元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

ビジネス実務法務検定試験概要(ビジ法)とその「公益通報者保護法 」の試験問題について(その4)

2013-11-30 05:59:04 | 社会保険労務士
[第34回ビジネス実務法務検定試験(ビジ法)「解答速報」のコメント(解説付き)(1)]<2級>へ



公益通報者保護法の試験問題を解いてみました!!

 安易に考えて、ビジネス実務検定試験の受験を決意したものの、一つひとつの法律については、難しい問題はでないものの、たとえば、特許法、民法、民事訴訟法等取り扱う法律の数が広くて、ちょっと時間が足りなくなり焦っています。特許法とかは、行政で担当分野であったので思い起こせば、問題自体は、そう突っ込んだ問題ではないので、なんとかなるのですが、会社法とか、民事訴訟法とかあまり詳細に勉強することもなかったので、苦労しています。

 70点取れれば合格ですが、今のところ、ボーダーラインを行き来しているようで、自分の性格として、余裕で合格したいと考えていた手前、本当に焦っています。だれか、助けてくださいと言いたいところです。2か月を切ったところから決意して始めるのは、無謀だったのかなと考えていますが、とにかく、頑張らなきゃ。<以上、3回に書いたところの「再掲」内容です。>

なお、2時間で40問解かなければならないため、1問にかける時間は3分になりますが、これが相当文章が長いのが多くて、読みこなすのに大変で、時間配分に十分注意しなければと思い、あと1週間しかありませんが、ここのところも考慮しておく必要があると考えています

 さて今回は、労使の間にからんでくる問題として、公益通報者保護法の問題を取り上げてみました。公益通報者としての「労働者」が国民の生命・身体・財産等の利益の保護にかかわる法律の犯罪行為の事実を、通報することを言います。ここで、通報者は、労働基準法の労働者であり、まさに、その職場で働く労働者にかかわる問題となってきます。これは、ザックリいえば、通報した労働者が会社から解雇等の不利益をこうじられないよう保護を与えるものです。
 本来の問題は、5肢択一の問いですが、一問一答の問題にしてあります。すなわち、次の文章が正しいか、誤りかという問題です
 

 Q1 X社は、公益通報者保護法に基づいて、従業員から社内の違反行為に関する相談を受け付ける窓口(ヘルプライン)を社内に設置した。X社に就業しているアルバイト従業員が、X社において発生した通報対象事実をX社のヘルプラインに通報した。この場合、アルバイト従業員は公益通報者保護法に当たらないため、ヘルプラインに通報したことを理由として、X社が当該アルバイトを解雇しても、当該解雇は有効である。

 
 A1 ×です。先ほども言いましたが、公益通報者とは、労働基準法の労働者の範囲です。したがって、これにはアルバイト、パートも入りますので、その解雇は無効になります。

 Q2 X社は、公益通報者保護法に基づいて、従業員から社内の違反行為に関する相談を受け付ける窓口(ヘルプライン)を社内に設置した。派遣社員事業主であるY社からX社に派遣された派遣労働者Zが、X社において発生した通報対象事実をX社のヘルプラインに通報した。この場合、ZはX社に雇用されている労働者ではないため、Zがヘルプラインに通報したことを理由として、X社がY社との労働者派遣契約を解除しても、当該解除は有効である。
  
 A2 ×です、派遣社員も「労働者」です。確かに、雇用関係にはないところですが、その職場に派遣されている者であり、その職場の通報対象事実を知り得る立場にあり、公益通報保護法は、通報者の範囲に含めています。この場合の報復措置は、派遣契約の解除になりますので、事業者はこれをしてはならないとされています。

 Q3 X社は、公益通報者保護法に基づいて、従業員から社内の違反行為に関する相談を受け付ける窓口(ヘルプライン)を社内に設置した。X社の労働者が、X社において発生した通報対象事実をX社のヘルプラインに通報した。この場合、当該通報が不正の目的でなされたものでないときは、X社は、ヘルプラインに通報したことを理由として、当該労働者に対して、降格、減給その他不利益な取り扱いをしてはならない。
 
