泊まれる・・・という安心感も助けて
下りは林道終点まで明るい内に下山出来れば何とかなるという計算でここまで登って来た。
一つ目のコブを過ぎると幸い頂上への残雪は広く残り苦労せずに登頂に至った。
ハイ松に古いピンクのテープが付いていただけで標識も三角点も無い。
ここでも見下ろせない程急斜面の絶壁・・・幸いにも頂上ハイ松の東側には座れるほどの残雪が
あり恐怖心は無かった。
早々に握手をするもゆっくり登頂気分を味わう時間の余裕は無い。
恒例山頂コーラと記念写真だけは欠かせないが、景色もそこそこに下山を急いだ。
それでもここからの景色を写真に残そうと少しだけ時間をもらって撮った写真を見てほしい。
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頂上直下の残雪を登る・・・もうすぐだ!
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まさかの頂上、ようやくの頂上に辿り着いたエバ夫婦です・・・(右背景は暑寒別岳)
★ 頂上からの絶景・・・
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暑寒別岳と西暑寒岳
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奥徳富岳から見た群別岳はまさに尖がった山・・・
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★ 下山・・・
下山開始 15:40
7時間半も掛けて登って来たのに僅か15分の滞在は厳しいものがある。
しかし、下りも最低3時間を要するため早くても下山は18:40となればゆっくりもしていられない。
後ろ髪を引かれる思いも下山の途に就く・・・
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頂上から次のコブまではこんな感じだった・・・
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双耳峰を過ぎて北東尾根を下る・・・正面には黄金山と日本海を望む
★ 漢方薬68番のお世話・・・
C1069 16:23
登りで1時間30分を要した北東尾根も下りでは43分で着いた。
しかし、1069のほんの僅かな登りで足が攣ったのは私だ。
用意していた漢方薬68番をすぐに飲むと即効に痛みが治まり歩けるようになるから不思議だ。
デポしていたスノーシューをザックに括りつけ西尾根を辿らずに急斜面の沢形に降りる事にする。
アイゼンは付けたままで慎重に一歩ずつ降りる。ザラメ状に腐り始めた表面は適度にステップが
利いて恐怖心も無く沢底に着く。
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1069から直接沢形の急斜面を降りるチーヤン・・・
★ トレースを辿りテープを回収して・・・
林道終点の沢渡渉点 18:05
西尾根の末端にある渡渉点には17時頃通過してキツイ登りもアイゼンの歯を利かせて難無く登る。
C609まではトレースを辿りながら付けて来たテープも回収し、疲れているのに足取りは早い。
ほとんど休む事無くひたすらに歩を進めようやく林道終点の渡渉点に着いたのは18:05だった。
登り時とは別の渡渉点を見つけて濡れる事を覚悟に渡渉する。
案の定二人とも靴を濡らすも安堵の林道に辿り着きホッと一息つく。
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林道終点の渡渉点で靴を濡らすも気持ちは軽い・・・
★ 締めの林道が長かった・・・
駐車地点 19:40
最後の林道を歩き始めた時はまだ明るさも充分だったのに暗くなるのは早かった。
群別岳まで先行していた単独の登山者も林道の残雪に下りのトレースを残す。
当然ながらもう何時間も前のトレースだろう・・・。
