賃金単価は休日を増やせば高くなる
労働基準法では、従業員に与える休日は、週1日の休日または4週に4日の休日を与えなければなりませんが、では、年間52~53週あるので、年間に52・53日与えればよいのでしょうか。言い換えると、最低、年間にどれだけ休みをとればいいのでしょうか。
一日8時間、週に40時間(業種によっては44時間まで認められています)までという法定の労働時間から、次の日数がはじき出されます。
1、1週間は、1年間に何週あるのか。
年365日÷週7日=52.142週
2、週40時間まで働けるので、一年には最大何時間まで働けるか(ここでは週40時間としますが、週44時間の場合は、40時間のところを44時間で計算してください。)
年間週数52.142週×1週間当たりの法定労働時間40時間=2,085.714時間
3、一日8時間労働するとすると、1年間に最大何日働けるのか。
2,085.714時間÷1日の労働時間8時間=260.714日≒260日
4、1年間に最低でも何日休まないといけないか。
365-260=105日
一日8時間、一週40時間で働いた場合には、年間105日は休日が必要となる計算です。
これは、法定の休日1週間に1日の休日52・53日だけでは、足りません。週休2日程度の休日を与えなければならない計算になります。
しかし、一日7時間の労働であるとすると、3の式は7時間で割ることになり、1年間の労働日数は297日となり、4式は、68日となります。
このように、1日の労働時間や週の労働時間によって、休日の最低日数は変わってきます。
ところで、時間外労働の割増し賃金の時間当たりの賃金単価は、月給制の場合は、月の日数が28日、30日や31日など異なるため、1年間における「一か月平均労働時間数」で割ることよって、計算します。
割増賃金の計算の基礎となる賃金÷1年間における「一か月平均労働時間数」×一か月の時間外労働時間数×1.25=一か月の時間外手当
↑上記傍線の「時間当たりの賃金単価」を以下「賃金単価」といいます。
そこで賃金単価を計算します。年間の休日日数を最少の105日で、1日の労働時間を8時間とした場合、年間における一か月の平均労働時間数は、
A 365日-105日=年間労働日数260日
B 260日×8時間÷12か月=一か月の平均労働時間数173.33時間となり、
割増賃金の計算基礎となる一か月の給料が200,000円とすれば、賃金単価は、
C 200,000円÷一か月平均労働時間数173.33時間=1153.86円
この計算は、最低の年間休日の日数105日で計算した賃金単価となりますので、これより休みを多くすればどうなるのか。Aの計算式から分かるように年間労働日数は少なくなり、Bの式においてそれに伴い一か月の平均労働時間も少なくなり、C式では割る数が少なく(=分母が少なくなる)ので、賃金単価は大きくなります。これに時間外賃金は割増が付くので、さらに大きくなります。
経営者としては、従業員には、会社の創立記念日とかを増やして、もっと休みを増やしたいんだけどという場合、そうすると休みが増え賃金単価が上がることになりますので、経営上見送らないといけないのでしょうか。
そこでいい方法があります。休日と休暇を区別するのです。休日は「勤務日でない日」のことで、最初から労働する日ではありません。
休暇は、「勤務日であって、労働の義務を免除した日」のことです。就業規則にはっきり区別して、その旨定めることです。
休日と休暇を区別して、会社の創立記念日を休暇にすれば、A式における365日から引く数の「休日」は、ここでいう「休日」数で変わらず、年間労働日数も変わらず、一か月の平均労働時間も変わらないことになり、賃金単価はかわりません。
休暇には、労働基準法上の休暇、有給休暇や看護休暇等があります。会社が定めた特別休暇もあります。慶弔休暇、創立記念日、国民の祝日や盆休みや正月の休暇等を特別休暇とすることもできますし、逆に休日に区分することもできます。もちろん、有給休暇や看護休暇、慶弔休暇は申請して休みますが、国民の祝日や正月の休暇は、特別休暇に区分したとしても申請はいらないでしょう、会社でその日を始めから指定すればよいでしょう。
<就業規則例>
第○条 休日
会社の休日は、次のとおりとする。
A 日曜日及び土曜日
B ・・・・
第○条 休暇
会社は、次の日を休暇とし、労働義務を免除する。ただしA、B・・・においては、申請により認めるものとする。
A 慶弔休暇
・・・・・
B ・・・・
C 国民の祝日
D 12月29日から1月3日まで
2 従業員は前項に定める休暇の日に勤務しなくても、通常の給与の支給を受けることできる。
関連記事 ⇒ <「法定休日と所定休日の違い」へ>
⇒ <「法定休日の指定と割増賃金<行政実例>へ>
参考 人事労務の実務事典~休日・休暇・労働時間(秀和システム) 畑中義雄ほか
社長!その残業代は払う必要はありません(すばる舎) 和田栄
ブログ 労務管理110番(社会保険労務士法人 西塔事務所 http://blog.roumukanri110.net/article/13547119.html
⇒ <西塔事務所の「労務管理110番」ブログ へ>