 A3 ○です。これが、公益通報者保護法の名前の由来たるところですが、その通報が不正の目的でなされたものでない時は、解雇を含め不利益な取り扱いをしてはならないとされています。

 Q4 X社は、公益通報者保護法に基づいて、従業員から社内の違反行為に関する相談を受け付ける窓口(ヘルプライン)を社内に設置した。X社において通報対象事実が発生したときにその通報先になるのは、X社のヘルプラインに限られ、当該対象事実について処分または勧告権限を有する行政機関や報道機関等へ通報しても、当該通報は公益通報者保護法上の公益通報には当たらない。
 
 A3 ×です。通報先としては、それぞれ一定の条件はあるものの、労務提供先(事業者、労働者派遣先)の他、その処分・勧告権限を有する行政機関、その発生・被害の拡大を防止するために必要であると認められるもの(報道機関、消費者団体、労働組合等)となっています。

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ビジネス実務法務検定試験概要(ビジ法)とその「職務発明」(特許法)の試験問題について(その3)

2013-11-23 06:02:00 | 社会保険労務士
[第34回ビジネス実務法務検定試験(ビジ法)「解答速報」のコメント(解説付き)(1)]<2級>へ



職務発明(特許法)試験問題を解いてみました!!

 安易に考えて、ビジネス実務検定試験の受験を決意したものの、一つひとつの法律については、難しい問題はでないものの、たとえば、特許法、民法、民事訴訟法等取り扱う法律の数が広くて、ちょっと時間が足りなくなり焦っています。特許法とかは、行政で担当分野であったので思い起こせば、問題自体は、そう突っ込んだ問題ではないので、なんとかなるのですが、会社法とか、民事訴訟法とかあまり詳細に勉強することもなかったので、苦労しています。

 70点取れれば合格ですが、今のところ、ボーダーラインを行き来しているようで、自分の性格として、余裕で合格したいと考えていた手前、本当に焦っています。だれか、助けてくださいと言いたいところです。2か月を切ったところから決意して始めるのは、無謀だったのかなと考えていますが、とにかく、頑張らなきゃ。

 <以下、1.2回に書いた、この試験を受ける過程についての「再掲」内容です。>
 
 ずーと毎日6月まで勤めていたため、何も勉強しようという気持ちが起きらなかったんだが、残務整理も終わり、気が付いたら9月の終わりになっていた。「ビジネス実務法務検定試験」が12月8日(あと2か月である)にあると聞いて、この試験の存在は気にはなっていたのだが、どんな試験なのかも分からず、まずはテキストを買って勉強することにした。各資格の学校では、このビジネス検定試験は、講座を開講しているのだが、結構受講料が高くて、現在「無職」の身からすると手に届かないので、独学でやることにした。この「ビジネス実務検定試験」、一般に「ビジ法」といわれているらしい。今回で34回となっているので、年2回行うことから、まだ新しい試験と言えるのだが、結構、話題となっている試験だそうだ。主催は東京商工会議所主催であるが、なによりも各県の商工会議所が試験会場となるため、宮崎などに住んでいる者など他の試験(一部)のように福岡市までいかなくていいのがいい。

 試験は、3級、2級、1級とあり、一般的には、3級から上を目指すのであるが、思い切って2級から始めることにした。内容的には、企業活動に携わる者としての法律関係を扱うので、商法、民法、独禁法、今はやりの食品表示偽装でおなじみの不正競争防止法、食品衛生法、健康増進法、JAS法と景品表示法、裁判になったらということであろうか、民事訴訟法、行政の許認可であろうか、行政手続法など、広範囲にわたっているのである。試験の問われ方は、2級の場合は、5つの選択肢から一つの答えを選び出す問題であるが(社会保険労務士を受験された方は、5肢択一問題だと思って差し支えない)、2時間で40問解くことになるので、各問約3分で解かなきゃならないのだが、問題文の途中に誤った言い方が隠されているのではなくて、文の最後が真逆の言い方がされているのが多いので、どこかの競走試験のように、さほど解くのは困難ではない。(以上、前回で述べたところの「再掲」です。)