次第にその跡すら見えなくなり辛うじて月明かりで歩く。
車の形を見た時は本当にホッとした。
本当に長かった最後のアルバイトだった・・・。
閉館間近の「浜益温泉」に何とか入れて頂き真っ黒く日焼けした顔と汗を流し本当の安堵に着く。
本来、明日予定していた東暑寒岳のため今夜の宿泊地は暑寒別岳の登山口、暑寒荘の駐車場
だったが、明日の予報が雨である事と二人とも靴を濡らしてしまった事そしてもう登りたくないと言う
のが正直な気持ちになり、帰宅する事にした。
途中のコンビニで簡単な夕食を買い車中で食べながら家路を急ぐ・・・。
帰宅23:00
記憶に残る今シーズンの山行になった事は間違いない・・・・
往復12時間、闇夜の下山に疲労困憊も充実した登頂と絶景を楽しんだ・・・
■ 山 行 日 2014年5月8日(木) 日帰り
■ ル ー ト 群別川林道~西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №12
■ 登 山 形 態 ツボ足(兼用靴)&アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「雄冬」「暑寒別岳」「浜益」「御料地」
■ 三角点・点名 三角点・点名無し (東に1.2㎞の三角点が奥徳富岳1066m)
■ コースタイム 登り 7時間35分 下り 4時間
<登り>
林道ゲートP出発 7:50--群青橋 8:20--林道終点(渡渉点) 9:55~10:15--西尾根手前
11:45--群別川渡渉(SB) 12:00~15--西尾根800m12:45~50--C1069
14:00--奥徳富岳頂上 15:25
<下り>
下山開始 15:40--C1069 16:23--西尾根800下の沢形 16:42--林道終点(渡渉)
18:05~20---群青橋 19:07--駐車地 19:40
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黒の実線が登り、青の実線が下り ・・・片道約9.8㎞、標高差1187m
★ 睨めっこ・・・
GW期間中は仕事に精を出すエバ夫婦・・・
5/8.9 GW明け2日間の休日を利用して増毛山魂未踏の山を計画した。
山は、東暑寒岳1125mと奥徳富岳1346mの2座がメイン。しかし、日に日に変わる天気予報が
計画にも微妙な変化を及ぼす。予報と常に睨めっこしながら比較的天候の良い5/8は奥徳富岳に
決める。
当初は、群別岳を経由して奥徳富岳を周回する贅沢な計画だったが、出発時間が遅れた事や渡渉に
手間取って時間を要したり登行自体にも意外に時間が掛かり、結果奥徳富岳のみを狙った計画に変
更した。
★ 奥徳富岳1346m・・・
増毛山魂の主峰は、この山域の最高峰1491mの暑寒別岳。尾根続きで南に位置する南暑寒岳
1296mと共に登山道が整備され多くの愛好家に登られているメジャーな山だ。
対照的にその他の山々には登山道が無く、沢登りか積雪期のみに登頂を目指さなければならない。
日本海側に面した増毛山魂は、北海道でも有数の豪雪地帯。厳冬期は特に大陸からの寒波と共に
強風が吹き荒れる地域であり人を寄せ付けない山域だ。
鋭鋒・群別岳1376mはそんな中でももっとも登頂を困難とされた山で岳人たちの憧れの山と
しても知られた名峰である。
奥徳富岳1346mは、以前「ポン群別岳」または「尾白利加岳(おしらりかだけ)」と呼ばれていて
群別岳の南東尾根約2㎞に位置する山である。現在の地形図には奥徳富岳と山名が記載されて
いるがその北東にある1066mの三角点の点名が「奥徳富岳」と言いうので紛らわしい名が
付いたものだと少し古き人間は思う。
ポン群別岳を書き換えれば小群別岳となるが実際には優越つけ難いそれぞれの鋭鋒であり、尾白
利加岳は、尾白利加川の水源の山と違うしこの川の左岸にはすでに「徳富岳929m」も存在し
ている。水源は徳富川でその奥に位置するため奥徳富岳と呼んだのは国土地理院の苦肉の命名
なのだろうか?
