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たかつき市民環境大学

2024-12-09 17:22:19 | たかつき市民環境大学

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第23回「外来種問題 何が困るの?」

日時:2024年12月12日(木)10時~12時

場所:五領公民館

講師:中井 克樹さん(滋賀県立琵琶湖博物館 元学芸員)

 

本日の講座の主題はナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)です。午前の講座では、外来種の問題について学び、午後からは、実際にナガエツルノゲイトウが繁殖している現場で、駆除や繁殖を防止する対策を実作業を通して学びます。

先ず、午前の講座では、自然や環境に大きな悪影響を及ぼす恐れのある外来種について、どのような問題があり、どうすればよいのかを4つの項目でお話して頂きました。

1.身近な自然環境の危機的現状  2.外来種問題と対策の経緯

3.外来種問題の考え方      4.どうする外来種問題?

 

 

1.身近な自然環境の危機的現状

私たちの身近な水辺の環境である水田・水路・ため池等は、自然の止水環境を代替する「二次的自然」として重要であり、里山もまた、生活に多様な恵みをもたらす「二次的自然」として重要。

 

私たちは、こうした自然に恵まれた環境の中で生活してきましたが、今生物多様性の危機に直面しています。それは次の4つに分類されます。

特に、(3)第3の危機 人間が持ち込んだものによる危機は、釣りを楽しむために、人が放流したブラックバスに代表されるように大変大きな問題です。今後は、コクチバスが第2のブラックバス問題になる恐れがあります。

 

日本の絶滅種は113種に上りますが、小笠原諸島で特に顕著です。ここにはこの地域固有の生き物が多く生息しており、ここで絶滅した種は地球上から居なくなってしまうということです。人間の活動などにより、絶滅スピードが早まっています。

 

 

他方で、都市近郊のため池は、コイやヘラブナなどの外来種だらけです。

日本の在来のコイは、古い時代に大陸から持ち込まれ、放流された結果、現在では大部分が外来系統となっています。コイは、外来種ということよりも、他の動植物への影響が大き過ぎるから排除の対象となっています。愛知県では、「対策が必要な外来種30」にコイを選定しています。

 

2.外来種問題と対策の経緯

外来種とは、もともといなかったところへ、人の手(運搬含む)によって連れてこられた生き物たちです。実は、「外来」=「外国から来た」ものだけではなく、国内移動のものも含まれ、それらは国内外来種と呼ばれます。北海道ではカブトムシが、琵琶湖ではワカサギが、そして、ゲンジボタルも該当します。

外来種には、稲、西洋ミツバチ、ニワトリ、カイウサギ、イヌ、ネコなどの他に、在来の生き物と仲良くできないものがいます。例えば、アメリカザリガニ、アカミミガメ、カミツキガメ、ワニガメ、アライグマ、ブラックバス、ブルーギル、ウシガエルなど。

現在、特定の外来種の影響(捕食・競争・環境改変・寄生者媒介・交雑・生業・危害)が放置できなくなってきており、「侵略的外来種」と呼ばれています。バランスを崩して増え過ぎた生物(在来種含む)に対して、私たちは、原因者としての責任で、適正に「管理」する必要があります。

アメリカザリガニは影響が広範囲に及んでいます。

 

社会問題化した外来魚問題への新たな対応として、「釣りという行為に対する規制」「蜜放流を構成する行為の規制」「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」の施行。

 

外来生物法による規制:行為の制限

今後は、飼い主の責任が厳しく問われます!

 

3.外来種問題の考え方

問題になるのは、影響が大きく(侵略性が高い)放置できない一部の外来種であり、在来種の中にも問題視されるものがあることを認識しなければなりません。

 

外来種対策の基本的姿勢として、外来種にはいろいろあり、外来種問題は想定外の事態との認識を持って、早期対応する必要があります。問題を先送りにすると、事態が深刻化して対策の手間と費用は莫大なものになってしまいます。

 

4.どうする外来種問題?

「外来魚」(侵略的外来魚)への対策

 ・漁業者からの回収  単位重量当たりの金額を支払う

 ・釣り人からの回収  「外来魚回収ボックス・いけす」設置他

 ・電気ショッカーボートによる捕獲  外来魚だけを選別して捕獲

 

高槻市では、2016年にオオバナミズキンバイと同時にナガエツルノゲイトウの駆除活動が開始されましたが、その後次々と各地で見つかっています。

 

外来種対策の考え方は、「効果の評価:捕獲・採集によって現場の生息密度・個体数がどの程度減少したか」「根絶でなく低密度管理でもよしとする」「持続的に生息抑制・制御をつづける覚悟」「生息抑制の取り組みを、日常の生活や生業のなかにうまく取り入れる知恵・工夫が必要」

最後に、ひとりひとりができることを考える上でのポイントは、それぞれの人間のふるまいが、自然の枠組みからどれほど外れているか(不自然であるか)を自覚することです。

 

以上、外来種問題について多くのことを学ぶことができました。私たちは少なくとも加害者にならないようにしなければなりませんし、自分にもできる対策があれば、積極的に実施したいと思いました。

 

午後の講座(屋外での実習)は、別のブログでご報告致します。

 

 

 

 

 


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