 さて今回は、労使の間にからんでくる問題として、特許法の職務発明を取り上げてみました。職務発明は、ザックリ言って、従業員の職務上の発明であるが、もっと正確に言うと、従業員が行った発明で、その性質上、その使用者の業務内にあり、その発明に至った行為がその従業員の現在までの職務の属するものをいいます。
 本来の問題は、5肢択一の問いですが、一問一答の問題にしてあります。すなわち、次の文章が正しいか、誤りかという問題です

 Q1 自動者メーカーA社の従業員であるBは、その就業時間中に行った研究開発の結果、職務発明をし、当該職務発明について、自ら特許庁に特許出願をし特許権の設定登録を受けた。この場合、A社は、特許法上、その特許権について、専用実施権を有する。
 
 A1 ×です。その従業員の属する会社が法上有するのは、通常実施権です。通常実施権は、その実施を許された者であれば、何人でも実施可能ですが、専用実施権は、その人だけの独占権を有する権利です。

 Q2 医療品メーカーでるA社の従業員Bが職務発明をした。この場合、特許法上、特許を受ける権利は譲渡することができないとされているため、A社は、Bの有する当該職務発明にかかる特許を受ける権利を承継することはできない。
  
 A2 ×です、特許を受ける権利も、権利として譲渡することができます。ここで、就業規則等にその権利を受ける権利について、定めを設けておくことが、労使間のトラブル発生の防止につながります。

 Q3 会社の従業員が、その就業時間中に行った研究開発の結果、職務発明をし、勤務規則の定めにより職務発明について会社に特許権を承継させた場合、特許法上、従業員には、会社から相当の支払いを受ける権利が認められる。
 
 A3 ○です。職務発明と言えども、従業員が発明したものであり、苦労しての研究成果であり、本来発明そのものの権利は従業員にあります。それを会社がゆずり受けるのですから、相当の対価での譲渡となるのは、当然のことです。相当の対価といえば、「青色発光ダイオード」事件があります。まずは、職務発明が考えられる職場は、労働契約としての位置づけを考え、就業規則等に、譲渡、対価等の規定を置いておくべきでしょう。

  ⇒ 第2回へ
第1回へ

「職務発明」の対価等(1回)へ
「職務発明」の対価等(2回)へ

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ビジネス実務法務検定試験概要(ビジ法)とその「使用者責任」(民法)の問題について(その2)

2013-11-16 18:46:12 | 社会保険労務士
[第34回ビジネス実務法務検定試験(ビジ法)「解答速報」のコメント(解説付き)(1)]<2級>へ


使用者責任(民法)問題を解いてみました!!

 ずーと毎日6月まで勤めていたため、何も勉強しようという気持ちが起きらなかったんだが、残務整理も終わり、気が付いたら9月の終わりになっていた。「ビジネス実務法務検定試験」が12月8日(あと2か月である)にあると聞いて、この試験の存在は気にはなっていたのだが、どんな試験なのかも分からず、まずはテキストを買って勉強することにした。各資格の学校では、このビジネス検定試験は、講座を開講しているのだが、結構受講料が高くて、現在「無職」の身からすると手に届かないので、独学でやることにした。この「ビジネス実務検定試験」、一般に「ビジ法」といわれているらしい。今回で34回となっているので、年2回行うことから、まだ新しい試験と言えるのだが、結構、話題となっている試験だそうだ。主催は東京商工会議所主催であるが、なによりも各県の商工会議所が試験会場となるため、宮崎などに住んでいる者など他の試験(一部)のように福岡市までいかなくていいのがいい。

