約款「多数の取引を処理するために予め契約内容として定型的に作成されている契約条項」現在多数企業が利用!!
企業と消費者間の商品の売買としての消費者契約については、これも「約款」の形が多く、あらかじめ企業側の方で決まった契約内容を一方的に作成しており、顧客は契約内容の一つひとつの条文について、交渉する自由を持っていないのが一般的な形である。この商品の取り引きにおいては、消費者は画一的に定められている定型的な契約条項を受け入れ、後はその総括的な契約条項としての売買契約に、印鑑を押すか押さないか(=この商品を買うか買わないか)の自由しか残されていないのである。本筋から外れるが、元消費者相談に係わった者として、指摘しておきたいのは、消費者にとって、細かい文字で契約書が読みづらいということがいわれているが、消費者が内容を理解してこそ、契約するかしないかを判断できるということは指摘しておきたい。
一方、会社に採用される社員については、特に正社員においては、労働契約書で詳しく書かれているのはそう多くはなく、多くに企業においては、むしろ就業規則の内容が重要な機能を有している。すなわち、企業の採用においては、労働条件について採用される社員と詳しい個別の契約を交わすのはほとんど行われず、就業規則に定められた定型的な労働条件をもって労働契約が締結されることが多いのである。会社に入る場合に、会社の就業規則を労働契約の条項として、労働者は認めるか認めないか、認めないのであれば、会社に入ることはまかりならんということであろう。ここでも就業規則は、労働契約を締結し労働条件を決めるにあって、約款としての機能を果たしているのである。
この消費者約款にあっても、労働契約の役割を果たす就業規則にあっても、共通するのは、一方的に契約内容を書く企業ではなく、了解する側の消費者、労働者が、その内容がたとえ自分の意に沿わないものであっても、契約した以上は、その契約内容を強制される点である。
ここで、労働契約と就業規則の関係について整理しておくが、会社に採用される場合に、労働契約の条項にあまり規定がなく、就業規則において詳しい内容があった場合は、この就業規則にしかその労働条件の内容がないというが多くなるが、その場合の就業規則の定めは、労働者を拘束するのかということを規定してあるのが、労働契約法の7条である。就業規則は使用者が集団的な規律として決めてあるものであり、今から入社する者を、その就業規則がいかに拘束するかを規定しているのである。
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させている場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。(労働契約法第7条)
新入社員にとって、労働者への周知と内容の合理性を要件として、就業規則の規定する内容が労働契約の内容になることを規定している。
実はこの条文は、もともとは、判例の積み重ねによる判例法理が先に出来上がり、そのあとで労働契約法の中に条文として成文化されたものである。その判例法理の成立過程の中で、約款として拘束力を持つ要件として「事前の開示(周知)」と「内容の合理性」が必要との理論があり、これと同様にあてはめて、就業規則の拘束の要件として「労働者への周知」と「内容の合理性」を持ってきたという経緯があるといわれている。
消費者契約でいわれる約款、就業規則の労働契約の内容としての約款の機能も、交渉力や情報力等において劣る立場の消費者・労働者という観点から見ると、拘束の要件が同じであることには、以上のような理由があると考えられる。
参考 労働法(第6版)水町勇一郎 有斐閣 P87、p91~92
企業と消費者間の商品の売買としての消費者契約については、これも「約款」の形が多く、あらかじめ企業側の方で決まった契約内容を一方的に作成しており、顧客は契約内容の一つひとつの条文について、交渉する自由を持っていないのが一般的な形である。この商品の取り引きにおいては、消費者は画一的に定められている定型的な契約条項を受け入れ、後はその総括的な契約条項としての売買契約に、印鑑を押すか押さないか(=この商品を買うか買わないか)の自由しか残されていないのである。本筋から外れるが、元消費者相談に係わった者として、指摘しておきたいのは、消費者にとって、細かい文字で契約書が読みづらいということがいわれているが、消費者が内容を理解してこそ、契約するかしないかを判断できるということは指摘しておきたい。
一方、会社に採用される社員については、特に正社員においては、労働契約書で詳しく書かれているのはそう多くはなく、多くに企業においては、むしろ就業規則の内容が重要な機能を有している。すなわち、企業の採用においては、労働条件について採用される社員と詳しい個別の契約を交わすのはほとんど行われず、就業規則に定められた定型的な労働条件をもって労働契約が締結されることが多いのである。会社に入る場合に、会社の就業規則を労働契約の条項として、労働者は認めるか認めないか、認めないのであれば、会社に入ることはまかりならんということであろう。ここでも就業規則は、労働契約を締結し労働条件を決めるにあって、約款としての機能を果たしているのである。
この消費者約款にあっても、労働契約の役割を果たす就業規則にあっても、共通するのは、一方的に契約内容を書く企業ではなく、了解する側の消費者、労働者が、その内容がたとえ自分の意に沿わないものであっても、契約した以上は、その契約内容を強制される点である。
ここで、労働契約と就業規則の関係について整理しておくが、会社に採用される場合に、労働契約の条項にあまり規定がなく、就業規則において詳しい内容があった場合は、この就業規則にしかその労働条件の内容がないというが多くなるが、その場合の就業規則の定めは、労働者を拘束するのかということを規定してあるのが、労働契約法の7条である。就業規則は使用者が集団的な規律として決めてあるものであり、今から入社する者を、その就業規則がいかに拘束するかを規定しているのである。
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させている場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。(労働契約法第7条)
新入社員にとって、労働者への周知と内容の合理性を要件として、就業規則の規定する内容が労働契約の内容になることを規定している。
実はこの条文は、もともとは、判例の積み重ねによる判例法理が先に出来上がり、そのあとで労働契約法の中に条文として成文化されたものである。その判例法理の成立過程の中で、約款として拘束力を持つ要件として「事前の開示(周知)」と「内容の合理性」が必要との理論があり、これと同様にあてはめて、就業規則の拘束の要件として「労働者への周知」と「内容の合理性」を持ってきたという経緯があるといわれている。
消費者契約でいわれる約款、就業規則の労働契約の内容としての約款の機能も、交渉力や情報力等において劣る立場の消費者・労働者という観点から見ると、拘束の要件が同じであることには、以上のような理由があると考えられる。
参考 労働法(第6版)水町勇一郎 有斐閣 P87、p91~92