いずれにせよ現在は奥徳富岳という山名に落ち着き、群別岳に次ぐ険しい山の一つとして有名に
なりつつある山に違いない。
この山に日帰りで登るとは考えも付かなかったが、最近のネット情報では日帰りしている報告も
多く私たちのレベルで行けるだろうか・・・と不安を抱きつつ証拠にも無く計画をして見た。
★ 倒木・・・
自宅は、5:20出発。走り慣れたいつものルートから国道231号線の浜益に出る。
群別川に架かる群別橋を渡ってすぐの林道へ右折する。
出合から約4.3㎞でゲートがありここが実質的登山口となる。
林道自体は更に4㎞以上延びているがこの時期はまだ残雪があり車での通行は出来ない。
出合から4.2㎞の林道上に道路を跨ぐように倒木があった。背の高いハイエースでは潜る事が
出来ないので手前の林道脇に駐車して歩く事にする。
約200m先にはゲートがあり開放されていた。
ゲート手前には先行登山者と思われる車が止めてあり、やはり平日でも訪れる山屋が居るんだ・・・と
ちょっと嬉しくなった。その後先行者のトレースをありがたく利用させて頂いたのは言うまでもない。
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ゲート手前の林道脇に停めたエバ車・・・
★ 長い林道歩き・・・
出発 7:50 高くもり無風
倒木がゲートの200m位手前で良かった。これがずっと手前なら排除に時間が掛かり計画に大きく
影響を及ぼしたかも知れない。
今回の出で立ちは、二人ともスキー兼用靴にスノーシューを背負っての出発。
この靴でも結構長い林道歩きをこなしているのでプラブーツとの違和感は少ないから良い。
アイゼンやスノーシューも兼用靴に合わせて調整してあったので敢えてこの靴に決めた。
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ゲート手前にあった倒木が車の行く手を阻んだが・・・
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ゲートから約1.7㎞歩いて群別川に架かる「群青橋」
「群青橋」を渡って林道は群別川の右岸に変わる・・・。
標高約300m付近から林道の残雪は繋がり始める。雪の無くなった道路脇には、カタクリの花や
エゾエンゴサクも咲いていて辛い林道歩きを癒してくれた。一輪だけシラネアオイが咲いていてその
早咲きに驚きながらネギも探したが見つからなかった・・。
林道終点 9:55
出発から2時間以上も掛かってしまった。決して遅い歩きでは無いと思ったがちょっと意外だった。
スノーブリッジ (以降SBと呼ぶ)は無く、渡渉点探しに苦労する。
先行者のトレースを一時見失い、上流へSBを探すため残雪の斜面を登るも雪が途切れて進めず
元の位置に戻る。再び渡渉点を探すと先行者の渡渉跡を発見し、何とか渡り切る。チーヤンの渡渉
には確保のロープを使用した。
渡渉終了 10:15
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林道終点から沢に降りる場所を選んでちょっと藪を漕ぐ・・・
★ 快適な尾根歩き・・・
渡渉を無事終えて低い北東尾根に取付く。旧林道跡と思われる残雪を少し登る形で尾根上に出る。
尾根は広く疎林帯で歩き易かった。左前方に幌天狗が木々の合間から見え隠れしつつ次第にはっきり
姿を見る事が出来る。そして鋭鋒・群別岳も見え始め登行意欲に勢いが付く。
先行者のトレースをありがたく追いながらもいつものようにピンクのテープは欠かせない。
ここで積雪は約2m位あった。下界では考えられない残雪だ。
C609を過ぎると景色が一変し、木々のほとんど無い雪原が広がっていた。
左に幌天狗の大きな尾根、前方に群別岳そして右手に遥か遠い奥徳富岳を一望するビューポイントだ。
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渡渉を終えて登った低い北東尾根上・・・
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C609付近から望む鋭鋒・群別岳
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C609付近から望む遥かなる奥徳富岳と手前の西尾根 (一部尾根上の雪が途切れている)
★ ギリギリかも・・・
C609地点から一望する雪原は複雑な地形となっていてアップダウンな登行を強いられる。
しかし、今日のような天候なら全体を見渡せるので高低の少ないルート取りも可能だ。
先行者は、やはり群別岳に向かっているようだ。その姿は最後まで確認出来なかったがここで
トレースに別れを告げて奥徳富岳へのルートを取る。
心配なのは、西尾根に取付くための群別川の2つの渡渉だ。
SBがあれば問題ないだろうがなければアウトだ。
沢に近づき意外にも高低差のある沢を覗き見る。一本目は完全に雪で埋まっていて問題無かった。
二本目は、一部口を開けてるも渡れそうなSBがあって安心する。
しかし、沢に降りる斜面が半端無く急だった。ツボ足のまま慎重に降りはじめてすぐに滑落・・・
必至に灌木に掴り一命を取りとめた・・・(ちょっと大げさ)
この沢の渡渉もあと一週間くらいだろうか?