 試験は、3級、2級、1級とあり、一般的には、3級から上を目指すのであるが、思い切って2級から始めることにした。内容的には、企業活動に携わる者としての法律関係を扱うので、商法、民法、独禁法、今はやりの食品表示偽装でおなじみの不正競争防止法、食品衛生法、健康増進法、JAS法と景品表示法、裁判になったらということであろうか、民事訴訟法、行政の許認可であろうか、行政手続法など、広範囲にわたっているのである。試験の問われ方は、2級の場合は、5つの選択肢から一つの答えを選び出す問題であるが(社会保険労務士を受験された方は、5肢択一問題だと思って差し支えない)、2時間で40問解くことになるので、各問約3分で解かなきゃならないのだが、問題文の途中に誤った言い方が隠されているのではなくて、文の最後が真逆の言い方がされているのが多いので、どこかの競走試験のように、さほど解くのは困難ではない。(以上、前回で述べたところの「再掲」です。)

 さて今回は、労使の間にからんでくる問題として、民法の「使用者責任」(民法715条)があります。これは、例えば、飲食店の従業員が、出前のうつわをアパートに回収しに行った場合に、お隣さんがうるさい人で、うつわが通り口にあることにいちゃもんをつけ、喧嘩になり殴ってしまい負傷させてしまったときに、使用者も責任を負わなければならないという例であります。
 本来の問題は、5肢択一の問いですが、一問一答の問題にしてあります。すなわち、次の文章が正しいか、誤りかという問題です。 

1、B社の従業員として立体駐車場を管理するCが利用者Dの誘導を誤り、これが原因で、Dの車両が立体駐車場の壁面に接触し破損した。この場合、B社は、原則として、Dに対し、民法の使用者責任の規定に基づく損害賠償責任を負う。(30回試験問題)
 この使用者が責任を負わなければならない、法律上の「要件」を整理すると、
ア、ある事業のために他人を使用すること
イ、「事業の執行について」侵害を加えたこと
ウ、「労使」でない第三者への加害行為であること
エ、雇用者に、例えば相手方にケガを負わせた・物を壊したとか、不法行為の要件(民法709条)が備わっていること
オ、使用者が、雇用者の選任・監督に相当の注意をしたという「免責事由」がないこと

 どの要件も満たすので、正しい文章ということで○です。(なお、オが満足しているかということになると、厳密にいうと、この文章では分からないところでありますが・・・。)
 

2.A社の経営するスキューバダイビング教室での潜水訓練中、担当インストラクターBの過失により、生徒Cが負傷した。この場合、A社は、Bの選任及び監督について相当の注意を証明しても、Cの負傷について使用者責任をのがれることはできない。(26回試験)

 1で説明したところですが、雇用者の選任その事業の監督について相当の注意をしたこと、または相当の注意をしても損害を生ずべきであったことを証明したときは、使用者責任をのがれうるとされています。ゆえに×です。(民法715条1項の但し書きです。)

3.運送会社A社に勤務する運転手Bは、就業中、歩道を母親Cと手をつなぎ歩いていた幼児D(3歳)が突然Cの手を振り切って車道に飛び出したため、運転していたトラックがDに接触し、全治3か月の重症を負わせた。A社は、Dに対して使用者責任に基づき侵害を賠償したときは、Bに対して、求償権を行使することができる。(27回試験)

 使用者は、被害者に損害賠償をしたときは、雇用者にその費用を請求(求償)できるとされています。ただし、この求償権の範囲は、損害の公平な分担という見地から、信義則上相当と認められる限度に制限されるというのが裁判例となっていますので、100%労働者に請求はできません。したがって、○です。(民法715条3項の内容です)

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ビジネス実務法務検定試験概要(ビジ法)とその労災保険法の問題について

2013-11-10 05:16:43 | 社会保険労務士
 ⇒ [第34回ビジネス実務法務検定試験(ビジ法)「解答速報」のコメント(解説付き)(1)]<2級>へ




 労災保険法の問題を解いてみました!!