労働基準法では、従業員に与える休日は、週1日の休日または4週に4日の休日を与えなければなりませんが、では、年間52~53週あるので、年間に52・53日与えればよいのでしょうか。言い換えると、最低、年間にどれだけ休みをとればいいのでしょうか。
一日8時間、週に40時間(業種によっては44時間まで認められています)までという法定の労働時間から、次の日数がはじき出されます。
1、1週間は、1年間に何週あるのか。
年365日÷週7日=52.142週
2、週40時間まで働けるので、一年には最大何時間まで働けるか(ここでは週40時間としますが、週44時間の場合は、40時間のところを44時間で計算してください。)
年間週数52.142週×1週間当たりの法定労働時間40時間=2,085.714時間
3、一日8時間労働するとすると、1年間に最大何日働けるのか。
2,085.714時間÷1日の労働時間8時間=260.714日≒260日
4、1年間に最低でも何日休まないといけないか。
365-260=105日
一日8時間、一週40時間で働いた場合には、年間105日は休日が必要となる計算です。
これは、法定の休日1週間に1日の休日52・53日だけでは、足りません。週休2日程度の休日を与えなければならない計算になります。
しかし、一日7時間の労働であるとすると、3の式は7時間で割ることになり、1年間の労働日数は297日となり、4式は、68日となります。
このように、1日の労働時間や週の労働時間によって、休日の最低日数は変わってきます。
ところで、時間外労働の割増し賃金の時間当たりの賃金単価は、月給制の場合は、月の日数が28日、30日や31日など異なるため、1年間における「一か月平均労働時間数」で割ることよって、計算します。
割増賃金の計算の基礎となる賃金÷1年間における「一か月平均労働時間数」×一か月の時間外労働時間数×1.25=一か月の時間外手当
↑上記傍線の「時間当たりの賃金単価」を以下「賃金単価」といいます。
そこで賃金単価を計算します。年間の休日日数を最少の105日で、1日の労働時間を8時間とした場合、年間における一か月の平均労働時間数は、
A 365日-105日=年間労働日数260日
B 260日×8時間÷12か月=一か月の平均労働時間数173.33時間となり、
割増賃金の計算基礎となる一か月の給料が200,000円とすれば、賃金単価は、
C 200,000円÷一か月平均労働時間数173.33時間=1153.86円
この計算は、最低の年間休日の日数105日で計算した賃金単価となりますので、これより休みを多くすればどうなるのか。Aの計算式から分かるように年間労働日数は少なくなり、Bの式においてそれに伴い一か月の平均労働時間も少なくなり、C式では割る数が少なく(=分母が少なくなる)ので、賃金単価は大きくなります。これに時間外賃金は割増が付くので、さらに大きくなります。
経営者としては、従業員には、会社の創立記念日とかを増やして、もっと休みを増やしたいんだけどという場合、そうすると休みが増え賃金単価が上がることになりますので、経営上見送らないといけないのでしょうか。
そこでいい方法があります。休日と休暇を区別するのです。休日は「勤務日でない日」のことで、最初から労働する日ではありません。
休暇は、「勤務日であって、労働の義務を免除した日」のことです。就業規則にはっきり区別して、その旨定めることです。
休日と休暇を区別して、会社の創立記念日を休暇にすれば、A式における365日から引く数の「休日」は、ここでいう「休日」数で変わらず、年間労働日数も変わらず、一か月の平均労働時間も変わらないことになり、賃金単価はかわりません。
休暇には、労働基準法上の休暇、有給休暇や看護休暇等があります。会社が定めた特別休暇もあります。慶弔休暇、創立記念日、国民の祝日や盆休みや正月の休暇等を特別休暇とすることもできますし、逆に休日に区分することもできます。もちろん、有給休暇や看護休暇、慶弔休暇は申請して休みますが、国民の祝日や正月の休暇は、特別休暇に区分したとしても申請はいらないでしょう、会社でその日を始めから指定すればよいでしょう。
<就業規則例>
第○条 休日
会社の休日は、次のとおりとする。
A 日曜日及び土曜日
B ・・・・
第○条 休暇
会社は、次の日を休暇とし、労働義務を免除する。ただしA、B・・・においては、申請により認めるものとする。
A 慶弔休暇
・・・・・
B ・・・・
C 国民の祝日
D 12月29日から1月3日まで
2 従業員は前項に定める休暇の日に勤務しなくても、通常の給与の支給を受けることできる。
関連記事 ⇒ <「法定休日と所定休日の違い」へ>
⇒ <「法定休日の指定と割増賃金<行政実例>へ>
参考 人事労務の実務事典~休日・休暇・労働時間(秀和システム) 畑中義雄ほか
社長!その残業代は払う必要はありません(すばる舎) 和田栄
ブログ 労務管理110番(社会保険労務士法人 西塔事務所 http://blog.roumukanri110.net/article/13547119.html
⇒ <西塔事務所の「労務管理110番」ブログ へ>