奥徳富岳西尾根ルートも今期最後のギリギリかも知れないと思った。
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一部口を開けた群別川を渡渉し西尾根の南側に取付く斜面を登るチーヤン・・・
★ 西尾根上の残雪が途切れてる・・・
渡渉を終えて西尾根の南斜面下 12:00~12:15 休
C609から望んだ時から西尾根の残雪が途切れているのが確認出来たので、末端からは取付かず
雪の繋がったところまで南側の沢形を辿る事にした。
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左側の斜面が西尾根の南斜面・・・
★ 西尾根へ・・・
西尾根800m付近 12:45~50
沢形を登りながら西尾根を見上げて雪の繋がっていそうな場所を探す。
標高800m付近から尾根上の雪が繋がっているように見えたので登る事にした。
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西尾根800m付近。幌天狗を背に一枚・・・
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見上げる西尾根の上部と遥か遠い奥徳富岳の頂き・・・
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斜度が増して来た痩せた西尾根・・・
★ ようやく1069・・・
北東尾根との合流点C1069 14:00着
なんとここまで6時間10分も要してしまった。
気持ちに焦りは無いが、体力的な限界を感じ始めていた。
スノーシューはもう使わないだろう・・・と、ここにデポしてアイゼンを装着することにした。
びっくりするほど広い北東尾根が頂上付近まで延びていた。距離こそ2キロもあるがこれなら簡単
頑張るぞ!・・・と思ったのもつかの間、足取りは重くなかなか頂上が近づいてくれない。
10歩進んで一休み・・・を繰り返しながら少しずつ頂上に近づく。
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1069付近から見下ろす黄金山・・・
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見通しが良く広い北東尾根を歩くも・・・
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北東尾根を歩きながら群別の絶景を眺めるのが唯一の救いだ・・・
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正面左側のコブが奥徳富岳、もう随分歩いているのに近くならないのは何故だ!
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奥徳富岳から延びる南東尾根上の「知来岳988m」も登行意欲に湧く鋭鋒だ。
★ 覗けない東斜面・・・
もう何度立ち止まったか判らないほど足を止めながらもここまで登って来た。
最後の尾根上に立ち双耳峰の最初のコブの手前に来る。
コブの東斜面には何とか雪が付いているがいつ崩れてもおかしくない切れ目や空間が恐怖心を煽る。
恐る恐る東斜面を覗こうとするも余りにも断崖絶壁に見えてあと一歩が前に出ない。
仕方なくハイ松の藪を漕いで次の頂上コブを目指すが、疲労困憊気味の二人には緊張感が薄れる。
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双耳峰最初のコブはハイ松を漕いで越える・・・
★ 登り7時間35分・・・
奥徳富岳頂上 15:25
自分たちも経験した事の無い登りのタイム・・・
それも時間は15:25 もう夕暮れに近い時間だ・・・
今回は2日間ここに滞在する予定で多少遅い下山でもすぐに泊まれる・・・という安心感も助けて
下りは林道終点まで明るい内に下山出来れば何とかなるという計算でここまで登って来た。
一つ目のコブを過ぎると幸い頂上への残雪は広く残り苦労せずに登頂に至った。
ハイ松に古いピンクのテープが付いていただけで標識も三角点も無い。
ここでも見下ろせない程急斜面の絶壁・・・幸いにも頂上ハイ松の東側には座れるほどの残雪が
あり恐怖心は無かった。
早々に握手をするもゆっくり登頂気分を味わう時間の余裕は無い。
恒例山頂コーラと記念写真だけは欠かせないが、景色もそこそこに下山を急いだ。
それでもここからの景色を写真に残そうと少しだけ時間をもらって撮った写真を見てほしい。
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頂上直下の残雪を登る・・・もうすぐだ!