 ずーと毎日6月まで勤めていたため、何も勉強しようという気持ちが起きらなかったんだが、残務整理も終わり、気が付いたら9月の終わりになっていた。「ビジネス実務法務検定試験」が12月8日(あと2か月である)にあると聞いて、この試験の存在は気にはなっていたのだが、どんな試験なのかも分からず、まずはテキストを買って勉強することにした。各資格の学校では、このビジネス検定試験は、講座を開講しているのだが、結構受講料が高くて、現在「無職」の身からすると手に届かないので、独学でやることにした。この「ビジネス実務検定試験」、一般に「ビジ法」といわれているらしい。今回で34回となっているので、年2回行うことから、まだ新しい試験と言えるのだが、結構、話題となっている試験だそうだ。主催は東京商工会議所主催であるが、なによりも各県の商工会議所が試験会場となるため、宮崎などに住んでいる者など他の試験(一部)のように福岡市までいかなくていいのがいい。

 試験は、3級、2級、1級とあり、一般的には、3級から上を目指すのであるが、思い切って2級から始めることにした。内容的には、企業活動に携わる者としての法律関係を扱うので、商法、民法、独禁法、今はやりの食品表示偽装でおなじみの不正競争防止法、食品衛生法、健康増進法、JAS法と景品表示法、裁判になったらということであろうか、民事訴訟法、行政の許認可であろうか、行政手続法など、広範囲にわたっているのである。試験の問われ方は、2級の場合は、5つの選択肢から一つの答えを選び出す問題であるが(社会保険労務士を受験された方は、5肢択一問題だと思って差し支えない)、2時間で40問解くことになるので、各問約3分で解かなきゃならないのだが、問題文の途中に誤った言い方が隠されているのではなくて、文の最後が真逆の言い方がされているのが多いので、どこかの競走試験のように、さほど解くのは困難ではない。 

 さて、その法律の中に、「会社と従業員との法律関係」として、労働法、社会保険法があるのだが、私、一応、社会保険労務士を名のる者であり、なんなく解けるはずなのであり、たしかに難しい問題ではない。ただ、仕事を行っていくうえで、一般的に常識的に考えると、ふと間違えかねない、えっつどんなだったのかと考えるような良い問題である。まさに「実務法務検定試験」なのである。その中から、一例を紹介します。第28回の問題です。

 労災法に関する次の1~5の記述のうち、その内容が最も適切なものを一つだけ選びなさい。
 1、A社の労働者であるBは、A社の業務上の命令を遂行するために出張に赴いた際に、交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、A社の事業場の施設内において発生したものではないため、労災法の対象にはならない。

 これは、ざっくり云って、事業主の支配下の状態で起きた、業務上の事故であれば、労災事故と認められる。出張中でも、全く業務と関係ないことを行っているのでない限り、事業者の業務支配下であり、認められる。したがって、×である。

 2、A社の労働者であるBは、所要労働時間内にA社の事業場内において、業務に従事していたが、用便のために手洗所に向かう途中で転倒して負傷した。この場合のBの負傷は、実際に業務を行っている間に発生したものではないため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。

 確かに、業務を行っているのではないので、労災事故とは認めないとあり、さもありなんとも考えるが、生理的な、一時的な行為であり、例外的に認定することになっている。昼休みに外で食事中の事故は認められないが、これとは違うのである。したがって、×である。

 3、A社の労働者であるBは、就業規則で兼業が禁止されているにも関わらず、別の事業主の事業場であるC社事業場にも2重に就労している。Bは、A社事業場での業務終了後、C社事業場へ直接向かうために、合理的な経路を移動中に交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、兼業禁止規定に違反しているため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。

 旧法では、2重就労に対応することができなかったのですが、最近2重就労の実態が増えてきたため、改正法では、2番目に事業場に向かう場合も、「通勤災害」と認められます。どこの事業場に基づく労災の給付支給になるかというと2番目の事業所に向かうと途中なので、2番目の事業所での申請になるわけです。1番目の事業所では、就業規則違反ですので、1番目の事業所ではそういう就業実態は認めないでしょうが、その問題とは別に、2番目の事業所で申請をすることができるのです。したがって、×。

 4、A社にアルバイトとして勤務しているBは、所定労働時間内にA社の事業場内において業務に従事している際に、作業施設の不具合が原因で負傷した。この場合であっても、アルバイトであるBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。

 雇用保険や健康保険法等の社会保険と違い、労災法においては、労働者であれば、だれでも保険給付の対象となります。労働者保護のために設けられているのであり、アルバイトや非常勤等でも、労働者として給付の対象になります。したがって、×。

 5、A社の労働者であるBは、A社事業場における業務終了後の帰宅途中に、体力維持のため、通常利用している通勤経路外に所在するスポーツクラブに立ち寄った。Bは当該スポーツクラブ内で2時間にわたりトレーニングをしている最中に、トレーニング機器の不具合により負傷した。この場合のBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。

 一般的には、通勤途上、道をそれた場合は、そこから、通勤災害の対象とはなりません。(ただし、日常の買い物や、お医者さんに立ち寄る行為などについては、そこの部分については、通勤途上とはなりませんが、その後普段の通勤に復帰したときは、そこからは、通勤途上となります。)。したがって、○。

 ゆえに、正解肢は、5である。

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(第3回)へ
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年休の繰越分か、当年に発生した年休のどちらから消化するかは、まず使用者が決める。(民法488条)

2013-11-03 18:17:16 | 社会保険労務士
使用者が決めてない時に、労働者が決めるのですが・・・。あまりどちらも決めていないようですが・・・。 
 年次有給休暇については、勤続年数が増すにつれて、1日~2日と増加していき、最大年に20日まで休むことができます。さらに、時効は2年となっているので、その年に使わなかった年休については、次の年に繰り越すことができます。

 この繰り越した年休については、その年に発生する年休とどちらを先に消化していったらいいのでしょうか。事業所によっては、何も考えずに、繰り越した分から消化しているところも多いのではないでしょうか。

 その年に発生した年休から、消化していけば、繰り越した年休の2年の時効が、来てしまいます。一方、繰り越した年休を使えば、少なくともその年に発生した年休については、時効にかからないことになり、次の年に繰り越せます。どちらが、労働者にとって、有利かといえば、明らかに後者の方です。
 前者、後者どちらをとるかは、労働基準法に規定はなく、実は、民法488条に規定されています。

 民法第488条
 1項 債務者が・・・・数個の債務を負担する場合において、弁済して提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
 2項 弁済する者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を充当すべき債務を指定することができる。・・・・

 1項において、「弁済をする者」≒債務者=年休の負担者=使用者は、「充当を充当する債務」=年休日を指定することになっています。ここで、労働基準法に帰り、労働条件等は、一般的には、就業規則に書くことになっているので、就業規則で、繰り越し分か、その年の発生の年休のどちらを取るかについて、指定することになります。

 2項において、この指定がないときは、弁済を受領するもの≒債権者=年休取得の権利者=労働者が、これらの年休のどちらを取るかを指定することになります。

 まとめると、使用者としては、繰り越し分からか、その年に発生した年休から消化するかを、基本的には、就業規則で定めることができることになっています。その定めがない場合に、はじめて、労働者のほうで決めることができるのです。労働者の方でも、どちらにするか、特段の意思表示はない場合が多いでしょうが、そこは労働者の有利なほうの、繰り越し分から使うという解釈になるのでしょう。

<繰り越し分から消化する就業規則の例>
(「会社と従業員を守るルールブック 就業規則のつくり方」から/同文館出版㈱発行、久保社会保険労務士法人編)
第○○条 
 5.年次有給休暇の繰り越しは、その年度に使用しなかった日数を次年度に限って、繰り越し分を使用することができる。年次有給休暇の使用順位については、この繰り越し分から優先的に使用するものとする。
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