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まさかの頂上、ようやくの頂上に辿り着いたエバ夫婦です・・・(右背景は暑寒別岳)
★ 頂上からの絶景・・・
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暑寒別岳と西暑寒岳
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奥徳富岳から見た群別岳はまさに尖がった山・・・
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★ 下山・・・
下山開始 15:40
7時間半も掛けて登って来たのに僅か15分の滞在は厳しいものがある。
しかし、下りも最低3時間を要するため早くても下山は18:40となればゆっくりもしていられない。
後ろ髪を引かれる思いも下山の途に就く・・・
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頂上から次のコブまではこんな感じだった・・・
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双耳峰を過ぎて北東尾根を下る・・・正面には黄金山と日本海を望む
★ 漢方薬68番のお世話・・・
C1069 16:23
登りで1時間30分を要した北東尾根も下りでは43分で着いた。
しかし、1069のほんの僅かな登りで足が攣ったのは私だ。
用意していた漢方薬68番をすぐに飲むと即効に痛みが治まり歩けるようになるから不思議だ。
デポしていたスノーシューをザックに括りつけ西尾根を辿らずに急斜面の沢形に降りる事にする。
アイゼンは付けたままで慎重に一歩ずつ降りる。ザラメ状に腐り始めた表面は適度にステップが
利いて恐怖心も無く沢底に着く。
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1069から直接沢形の急斜面を降りるチーヤン・・・
★ トレースを辿りテープを回収して・・・
林道終点の沢渡渉点 18:05
西尾根の末端にある渡渉点には17時頃通過してキツイ登りもアイゼンの歯を利かせて難無く登る。
C609まではトレースを辿りながら付けて来たテープも回収し、疲れているのに足取りは早い。
ほとんど休む事無くひたすらに歩を進めようやく林道終点の渡渉点に着いたのは18:05だった。
登り時とは別の渡渉点を見つけて濡れる事を覚悟に渡渉する。
案の定二人とも靴を濡らすも安堵の林道に辿り着きホッと一息つく。
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林道終点の渡渉点で靴を濡らすも気持ちは軽い・・・
★ 締めの林道が長かった・・・
駐車地点 19:40
最後の林道を歩き始めた時はまだ明るさも充分だったのに暗くなるのは早かった。
群別岳まで先行していた単独の登山者も林道の残雪に下りのトレースを残す。
当然ながらもう何時間も前のトレースだろう・・・。
次第にその跡すら見えなくなり辛うじて月明かりで歩く。
車の形を見た時は本当にホッとした。
本当に長かった最後のアルバイトだった・・・。
閉館間近の「浜益温泉」に何とか入れて頂き真っ黒く日焼けした顔と汗を流し本当の安堵に着く。
本来、明日予定していた東暑寒岳のため今夜の宿泊地は暑寒別岳の登山口、暑寒荘の駐車場
だったが、明日の予報が雨である事と二人とも靴を濡らしてしまった事そしてもう登りたくないと言う
のが正直な気持ちになり、帰宅する事にした。
途中のコンビニで簡単な夕食を買い車中で食べながら家路を急ぐ・・・。
帰宅23:00
記憶に残る今シーズンの山行になった事は間違いない・・・・
長時間山行お疲れ様です。
5/4に同じようなルートで奥徳富行きました。(記録はまだ後になりますが・・・・)
エバさんの写真を見て融雪の速さに驚きました。
林道、渡渉点、群別本流のSBの崩壊。4日でみるみる雪が減っていくものですね。
この調子では2週間持たないかも・・・。
いつもブログは拝見していますよ
GWを含めて連日の山行にただ驚くばかりです・・・
5/4奥徳富岳の後に5/5浜益岳だったんですね。
私たちはいつもそうなんですが、2日続けての山行が
減っています。折角の連休も一日は休養日になってし
まいますわ。
融雪早いですかぁ~
林道終点の渡渉も唯一一箇所小さなSBはあったの
ですが、微妙なSBで止めました・・・
東京の友人が5月末に来道し群別に登りたいと言って
いましたが・・・微妙ですね。
上忠別岳ブログ見て行こうと思いました・・・
でも来期にします。
またどこかで・・・・